スクリーンで観た「蜘蛛巣城」はジャパニーズホラーの最高峰だった。
午前十時の映画祭にて4Kデジタルリマスター版を鑑賞。
個人的には待望の4Kレストア版の鑑賞だった。
初見は東宝のDVDだったので画面もお粗末だし音声も聞き取れない。日本語字幕を出してようやく最後まで見た記憶がある。メディアの解像度は良し悪しがあって例を挙げれば「椿三十郎」では咲き誇る椿が「造花」であることが明瞭で気になってしまい物語への集中を妨げてもいた。
しかしこの作品に関しては「解像度アップ」と比例して見る側の集中力と緊張感を高めていった気がする(事実、格段に画質が向上したクライテリオン社ブルーレイ版では黒澤組の細部に渡る徹底した作品制作の姿勢が一層浮き彫りとなっていたと思う)
さて、今回の4Kデジタルリマスター、期待していたのはやはり「聞き取りにくさで定評のあるセリフ」の改善であるが、冒頭の伝令が戦況を伝える場面が相変わらず聞き取りにくくて(ストーリー上重要な事を言っているのに)「やはり限界があるのかな...」とも思ったが、気になったのはその場面くらいで大部分で大幅に明瞭さが向上していたように思う。
そして、画質だがこちらは文句のつけようがないほど美しく修復されてた(とはいえ私が鑑賞した劇場は2K上映なので4K修復の恩恵を完全に享受できていたとは言えないのだが...)いつくかのカットでは従来版で気になっていたコマのブレやつなぎも修復されており、あの有名な「矢ミフネ(修復前は微妙なコマブレがあった)」の場面は現代でも通じるような特殊効果になっていて見ていてギョッとしたほど。
過去何度も見ているこの作品だが、劇場スクリーンでの鑑賞がこれほどまでに恐怖心を喚起するとは思っておらず、伝説のラストシーンでは震えが止まらなかった。とにかくおっかなかったな....。