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『ざっくり理解する気候変動2022』 日本の作戦は「電力システムをどうにかする」こと

井川夕慈のKindle電子書籍『ざっくり理解する気候変動2022』より一部を抜粋して公開します。


気候変動から逃れられない世代

 遅ればせながら、気候変動について調べてみようと思う。
 気候変動は英語で「CC」と略される。〝Climate Change〟の頭文字である。
 同じ「CC」でも〝Climate Crisis〟と解するべきだとの見方もある。もはや「変動」にとどまらず「危機」に至っているというわけだ。この場合の「CC」は「気候危機」と訳される。
 その「CC」について今さらながら調べてみようと思った理由は二つある。
 理由の一。
 このところ毎年毎年、気候が昔とは変わったことが実感されるから。
 気象庁のウェブサイト「災害をもたらした気象事例(平成元年~)」によれば、二〇一九年以降に絞っても、次のような災害が記録されている(一部省略)。

二〇一九年八月 九州北部地方を中心に記録的な大雨
二〇一九年九月 令和元年房総半島台風(台風第一五号)。千葉県を中心に記録的な暴風、大雨。広範囲で大規模な停電が発生した。
二〇一九年一〇月 令和元年東日本台風(台風第一九号)。記録的な大雨、暴風、高波、高潮。
二〇一九年一〇月 千葉県と福島県で記録的な大雨
二〇二〇年七月 令和二年七月豪雨。西日本から東日本、東北地方の広い範囲で大雨。四日から七日にかけて九州で記録的な大雨。球磨川など大河川での氾濫が相次いだ。
二〇二〇年九月 台風第一〇号。南西諸島や九州を中心に暴風や大雨。
二〇二〇年一二月 北日本から西日本の日本海側を中心に大雪。関越道等で多数の車両の立ち往生が発生。
二〇二一年一月 北日本から西日本の日本海側を中心に広い範囲で大雪・暴風。秋田県などで停電発生。
二〇二一年七月 東海地方・関東地方南部を中心に大雨。静岡県熱海市で土石流が発生。
二〇二一年八月 西日本から東日本の広い範囲で大雨。総降水量が多いところで一二〇〇ミリを超える。

 これを見ると、梅雨から夏にかけては、昔は聞いたことのなかった「線状降水帯」なるものが発生して大雨に襲われ、秋には巨大台風が通過し、冬にはドカ雪が降るということが年中行事のようになっている。気候は明らかに変わった。
 理由の二。
 この先少なくとも二〇五〇年あたりまでは、気候変動が世界の主要課題になることが確実のようだから。
 私事で恐縮だが筆者は一九八〇年生まれの四二歳である。現在が二〇二二年だから、仮にあと四〇年生きるとして二〇六二年までということになるが、自分の残りの人生の全て(少なくとも大半)は、気候変動の影響から逃れられないことが確定していると思われる。
 ならば、気候変動の現状とこの先の見通しについて、このあたりで一度腰を据えて集中的に調べておく価値はあると考えたのだ。

 以下、大きく次の流れで見ていくこととしたい。

世界の現状認識
世界の対応
日本の現状
日本の対応
日本の電力の現状
総括

 まず気候変動に関する世界の現状認識を確認した後、この事態に世界がどう対応しようとしているかを見る。そして日本における現状を確認し、これに対して日本がどう対応しようとしているかを見る。対策の中心にはエネルギー部門、中でも「電力」があるのでその現状を垣間見てから、最後に全体を総括することとしたい。


(続きはKindleでお楽しみください。)


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井川夕慈
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