スタインベック『怒りの葡萄(上)』感想文
まず、率直にとても面白かったです。トムが出所してトラックに便乗するところまでは何の話かわからずちょっと退屈でしたが、第5章でいきなり視点がかわって小作人がトラクタに逐われるエピソードから一気に作品の世界へ引き込まれました。この小説はジョード一家の物語がメインですが、当時のアメリカの情勢がわかるようにこのような視点変更が入っているおかげで飽きずに読めたように思います。
私の印象に残っているのは、土地から追い出された何万もの人々が車で66号線で西部に向かう際に、自然と集団での野営