子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#09 令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれる
(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
支援金の負担額は「加入する医療保険制度や所得によって異なる」と政府は言う。
個人や企業は、自身の負担額がいくらになると見込めばよいのか。
山井 まずお伺いしたいのはやはりお金のことなんですね。
それで質問いたしますが、昨日、岡本議員が質問をされました。今日は政府参考人は登録しておりませんで加藤大臣だけなんですけれども、その理由は、私は本当に基本的なことしかもちろん質問しませんので。
この資料を見ると、健保組合、大企業の場合は、被保険者一人当たり八百五十円ということですよね、八百五十円。今日の配付資料にも一ページ目に出ております、八百五十円。この下に、小さく注一、要はこれは労使折半で払うということが書いてございます。
これは昨日の岡本議員の質問の続きなんですけれども、被保険者一人当たり八百五十円となっていますが、事業主負担が、折半ですから、同額入るわけです。では、労使合計すると、健保組合の平均的なケースでは被保険者一人当たり幾らになりますか。
加藤 お答え申し上げます。
被用者保険の中の健保組合、これの被保険者一人当たり八百五十円でありますが、お示しした試算においては、これは、元々は被用者保険加入者一人当たりの支援金額、月額約五百円としつつ、被保険者一人当たりの支援金も参考までにお示しをし、制度ごとに、健保協会でいえば八百五十円としてございます。
お尋ねの労使合計や年額等を含めて個別のケースについてはお答えすることはしませんが、被用者であれば労使折半となります。ここでは労使折半の金額をお示しをしているところでございます。
山井 要は、私は別に難解なことを質問しているのではなくて、素朴に、労使折半ですから、労使折半で八百五十円ということは、労使合計すると幾らになりますか。お答えください。
加藤 お答え申し上げます。
こども家庭庁としましては、あくまで本人の拠出額をお示しする方針としていますが、被用者保険ですので労使折半の考え方であることは御指摘のとおりでございます。
山井 分かりますよ。言いたいことは分かりますし、趣旨も分かるけれども、参考までに、労使合計すると幾らになるかなというのはやはり知りたいじゃないですか、当たり前の話。
だから、そういう意味では……(発言する者あり)今、自分で言ったらいいと言うけれども、私が言っても意味がないんですよ。やはり、これは加藤大臣の口から言ってもらわないと。私が言ってもしようがないんですよ、これは。
政府として、八百五十円、被保険者一人当たりだけれども、労使合計すると幾らの負担になりますか。
加藤 支援金額を国民の皆様にお示しするに当たって重要なのは、本人分として拠出をいただく額であると考えております。事業主負担額を含めて表示することは本人にとって誤解を招くおそれがあると考えるため、ここでは御本人の拠出いただく額で示させていただいております。
山井 いや、やはりこの法案のうさん臭さというのはここなんですよね。私、難しい質問はしていないと思うんです。
そしたら、加藤大臣、聞き方を変えます。
被保険者一人当たり八百五十円、健保組合ということは、労使折半だからこれは半額なんですよね。だから、労使合計すると掛ける二で千七百円ですか。
加藤 被用者保険につきましては、労使折半の考え方の下、別途、事業主拠出があるというのはそのとおりでございます。
山井 いやいや、ですから、その考え方に基づくと、被保険者一人八百五十円ということは、労使合計すると、折半して八百五十円ですから、掛ける二だから千七百円ですか。お答えください。
加藤 全てのケースではありませんが、基本的には倍にしていただいても結構でございます。
山井 倍にしていただいて結構ですということですよね、それは。
谷 山井君、指名してから発言をお願いいたします。
山井 はい。
労使折半だから半額になっているわけだから、倍にするのは当たり前ですよね。
ついては、健保組合のこの平均的なモデルの八百五十円の方の場合は、倍にしていただいて結構ですということは、千七百円という理解でよろしいですか。
加藤 被用者保険については、労使折半の考え方の下、別途、事業主拠出があるというのはそのとおりでございます。
また、他方、健保組合につきましては、事業主が従業員分以上に拠出することが可能であり、その分、従業員の本人拠出は低くなりますので、一概に申し上げることはできません。
山井 え、折半じゃないんですか。
加藤 基本的には折半で。
山井 それで、言ったら悪いけれども、私たちはもっと本質的な議論をしたいんですよ。ただ、入口として、国民的に幾らか知りたいのは当たり前じゃないですか。労使合計したら幾らなのかなと。参考までにですよ。別に、千七百円がメインだとは言いませんよ。
八百五十円の場合は労使合計すると幾らになりますか。二倍すると千七百円だけれども、千七百円ということでよろしいですか、加藤大臣。
加藤 繰り返しになりますけれども、支援金額を国民の皆様にお示しするに当たって重要なのは本人分として拠出いただく額であると考えており、その額で示させていただいております。
山井 いや、ちょっと、始まって十分ですけれども、これはイロハのイですよ。
ちなみに、八百五十円の健保組合の企業に働いている人は労使合計の負担は幾らになるんですか。別に難しい質問じゃないので、これを答えられなかったら先の質問に進めないんですけれども。
ちょっと、委員長、相談してもらえませんか。一回止めてください。はっきり言って、私も四十五分しか時間がないので、こんなことすら答弁しないというんだったら審議できないですよ。
加藤 基本的には倍の計算になりますけれども、健保組合につきましては、事業主が従業員分以上に拠出することも可能でありますので、一概に申し上げることはできません。
山井 だから、そうしたら、基本的には倍とおっしゃったから、基本的には千七百円ということでいいですか。
加藤 基本的にはそうなりますので、計算上その額になるところは多いと思います。
山井 ちょっとこだわるようですけれども、千七百円になるということで、千七百円と言ってもらえますか。
加藤 基本的には千七百円となるところが多いという考え方でございます。
山井 いや、これは、昨日、岡本議員が質問されて、岸田総理が答えなくて、私はあえて言いますよ、加藤大臣も被害者じゃないかなと思うんですよ。こんな、千七百円と言うぐらい普通に言えばいいのに、岸田総理が言わないから、結局、何でこんなことで加藤大臣が、え、千七百円と言っていいんですかなんと。二掛けたら千七百円になるに決まっているわけですよね。
でも、やはり、はっきり言いまして、ということは、健保組合の方が労使合計すると千七百円ということですね。
ということは、基本が……(発言する者あり)今、医療ということをおっしゃいましたね。ということは、ちょっとこれも基本的な質問に行きますよ。一か月千七百円以上ということは……(発言する者あり)それは分からない。一か月千七百円が基本ということは、十二掛けると、一年間では、加藤大臣、二万四百円ということでよろしいですか。
加藤 委員御指摘のとおり、年額であれば月額に十二を乗じることとなります。
山井 いや、そこは大事なので、月額千七百円に十二掛けたら幾らになりますか、念のため。
加藤 千七百掛ける十二は二万四百でございます。
山井 労使合計の年額で二万四百円なんですよ、年間。
じゃ、一応、同じ企業に同じ所得の奥さん、夫、パートナーが働いていたら、共働きだと年間二万四百円は、全く同じ職場で同じ給料でというところだったら、共働きだと二万四百円が幾らになりますか。
加藤 お答え申し上げます。
個別のケースについて逐一お答えすることはいたしませんが、いずれの制度におきましても、令和三年度の医療保険料額の四から五%相当額が個々人の支援金額と見込まれることを参考までにお示しをしてございます。個々人におきましては、ある程度のイメージはこの四から五%ということでイメージが持てるものと考えております。
山井 いや、これは、同じ健保組合に入って、同じ職場で同じ収入という仮のケースは、二万四百円掛ける二で、共働きだったら四万八百円じゃないんですか。四万八百円でしょう、いかがですか。
加藤 共働きだったらというお話ですが、同じお給料で、世帯で見れば二倍という考え方は委員御指摘のとおりでありますが、その世帯は平均的な所得も二倍の所得があるということになり、サンプルとして適切かという課題もあることから、こちらから金額として申し上げることは控えます。
山井 いや、いい悪い、高い安いを判断するのは国民なんですよね。やはりその参考にお答えいただきたいのは、同じ健保組合で、同じ収入、同じ働き方、同じ給料の共働きがいたとしたら、夫か妻が二万四百円としたら、共働きだったら四万八百円、二倍になる、四万八百円ということでよろしいですね。
加藤 個別のケースについて逐一お答えすることはいたしませんけれども、共働きのケースで同じお給料であれば、世帯で見たら二倍というところは、考え方は御指摘のとおりでありますし、また、所得に応じて支援金額が変わってまいりますし、また、再三申し上げております歳出改革による負担軽減の効果も、所得が大きいところ、また拠出の大きいところはその分負担軽減効果も大きくなるというところも留意が必要であると考えております。
山井 今、二倍になるということをお認めになりましたから、労使合計すると、年間、共働き、大企業の平均的なケースであると四万八百円。これはかなりの額だと私は思います。
これね、加藤大臣、なぜこだわるのかというと、事業主負担というのはやはり大きいんですよ。なぜかというと、ある事業主が二千円月給を上げようとしていた、でも、子ども・子育て支援金が入って二千円に事業主負担がなったら、賃上げが無理になる可能性があるんですよ。そういう意味では、事業主負担は関係ないということはないんです。だから私たちは合計額を聞いているんです。
そこで、今日の日経新聞の社説を見ていただきたいんですが、今日の配付資料の十四ページ、ラストにございます。
今朝の社説、「この試算で育児支援の議論は深まらない」。私が言っているんじゃありません、日経新聞ですね。真ん中あたり。支援のため誰にどんな負担を求めるのか、その情報が示されなければ制度の実像は見えてこないはずだ。それなのに、こども家庭庁が二十九日に公表した支援金制度による負担額の試算は極めて限定的な内容だと。ちょっと、念のため読み上げます。給付と負担を一体で見たときに子育て世帯にどんな受益がある制度であり、それが世帯所得によってどう変わるのか。支え手となる人たちの負担は単身や夫婦二人などの世帯類型や所得別にどうなるのか。こんな基本的な情報をなぜ示さないのか不思議でならないとなっているんですね。
ついては、これは質問通告をしておりますので、今の健保組合の場合、平均的な方の場合は被用者一人当たり労使合計で千七百円、折半で八百五十円ということは示されていますが、質問通告しましたが、年収が二百万、四百万、六百万、八百万、一千万のケース、質問通告の質問十ですね。これの月と年の労使を合計した負担額、一人当たり幾らでしょうか。お答えください。
加藤 お答えを申し上げます。
先日お示しした試算におきましては、被用者保険の加入者一人当たりの支援金額は月額約五百円としつつ、被保険者一人当たりの支援金額も参考までにお示しをし、協会けんぽで七百円、健保組合で八百五十円、共済組合で九百五十円としております。
お尋ねの年収別の拠出額につきましては、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概には申し上げられません。
他方、被用者保険における支援金額は、所得、いわゆる負担能力に比例するものでございまして、いずれの制度におきましても、拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれることをお示しをしてございまして、個々人が、ある程度、この数字をもって御自身の拠出額のイメージを持つのには必要な情報提供ができているものと考えております。
山井 いや、日経新聞の社説で、これでは制度の議論は深まらないと言っているじゃないですか。やはり、年収が二百万か、四百万か、六百万か、八百万か、一千万の場合、八百五十円の被保険者一人当たりの負担額は幾らになるのか。知りたいのは当然だと思いますよね。自民党さんも知りたいですよね、本当に。それによって全然イメージが違うからね。
そうしたら、ほかの聞き方をしますが、加藤大臣は、さすがに大臣は御存じなんですか。一応八百五十円となっているけれども、二百万、四百万、六百万、八百万、一千万だったら、幾らぐらいに減ったり増えたりするか、加藤大臣本人は御存じだけれども山井には言えないということなのか、御自分も実はそれは知らないということなのか、どっちですか。
加藤 拠出していただくそれぞれの額についての考え方は承知をしてございますが、個々の年収額に対し幾らというところを個別一つ一つ計算をしてというよりも、全体の考え方として、私自身、理解と把握をしているつもりでございます。
山井 ということは、私に言えないだけじゃなくて、加藤大臣御本人も、二百万、四百万、六百万、八百万、一千万の年収の場合、この平均八百五十円が幾らに増えて幾らに減るのかというのを大臣も分からないということですか。
加藤 お答え申し上げます。
個別の年収額に応じて幾ら幾らと逐一計算をして把握しているといいますよりも、算出の方法ですとか考え方で把握をしておりますということと、それぞれの場合を含めてイメージをしていただくという話であれば、各個人、保険料額、こちらは皆さん御存じだと思いますので、こちらを見て、それに対して掛ける四%から五%、それを計算していただければ、それぞれの皆様がイメージを湧かせていただけるものと承知をしております。
山井 ということは、加藤大臣も御存じないわけですよね。でも、これは負担ですから、国民の皆様に負担を強いるときに、平均的なイメージは自分は分かっているけれども、高所得の方、低所得の方が幾らになるかは私は理解していませんというのは、これはやはり当然話にならないわけで、日経の社説でも、これでは何か都合の悪い情報を隠しているとの批判を受けてもおかしくない、実質的な負担は生じないという主張も国民の不信を高めかねないということなんですね。
委員長、私たちは、建設的に、前向きな子育て支援の財源の議論をしたいと思っているんですけれども、一番国民が不安に思っている、関心を持っている負担が分からないということでは、今後審議していくに当たって、毎回、所得別の負担額を出してくれなんて、こんな議論はできませんから。言っちゃ悪いけれども、私も、もう三十分たっていますけれども、もっと中身の議論をしたいわけですよ、はっきり言って。
まず、加藤大臣にお伺いします。出してもらえませんか、次の審議までに。やはり、繰り返し言いますよ、山井が言っているんじゃないですよ、日経新聞さんが社説で言っているんですから。これは多くの国民の素朴な感情ですよ、負担、自分の場合、幾ら増えるのと。せめてそれを示さないと審議が深まらない、言っちゃ悪いけれども。
例えば、ラーメン食べられませんかと言われて、額は幾らですかといって、それは言えませんとか。そうすると、値段によってこの制度はいいか悪いかとやはり思うじゃないですか。それを、平均的なレベルは見せますけれども所得階層別には見せられませんということでは、国民は、喜んでいいのか悲しんでいいのか、反対していいのか賛成していいのかも分からないわけですから。
加藤大臣、次の審議までに、日経新聞も社説に言っているわけですから、所得階層別の負担額、出していただけませんか。
加藤 先ほど、個別の計算、所得が低い方、高い方のことを全く把握していないというような御指摘のように受け止めましたけれども、そういうことではありませんで、計算方法や考え方は私自身把握しておりますし、あと、お尋ねの年収別の拠出額については、具体的な、かっきりとした数値で出すということは、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概に申し上げることはできないということを申し上げてございます。
他方で、被用者保険に関する支援金額は、先ほども申し上げましたけれども、所得、負担能力に比例するものでございまして、どの制度においても、拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれますので、下手に区切って、それに対して幾らと、自分自身が当てはまらないケースでお示しをするよりも、お一人お一人が御自身の医療保険料額を見た上で、例えば四%から五%を掛けてイメージを湧かせていただく方が、御自身に引き寄せたイメージを湧かせていただけるもの、このように考えてございます。
山井 私はこんな法案を聞いたことがないですよ、負担額は御自身で計算してくださいと。そうしたら法案審議が成り立たないじゃないですか。負担を求めるのは政府なわけですよ。
そうしたら、例えば、健保組合、平均八百五十円ですけれども、高所得者によっては二倍の千七百円より上回ることはあるんですか、ないんですか。お答えください。
加藤 通告を受けておりませんこともありますし、個別のケースについてはお答えを控えさせていただきます。
山井 ただ、割と基本的なことですよ、これは。高所得者になったら、いや、大体のイメージはつかめているとおっしゃったから、八百五十円のケースで二倍の千七百円を超えるケースがあるのかどうか。これは割と基本的な話ですからね。加藤大臣、いかがですか。
加藤 御指摘のケースは多いと思いますが、様々なケースがあると考えられます。
山井 ということは、様々なケースがあるということは、倍以上の、高所得の方に関しては、八百五十円じゃなくて千七百円を超えるケースも、様々なケースということであり得るという理解でよろしいですか。
加藤 所得、つまり負担能力に比例してございまして、様々なケースがあると考えられます。
山井 ということは、やはり今の答弁によると、八百五十円と言っているけれども、所得の高い人によっては月に千七百円、月千七百円ということは労使合計すると三千四百円、ということは年間四万八百円。これはかなりですよ。もちろん高所得の人ということですけれどもね。政府は四百五十円、四百五十円とか言っているけれども、今計算していったら、そうしたら、所得が高い人の場合は、四百五十円どころか、年間、労使合計すると四万八百円になるかもしれない。これは百倍ぐらいの話ですからね、もちろん月と年とは違いますけれども。
何かその辺りが、やはりこれでは審議が深まらないので、是非とも次の審議までに。いや、言っちゃ悪いけれども、給料が変わるというのは当たり前ですよ。今の給料水準でいいですよ、だから。そんな大幅に、一〇%、二〇%も変わらないんですからね。今の給料水準を仮にやって、次の審議までに所得別のデータ、二百、四百、六百、八百、千ぐらいで、五段階ぐらいで出していただけませんか。
加藤 繰り返しになりますけれども、お尋ねの年収別の拠出額につきましては、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概に申し上げることはできないものと考えております。
また、何度も申し上げますけれども、皆さんの拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれますので、階層別でお示しするよりも、お一人お一人で御自身の医療保険の保険料を御確認の中で、その四から五%分が支援金の拠出額だというふうにイメージをしていただくことが適切だというふうに考えております。
参考資料等
子ども・子育て支援金に関する試算(医療保険加入者一人当たり平均月額)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ba94b64b-731f-4f48-97ba-b54a76b0aeb6/c7406e3d/20240514_councils_shienkin-daijinkonwakai_05.pdf