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砂塵ノ魔女 無銘夜行Ⅱ あとがき

おはようございます、いかろすです。

これのあとがきです。

とにかく長くて開くのをためらうこと請け合いの小説ですが、読んでくれた人、ありがとうございます。まだ読んでない人、おもしろいので読んでみてください。ここから読んでも割りといけるはずです。

まずこれを書くに至った経緯をお話したいのですが、そのためには2019年の話からしないといけないらしいです。その頃わたしは刀使ノ巫女 冷刃殺手(刀使を狙った連続殺人事件を描くサスペンス中編)という長い文章をインターネットに投げつけたのですが、その際「御刀は海外に持ち出されたことがある」という公式質問箱からの回答を引っ張ってきて「御刀が中国に持ち出されたが、その際武装組織の襲撃に合って五振りが奪われてしまった」という設定をでっち上げました。冷刃殺手の劇中では、その内四振りが回収されています。

なぜ一振り残したのか、事細かには覚えていないのですが、残り一振りに思いを馳せたとき「この御刀がシルクロードを通って紛争地にたどり着いたら、刀使の最悪の有用性を描きに行けるのでは」と思いつきました。有用性の話は極道の刀使辺りでしてる気がします。その思いつきから生まれたプロットがあり、そのタイトルは『巫女が魔女に変わる地で』でした。読んだ人はお気づきかもしれませんが、これは砂塵ノ魔女Chapter1の章題そのまんまです。実際Chapter1の内容は、このプロットとおおむね一致しています。

とはいえ思いついただけでみこまじょの執筆に取り掛かるでもなく、そこからなりそこない(刀使とエンジニアの姉妹の話)と無銘夜行(刀使を擁する諜報機関〈無銘機関〉の暗闘劇)が発生し、正直刀使の二次創作(?)でやれそうなことはやり切ったんじゃないかと思っていた頃。ふと、無銘夜行とみこまじょは接続出来るのでは……? と思いついてしまいます。思いついても実行するなよという感じですが、なぜか実行しました。はい、そういうことです。

読んだ人が気づいているかどうかは定かでないですが、今作では舞台となる場所の国名をごくわずかな例外と参考文献ページを除いて記載していません。書かずに行く選択をした理由自体は一応明確にあったんですが、書き終えた今にして思えばフィクションだからといって今この世界に在る現実を背負う覚悟がなかったのかもしれませんね。とはいえ、込められるものは込めたつもりです。

砂塵ノ魔女はさまざまな人間の協力を経て書き切ることができています。プロットの話を聞いてくれた人、フランス語について教えてくれた人、先行配信から待っててくれた人、エトセトラエトセトラ。ありがとうございます。書き途中の原稿に巨大な変化を生じさせてくれた朗読劇にも感謝しています。これは本当に刀使ノ巫女の二次創作なのかと思いながら書いていましたが、砂塵ノ魔女はたしかに刀使ノ巫女という異様に度量の広い作品の二次創作なんだと思います。書いてよかった。

楽しんでもらえるのがなによりです。そして、少しでもあなたの世界を広げる一助となる作品であれたら幸せです。では。




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