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コロナ備忘録-2020年4月〜5月-

前回に引き続き、コロナ備忘録を書いていきます。

コロナという不可抗力要素においても会社経営を持続し、スタッフやお客様がいる以上はそれに立ち向かっていかなければならず、自分の行動を一旦整理して改めて未来に向けて行動していくため、日々の事業の状況やオーナーである自分自身の心境、ゲストハウス存続のために行動した事などをここに残していきたいと思います。

4月に入りコロナの感染状況は悪化の一途。ついに4月2週目〜5月末までの予約が全てキャンセルとなりました。

宿泊施設なのに宿泊サービスが提供できない。こんな状況になってしまうなんて想像もしておらず、それでも宿泊施設として出来ることをどんどんやっていこうと3月に色々と新しい取り組みを始めたもののどれもコロナの状況下ではどうにもならず。

そのうえ緊急事態宣言の発令。事業を始めてまだ1年。廃業という選択肢も考え始めていました。稼ぎ時であるGWの売上が絶たれ、一体いつ終息するのか全く分からない状況で、このまま夏休みまで売上が立たない状況が続けばいくら融資を受けたとしてもそもそも宿泊業として成り立たないし、回復したとしても今までよりも売上を上げなければ増えた返済を返していくことができない。

融資はすでに日本政策金融公庫へ申し込みを済ませていましたが、事業開始時に借りた融資の返済がまだまだ残っている状態で借金を増やすよりも、借りずに今ある借金を返済していく方がダメージが少ないのではないかとも思いました。

結果的にこれは思い留まり、3月に申し込んだ日本政策金融公庫に加えて地銀にも融資を申し込み、合計1年分の運転資金を借り入れしました。どうして思い留まったかというと、簡単にいえば「ここで決断するのはまだ早すぎる」と思ったからです。

コロナによって絶望的な状況ではある、だけどこれからまだ国や自治体からの支援が出てくるかもしれないし、コロナ自体もどうなっていくか分からない状況でやめてしまうより、もう少し先が見えてきたときに決断すれば良いと思いました。



そうと決めたらもう前を向いて出来ることをやっていくしかない。宿泊自体はしばらく諦めて方向転換をしなければいけない。今だからこそ、できることがあるのでは無いのか。


検討したけど実施しなかったこと

1.クラウドファンディング

3月頃から様々な業種でクラウドファンディングで資金調達を始められていたので、私も検討しましたが実施しなかった理由は以下です。

①運転資金として数百万を集めたところでせいぜい1~2ヶ月分にしかならないのであまり意味がない(やるとしたら1,000万以上だけどそんなに集められる程の自信がない)

②コロナ特別貸付など、好条件な融資制度が出ているのでそちらの方が早い

③リターンで宿泊券を出せば、未来の売上がなくなってしまう


2.未来の宿泊券

こちらも様々な業種で取り組まれていたので検討しましたが実施しなかった理由は以下です

①全く先が見えないのに1年〜2年先の未来に、現段階で提供しているサービス内容を提供できるか分からない。(もちろん提供したいがどうしてもこの時点では先が見えなかった)

②コロナ終息後にその宿泊券での受け入ればかりが続く場合、未来の売上が無くなってしまう

②生き残れたとして、すでに販売している宿泊券を受け入れるために現状を維持しなければならず、新しいことが出来なくなってしまう

クラウドファンディングをやらなかった理由と重複しますが、銀行から借りる方が確実だし、最悪のパターンで閉業することになった場合にお客様に迷惑はかけることが無い銀行融資のみで行こうと決めました。


3.休業

4月に入ってから、5月末くらいまでの休業を決めたお宿が増えてきました。結果的にGW期間中は兵庫県からの休業要請に従い完全休業(売り止め)にしましたが、他施設さんのように長期間の休業は実施しませんでした。

理由は、

①私も含め従業員は住み込みor徒歩圏内に住んでおり、ゲストハウスが主な居処だったため、感染を持ち込むリスクは少ない

②休業宣言をしなくとも、ほとんど予約は入ってくることが無いという前提で、もし予約が入れば対応すれば良い。

③少なからず泊まる場所を必要としている人がいるかもしれない(実際、どうしても仕事の兼ね合いで泊まりに来られる方もいらっしゃいました)

休業を決められる施設さんが多い中で、なんとなく休業しないことを宣言することが憚られて、公言はしていませんでした。



この時期周りの流れと違う行動をすると、なんとなくそれは間違ってるよって後ろ指を指されるような気がして休業しないことすら公言できなかったのが苦しかったですね。


新しく始めたこと

1.オンライン宿泊

4月の下旬にその存在を知り、交流が大きなコンテンツであるゲストハウスとしてはとても相性の良いものだと思い、私たちも始めようとすぐに準備に取り掛かりました。

5月1日からサービスを開始し、6月末までやってみました。オンライン宿泊のポイントとしてはこれまで宿泊してくださった方との繋がりを切らさないこと、新たな方にゲストハウスのことを知ってもらえること、話題性のあるコンテンツゆえ、メディアに取り上げてもらいやすかったことが挙げられます。泊まってくださったことのある方は無料でご招待してほぼ毎回参加していただいてました。

新しくオンラインで出会った方が、6月以降実際に泊まりにきてくださることが増え、純粋に嬉しかったです。中には地元の方なので泊まりに来られなかったけどオンラインだから参加できたという方が、リアルで頻繁に泊まりにきてくれたり、遊びにきてくれたりするようになり、オンライン宿泊をやってよかった、と心から思えました。

オンラインステイ_館内案内の様子2

2020.5.24集合写真

オンラインステイ518-2


2.オンラインツアー

オンライン宿泊の延長線でオンラインツアーも始めました。2パターン実施しており①南京町ツアー②神戸夜景散歩ツアーです。

南京町に位置しているので、街のみなさんに協力をお願いして、店主さんにインタビューして店の紹介をしたり、厨房の見学をさせてもらったり。私たちだからこそ提供できるディープなツアーになりました。夜景ツアーも、通常時に毎週金曜に実施していたフリーナイトウォークをライブ配信でお楽しみいただき、神戸の夜の楽しみ方をお届けしました。

オンラインツアーはやってみて、すごく可能性を感じ、今後も続けていきたいコンテンツになりました。神戸の観光PRにもなるし、個人レベルでは体験できないディープな体験を提供できると強く思いました。

オンラインツアー配信風景


3.南京町での活動

コロナの影響で街の8割が休業するなかで、街としてもファンとの繋がりを絶やしてはいけないと思い、積極的に街の発信を組合として行いました。街の皆さんは、飲食店さんがほとんどなので、目の前のお客様がいない状況ではどうしていいのか分からない状況でしたが、それでもなんとか南京町としてできることはないかと週に1回ペースでビデオ会議を行っていました。

その中で、私たちのオンラインでの取り組みを活かして、南京町フェイスブックでライブ配信を行ったり、YouTubeを始めたりと、新参者である私たちの意見をひとつも否定せずに「やろう、やろう!」と賛同してくださり、組合員が一致団結して新しい挑戦をしてきました。コロナ渦で街の団結感が増したのは間違いありません。

4.コワーキングルームの新設

テレワークやオンライン面接などの需要が増えている中で、そういったニーズを取り込もうとドミトリールームを少しだけテコ入れし、スペース利用の時間貸しを始めました。

同時にノマドの方向けに、新設した部屋の宿泊プラン「泊まれるオフィス」プランを始めました。このプランは地元の方に利用していただくことが多く、中には家族と距離を置きたい旦那さんが長期で泊まられることもありました。

なぜホテルではなく、ゲストハウスを選んだのですか?とお聞きすると「個室が良いが、ホテルだと話相手がおらず寂しいから」というお声が。ゲストハウスという、人の顔が見えるお宿の存在意義を感じられ、勇気がもらえた取り組みでした。

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絶望的な状況でも立ち止まらないことの重要性

4〜5月は売上が無い絶望的な状況で、コストを考えると休業することもありでしたが、一度立ち止まってしまうとまた歩き出すことが難しくなってしまったり、お客様との繋がりが無くなってしまったりしそうで怖かったという気持ちもありますが、閉めるという判断をできなかったのは私自身が経営者としてまだまだ未熟だったからかもしれません。

ただ今思えば、この時期に新しい挑戦を続けたことで、私を含めスタッフのモチベーションを向上・維持できたし、何よりお客様を始め周りの方から「勇気がもらえた」というお声を多く頂けるようになり、立ち止まらずにチャレンジを続ければ得られるものが多いと気付けました。それと同時に応援して見守ってくれる人たちがいること、誰かに少しでも勇気を与えることができたことが私たちにとっての大きな気付きでした。


まだまだコロナとの戦いは続きます。ゆっくりですが6月以降のこともまた書いていきたいと思います。

ここまで読んでくださったみなさま、大好きです。ありがとうございます。














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