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伊香保くらし泊覧会 発起人の思い Vol.4 〜自分と伊香保に正直に向きう だから得られる大きな学び〜

伊香保くらし泊覧会の発起人である、伊香保おかめ堂本舗の4名。
どんな思いで伊香保くらし泊覧会の企画をスタートさせたのか。そして、第一回目の企画が終わった今、どんなことを感じているのか。
改めて、それぞれの立場からお話しいただくことにしました。

最後の4人目の話し手は、いかほ秀水園・飯野由希子さん。

いかほ秀水園3代目・飯野由希子
1976年、群馬県生まれ。1995年、県立渋川女子高等学校卒業、1999年、東洋大学社会学部社会学科卒業。1999年4~2002年7月まで、スエヒロ商事勤務、2002年8月より家業に戻り、いかほ秀水園若女将として勤務。
いかほ秀水園HP

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▲伊香保おかめ堂本舗4名(左から、民芸山白屋 真淵、千明仁泉亭 千明、ホテル松本楼 松本、いかほ秀水園 飯野)

「自分の関心のあること」を切り口にすることで 見えてくる自分の役割

伊香保くらし泊覧会の企画がスタートした2020年10月。正直なところ、私の想像力が乏しいがために、自分の役割をしっかりと把握できないままでいました。宿の客室で、作家さんの作品が体感できる宿泊プランを計画することは理解していたのですが、では、宿を提供する以外に自分になにができるのか?と。

しかし、私は「やってみないとわからない」と考えるタイプで、打ち合わせに参加しながら自分の役回りを探していきました。(トークイベントでご登壇いただいたナガオカケンメイさんのことも今回初めて知ったくらいでした・・・^^;)

とある打ち合わせで「客室で県内のお店のお菓子が食べられれば、群馬らしさが伝わっていいよね」という話になった時、“お菓子”は自分が好きなものだったので、それであれば調整役を引き受けられるなと思いました。そうやって、まずは自分の関心のあることを通してこのプロジェクトを見つめ、具体的な自分の携わり方を見出していったように感じています。

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▲伊香保くらし泊覧会開催期間中、客室で提供したお菓子 元総社えんにち茶屋Pâtisserie un(前橋市)


伊香保くらし泊覧会を通じて得た 3つの大きな学び

このプロジェクトを通じて、本当にたくさんのことを学びました。(全部当たり前じゃん!ってことばかりなのですが…^^;)


〜1〜
自分の得意なことを生かし、

できないことはできる人にお願いする

自ら担当を買って出ることで、ようやくプロジェクトの骨格が見えてきて、何をやればいいかがも徐々にわかってきました。それと同時に、自分の特性も知りました。

このプロジェクトに限らず、私は0から何かを生み出すことは苦手だけれど、出来上がったものを運用することは得意な方。伊香保くらし泊覧会では、作家さんという「作り手」、器を販売する「売り手」、そして実際に器を体感する場所を提供する「宿」など、様々な立場の人たちに携わっていただきました。

それぞれが自分の得意なことを生かし、自分にできないことがあればできる人にお願いをすることの大切さを改めて学びました。異なる立場の人たちが集結したことで、事業の質が本当にあがったと感じています。

うちの場合は、mingさんに売り場のコーディネートをご協力いただいて、新しい発見がたくさんありました。「売り場ってこうやってつくるのか〜!」と直に学ばせていただき本当に感謝しています。

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▲伊香保くらし泊覧会期間中のいかほ秀水園の売店 作家さんの作品がその場で購入できるようにコーディネートいただいた。


〜2〜
自分の考えをきちんと言葉にする

コロナ禍に始動したプロジェクトですが、スタートから3ヶ月後の2021年1月に出された緊急事態宣言によって「本当にこのままの形で決行すべきなのか?」という強い不安が私の中で湧き起こりました。

自分は比較的「言いたいことを言える人間」だと思っていたのですが、緊急事態宣言を突きつけられた時、自分が感じている不安を正直に周囲に伝えられていなかったことに気づかされました。無意識のうちに、言いたいことを言える人間を振る舞っていたんだと思います。

このような気持ちを押し込めたままイベントに突入することはやはり良くないと考え、胸の奥にあった気持ちを、思い切ってチームにぶつけました。(おかめ堂の活動を始めて以来、これまでに一度もなかった様な経験で、自分でもびっくりでした)

それから、イベントの方針を決めるために何度も何度も話し合いを重ね、結果、イベントは感染症対策を考慮してオンラインでの配信となりました。今振り返ると、この経験こそが「今後、自分が伊香保とどう向き合っていくか」を考える本当に貴重な機会になったなと感じています。

自分が違和感に感じたことは、一人で抱え込まずに早い段階できちんと伝えなければならない。上手に答えようとすると齟齬が発生してしまうので、「自分らしい言葉で素直に話すことが、何を行う上でも大切である」と学びました(他人からは「遠回りが好きだよね」と言われてしまうのですが・・・笑)


〜3〜
人によって考えやアプローチ方法が違うことは
当然であること

また、目指すゴールは一緒かもしれませんが「人によって考えが違って当然である」ことも改めて学びました。アプローチ方法やスタンスが人によって違うことってあると思います。

富士山の頂上を目指すことに例えるならば、5合目スタートの人もいれば、8合目スタートの人もいる。違いがあることを前提に話し合うと、自分では想像もできないことが起こりますね。

トークイベントでは、動画配信のプロにお願いしたところ、テレビのスタジオ並みのセットが自分の旅館会場でできました。また、全館休業の日には、8組のお客さんがmingさんにコーディネートいただいた売店に足を運んでくれました。(みなさん口を揃えて「instagramを見てきました」と言ってくれました)

普通じゃありえないことが起こり、「やってみないとわからないことは本当にたくさんある」と、伊香保くらし泊覧会が教えてくれました。(最後に…私の母親がこのプロジェクトを大絶賛してくれたのがとても嬉しく、本当にやってよかったなと感じています)

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▲2021年1月14日に開催したオンライントークイベント「YUMEJI 夢を語り、歩む道。」の様子


文・聞き手:蛭子彩華

蛭子彩華
伊香保くらし泊覧会 実行委員
一般社団法人TEKITO DESIGN Lab 代表理事/クリエイティブデザイナー
公益社団法人日本マーケティング協会発行 月刊マーケティングホライズン編集委員

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