新版『極道の刀使』劇中もろもろ解説

おはようございます。いかろすです。

まずはとじオンリーお疲れさまでした。感想がぼちぼち届いており、楽しんでもらえてるみたいで驚きです。ありがとうございます。

新版極道の刀使ですが、制作にあたってはpixiv版のテキストを元にほぼすべて打ち直す形で新しい文章を発生させつつ、ついでに新しい要素を埋め込んでいきました。

で、本題。今回は私のオリ刀使シリーズの時系列に合わせること、新しい要素を盛り込んでみることを鑑みた末に、中国人キャラクターと中国語を盛り込むことに決めました。
作中背景には、無銘夜行(オリ刀使長編)でいろいろあって福代組が一時的に弱体化し、そこで横浜に半グレが流入。しかし中国とのコネクションを作ってより一層増強された福代組がハマに舞い戻り、大人げない暴力で半グレを潰して回っている……というのがあったりします。直衛はそんなこと知らんので書いてませんが。現実だったら無理だろとか言わないで。そういうこともあるって、たぶん。
で、中国語なんですけど。別に読めなくてもよくて、でもこういうの気になるよね~という気持ちもわかるので、その辺りの解説をしようと思います。
基礎的な単語、文法しか使ってません。そうそう間違ってることもないと思うのですが、なんかあったら全部わたしが悪いです。ではどうぞ。

辛苦了xinkule

これはもういいだろという感じですが、だいたい「お疲れ様」的な意味です。日本語のお疲れ様って無限の分岐を持つ異常ワードなのでニュアンスを探っていくと中国語でもさまざまな語彙があるんですが、このシチュエーションではだいたい辛苦了で通るみたいです。

小姐xiaojie

これもいいだろですが、意外と意味が広い言葉です。おおむね「Miss Newfield」みたいな、未婚の女性に対して使うさん付け表現で、身分の高い女性に対する「娘さん」「お嬢さん」みたいなニュアンスもある。直衛は言うなれば「お嬢」なので、これが適当かと思います。

大哥dage

兄貴。

最棒的工作zuibangdegongzuo 你会成好的杀手吧nihuichenghaodeshashouba

最高の仕事です……きっとすばらしい殺し屋になるでしょう みたいな。
今回の中国語って読まれる必要がないからこういう形にしたわけですけど、伝わってもらわなきゃ困る部分もあるので杀手は繁体字を使って殺手と書いています。伝わっていたら嬉しいね。

wo……我曾经想成杀手wocengjingxiangchengshashou可是我没有才能keshiwomeiyoucaineng

「お……おれは昔、殺手になりたかったんです。でも才能がなくて……」みたいな。ちょっと興奮気味に、彼は自分の出自を語ります。殺手ってかっこいいもんね。なりたいのもわかるよ。でも運転手に収まっとくのがいいと思うし、そもそも黑社会に首を突っ込んじゃいけない。とはいえ突っ込まざるを得ない人たちがこの世にはたくさん居るのです。悲しい。てか運転手ってめっちゃ大変ですよ、ベイビー・ドライバーで観たことある。

殺手shashou→殺し屋

実際殺手をグーグル翻訳にかけると「キラー」って出てきて最悪なんですけど、まあだいたい殺し屋という意味で通りつつ副次的に「背影杀手beiyingshashou(後ろ姿が美しいことを表すスラング)」みたいにユニークな使われ方もしてるみたいなのでいいんだと思う。ヘミングウェイの『The killers』も『殺し屋』だし。

これはもはや極道の刀使も関係ないこぼれ話なんですけど、pixivで極道の次に投稿した『冷刃殺手』は敬愛する月村了衛先生の機龍警察シリーズ第六作『狼眼殺手』のオマージュだったりします。
ですがそもそも『狼眼殺手』の前には同著者がシリーズ構成・脚本を務めたアニメ『ノワール』に登場するキャラ、シャオリーの通り名であり話数タイトルにもなっている〈冷眼殺手〉があったりします。シャオリーは名前からも推測できるところですが、台湾黑社会の殺手です。ノワールは傑作なのでみんなも観てください。
そしておそらく、その元ネタになっているのはこれまた台湾黑社会の実在の殺手にして〈冷面殺手〉の異名を持った男、劉煥榮リゥファンロンと思われます。この人台湾でメチャクチャやった後に日本に逃亡して捕まっているらしいです。気合を入れてオマージュをやったら本当に奥の奥まで接続されちゃった感があって一人でずっとニヤニヤしていたので、ここらで書いておいてもいいかなと思いました。あれ? これ冷刃殺手読んでないと伝わらなくない? まあいいや。面白いのでまだの人は読んでみてください。

はい、こんなところでしょうか。残りは劇中に日本語のルビ振ってあると思う。
あとがきに色々書いたので、特に語ることもないと思います。じゃあね~。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?