女児のいじらしさ、中華ポリティカルサスペンスにファンタジー風味を添えて
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司書正 1巻:ISBN9784047371750
著:丸山 薫(まるやま かおる) 出版社:KADOKAWA
司書正 第一話 試し読み | ハルタ(Harta)【公式サイト】
司書、という言葉は本にかかわる人にとってはきらびやかな言葉じゃないでしょうか。書を司る、という事に個人的に興奮を覚えます。
今作において、王宮の書庫の文書をすべて覚えている人間が司書正と呼ばれています。
①司書正になるには
数えることも簡単にあきらめるくらい膨大な数の竹簡が所蔵されている蔵書楼。使えるのは国王のみ。そして国王のために書物を覚えているのが司書正。
では、誰が、どうやって、司書正に選ばれるのか。
それは・・・天命が決める!
その人の属性がどうとか関係なく、天が決めたら司書正になってしまうという恐怖。本作の当代司書正も、もともとは全く関係ない。ところが、天命が出て数刻もしたら突然司書正になってしまうのだ!それは突然で周囲にとっても受け入れがたい状況である。だが、天が決めた以上受け入れるしかない。そこに人の意思が入り込む余地はないのだから。
②宮廷のさや当て
ここはよくある部分だが、基本的に王宮が舞台の場合はほとんどの場合権力闘争が描かれる。
王に好かれない正妃と没落氏族出身の側室、次の王となる兄と弟の関係、その周りで自分の権力基盤の維持に腐心する宦官など。
腹に一物抱えた人物たちが、権力から遠い司書正に対してどのようなかかわり方をしていくのかが見ものだ。
③司書正は一人ではいられない
国中の書物を収める蔵書楼。そこにある書物の内容を一言一句誤らずに記憶して、しかも王の指示で即内容を諳んじることができる。それが司書正である。
これ、本人の能力ではない。天が授けた能力である。つまり、その時点で普通の人間ではなくなってしまったのだ。だから、身の回りのお世話をする人間が必要になる。
当代の司書正にももちろん側女がいる。彼女はもともと宮廷外の人間である。彼女も天命によって選ばれた。
彼女がとても甲斐甲斐しい。普段、司書正はほとんど生活としての行動を起こさない。身の回りのことはもちろんやらないし、食事や入浴、歩行も介助が必要だ。丁寧に、司書正のお世話をする姿を見ると、まるで宮廷の権力闘争など嘘のように見える。だが、地頭のよさ、賢さは時に自らの首を絞めるのだ。彼女が覚えてしまった文言が果たして彼女にとってどのような影響を与えるのか。
そんな司書正は全二巻で完結済みです。
もし気になった方がいたらぜひ読んでみて下さい!