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注文の難しい美容室(ep.2)

はじめましてこんばんは。
池村といいます。
田中みな実さんと結婚したいと思っています。

以前1000円カットに行っているというお話をしました。その続きになりますが、よろしくお願いします。それでは始めます。
よろしくお願いします。

前回までのあらすじ

堂々巡りの美容師の質問を招いてしまった自分に愕然とした僕はゲームを再開

Q2)さっぱりする感じです?

前回同様の質問なので、まずは前回の選択肢をが瞬時に思い浮かぶ。

A1-1)伸びた分だけ。
A1-2)さっぱりしてください。
A1-3)雑誌を見せる。

しかし前回、練りに練ってA1-1を答えて陥っているこの状況、もう少し具体的に答えることにした。

A2)前髪が立たない程度に切ってください。

すると美容師はこう言った。

Q3)前髪全部切っちゃう感じですか?

!?!?

直毛で、切りすぎると立ってしまうので、そうならない程度の長さに切って欲しいという意味だったのだが…やはり「何センチくらい」とか「眉毛くらいまで」とか自分のルールを決めておくべきなのか?つまり、今後一切、僕には前髪の長さを変更することは許されないということになる。歳を重ねて前髪が後退するペースを考慮に入れて、少しずつ前髪のラインを上げていけばいいのか?仕方ないので、正直にこう答えた。

A3)直毛で、切りすぎると立ってしまうので、そうならない程度の長さに切って欲しいという意味です。眉毛くらいでいいです。

「はねちゃうんですね、わかりました」
said 美容師。

僕は「はねる」と言うテクニカルタームを覚えた。少し勢いづいて、追加で発言してみた。先手必勝だ。

A3')後ろは軽く刈り上げて、耳は出していいです。

「えりあし軽く剃って、横は切りますね」
said 美容師。

これは伝わったのか?どんな注文しても、男子の場合だいたいそうなるのではないか?僕スペシフィックな要素って今のところあるのか?もうどうしたらよいかわからない混乱の中で、ひとまず僕はセーブすることにした。

セーブ

《竹と楢》

 煩悶ですか
 煩悶ならば
 雨の降るとき
 竹と楢の林の中がいいのです
   (おまへこそ髪を刈れ)
 竹と楢との青い林の中がいいのです
   (おまへこそ髪を刈れ
    そんな髪をしてゐるから
    そんなことも考へるのだ)

 宮沢賢治『春と修羅』關根書店版,
 日本近代文学館, S47, p142-143

(つづく)

このパラレルワールドの中において、毎分毎秒が分岐点。

僕は常に選択しなければならないし、一度選んだら引き返すことはできないことはわかっています。

今日も田中みな実さんと結婚できませんでした。



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