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九月の自選短歌と岡野大嗣さん、枡野浩一さんに選んでもらった短歌


お茶碗にパピコをぜんぶ絞り出し分けあっていた3人兄弟

性愛にいたる過程と思いつつ両手で受けるきみの吐瀉物

「うざいね」と話しかければ「お前もな」とつっこんでくる関西らしさ

ピストルで頭を撃ってくれますか? ぼくがゾンビになったとしたら

知らんがな・オブ・ザ・イヤーに選ばれた俺のほくろは108個です

生ハムをメロンにのせて美味しいという人みんな無理してないか?

から揚げにレモンをかけて食べてよい 宅飲みという解放区では

蓮根の穴をのぞくと100億のドラえもん型ロボットの群れ

となりから金木犀の香がこぼれきみが眠っているのに気づく

めちゃくちゃに怒られた日は九月でも冷やし中華を食べたいのです

あんぱんはいつでもぼくにやさしくて「おまえはだれだ」と問うてはこない

命から命をつなぐみつばちのように愛したあとの身震い

ラブレターだとは気づかれないように書いたら長い暑中見舞いに

彼岸から此岸にむけて降る雨にしずかに濡れていく曼珠沙華

さびしさをコオロギの音がつれてきて、ひとりで目指すローソンの青

眩しげに海をみているあのひとと輪廻のなかで会った気がする

今月買った本は、フラワーしげる『世界学校』、枡野浩一、内田かずひろ『みんなふつうで、みんなへん。』、枡野浩一『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである枡野浩一全短歌集』、しんくわ『しんくわ』でした。

『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』より好きな一首をあげておきます。

ハッピーじゃない だからこそハッピーな歌をつくって口ずさむのだ

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