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『英語学習教材 1945年の「ポツダム宣言」を1文ずつ読む本』 

Kindle電子書籍『英語学習教材 1945年の「ポツダム宣言」を1文ずつ読む本』より一部を抜粋して公開します。


はじめに

 この本は、1945年7月26日に発せられた「ポツダム宣言」を、1文ずつページを分けて、英・日併記したものです。
 主に、日本の中学生・高校生の英語学習(英文読解)の素材として読まれることを意図しています。

「ポツダム宣言」(以下「宣言」と記す)とは何でしょうか?
 名前だけは知っている。
 交戦中の日本に対して連合国側が降伏を迫った文書だ。
 でも、中身を読んだことはない。――
 私もそうでした。

 あれこれ書かれた説明を読むより、原文にあたるに如しくはありません。
 そして読んでみたら、意外と面白かったのです。

 3点を挙げましょう。
 1点目。
「宣言」を読むと、国が国を脅迫するとはどういうことか、がわかります。
 2023年現在、ロシアとウクライナが戦争状態にあります。
 互いに相手を脅迫するようなコメントが日々発せられています。
(プロレスの世界と似ているな、と私は思います。)
 これと同じように、当時は、米・英・支の三国が日本を脅迫しました。
(代表者名で言えば、トルーマン・チャーチル・蒋介石です。)
 実際に、宣言の11日後に、核兵器が使用されました。

 2点目。
「宣言」は、たんに日本に降服を迫るだけでなく、今後どうするか? の見通しを含んでいました。
 降伏後のプランの〝大筋〟が、すでに示されていたのです。
「宣言」を読むと、それがわかります。

 3点目。
 日本国内では「宣言」の受入れをめぐって揉めました(とりわけ天皇の処遇に関して)。
 しかし結局は、そのまま受入れて降伏しました。
 その間に、ソ連が参戦し、「宣言」に相乗りすることを決めました。
「宣言」は、米・英・支・露・日の〝共通認識〟になったのです。
 連合国は、「宣言」に書かれたプランに沿って、軍国主義者に乗っ取られた不良国・日本の〝更生〟に着手します。
 ところが、その更生プランが完了する前に、連合国陣営が割れてしまいました。
 すなわち「米・英」組と「露」組に分かれて対立するようになりました。
 また「支」は、蒋介石派と毛沢東派に分裂してしまいました。
 朝鮮半島では実際にドンパチが始まってしまいました。
 状況が混沌としてきました。
 そして日本は、一方のリーダーである米国の導きに従って、更生プラン完了のお墨付きを得て、〝新生日本〟として国際社会に再デビューを果たし、「米・英」組の一員として歩みを進めることになりました……
 という歴史の大きな流れが、「宣言」を知ると見えてきます。

「宣言」は全部で13項目から成ります。
 英文の数にして、24です。
 教材として多すぎない分量と思われました。
 しかも、英文読解の訓練になると同時に、歴史の勉強にもなる。
 一石二鳥。――
 それで本書をつくることにしました。

「宣言」はスピーチなどではありませんから、その英文は、決して読み易いとは言えません。
 しかし中高生が読解できないレベルでもありません。
 ちょっとお硬い文章を読み解く練習に、ちょうどよいと思われました。

 また受験生に限らず、「宣言」の内容は、これをいったんストンと腹に落とし込んでおかないと、その人は戦後の歴史に関する方向感覚を欠いたまま一生を終わることになるでしょうから、年齢に関係のない重要性を持っていると言えます。
 その意味でも「宣言」は、一度時間をとって、じっくり読んでおく価値があります。


(続きはKindleでお楽しみください。)

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井川夕慈
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