見出し画像

記憶と記録のはなし

創業6年目は、コロナウィルスや株価の暴落など、
歴史に名を残すであろう騒ぎの最中からはじまった。

会社というものには大なり小なり、
毎年必ずメモリアルな出来事が起こるものだけど、
2020年はこれまでとは比じゃない荒波を乗り越えた1年だった。

いつか自分の会社の社史ができたとしたら、
創業期の冒頭にはそう書かれることだろう。


だからこそ、身にしみる。
まだ未熟な会社がこうして5年もやってこられた奇跡。

一緒に働いてくれる仲間。
僕たちを信じてくれるお客様。
貴重な人生の時間、命の一部分を使ってご一緒してくれる
一人ひとりの人たちに、感謝しかない。

・・・


僕たちは、「心射す道を、ともに描く」会社。
揺るぎない意志の言語化からはじまり、
これこそが自分たちの生き筋だと確信した未来を、
一緒に、泥まみれになりながらもなんとか実現していく。
そんな共創プロセスを仕事とする、
いわゆる、ブランディングと呼ばれる仕事だ。

言葉、デザイン、コミュニケーション設計を手段として、
広告制作にとどまらないクリエイティブで、経営に深く潜り込んでいく。

人や企業の人生において、
パッと視界がひらける瞬間。
目の色が変わる瞬間。
そんなターニングポイントに居合わせられる。
なんと幸せな仕事だろう。

だからこそ、一人ひとりから生まれた、
信じられる道が半ばで途絶えるのは、嫌だ。
調子がいい時は、まだいい。
けれど大変なときにこそ力になれる存在でありたい。
今回の一連の状況を見て、改めて思った。


しんどい会社も多い中
まだ身動きが取りやすく、
縦横無尽に動ける自分たちのような小舟が
何か役に立てることはないか。
思い立って、普段お世話になっている
お客様にfacebookやLINEで連絡をとった。

10年ほどお仕事をご一緒させていただいている
ある企業の社長から返事が来た。

「今はしゃがむしかない時期。
 出口が見えなくて、正直不安しかない。
 けれど、現場に行ってみんなの顔を見たら元気が出た。
 こんなときだからせめて、みんなで笑いたい。」

心にしみる、生きた言葉。
その場で、全社発信のための
メッセージムービーをつくろうと、話が決まった。
僕らには、アウトプットの手段がある。
クリエイティブの仕事をしていて良かったと、心から思った。

・・・


率直に言って、こうして今
関わってくれるみんなが大好きだ。
だから、自分も幸せになった上で
手の届くところから、まわりも幸せにしたい。
そのために、やれることはまだあるはず。

多くの会社にとって、今年は勝負の年になるだろう。

気を抜くと、下を向きそうになる。
だからこそ、心を強く。
基本に立ち返り、粛々と。
自分たちを鍛える機会と思い、研ぎ澄ませていきたい。

今は苦しくとも、未来が暗いとは思っていない。
結果が良ければ、あの苦しみが物語のスパイスになったよね。
そう言える未来を、信じて進む。


記録と記憶。
よく言われる言葉ではあるが、やはり僕たちは、
記録に残るより、記憶に残る会社でありたい。

記録は塗り替え可能だが、記憶は消すことのできない、
替えの効かない価値として人の心にありつづける。

じゃあ誰の記憶に残りたいかが大切になる。
それは、間違いない。
一緒に笑い合ったり、喧嘩したり
濃い時間をともにした、目の前のあなたの記憶。


・・・


3.11に会社を始めた理由。
それは、この日を何かが消えた日じゃなく、
何かが芽吹いた日にしたいと、自分なりの決意をしたから。

軽々しく話題にしていいことでもないので
あまりあけっぴろげに話はしていないが、
弱っちい自分を鼓舞するためにいつも心にしまっている、
僕なりの決意だったりする。


ギフト株式会社の6年目、はじまります。
そしてひっそりと、noteもはじめます。

人のことはどれだけでも書けるのに、
自分のことを書くのは、とんと苦手な僕が少しずつ書き溜めた考えや想いを
発信していければと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?