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【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第6話
こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
気に入った方は、フォローをしていただけると嬉しいです。
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第6話 どうして日本に住んでいる?変な外国人!
私の朝の日課。
5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。
まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。
相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。
本日の相談
私は○○県に住む、カークランドと言います。
国は東ヨーロッパの○○です。日本には仕事で15年以上住んでいます。
妻は日本人です。
私は定期的に移住をしています。
あなたの町に住みたいと思います。
私はきっとあなたの町に役に立ちます。
町の案内と住むところを紹介してください。
海の見える空き家が希望です。
最近は、外国人からの問い合わせが増えていた。
妻が日本人であることからも、言葉やビザの問題はなさそうである。
「私はあなたの町にきっと役に立ちます」
この書き方は、外国人あるあるでもあった。
了解しました。
ご都合の良い日を教えてください。
町とご希望の空き家をいくつかご案内いたします。
私は差し障りもない文章を返した。
翌日、早速、彼は私のところに来た。
小さい軽自動車の運転席に、大きな身体が窮屈そうに収まっていた。
この姿勢で5時間以上も車を運転してきたのだから、外国人は相変わらずタフである。
早速、私の車に乗り換えると、町と住まいの案内に出発した。
彼は助手席に乗り込みと、流暢な日本語で話し始める。
会話に積極的なところも外国人の特徴と言えるだろう。
最初は違和感もなく会話を続けていたが、そのうちお国自慢と日本を批判するような言葉が気になりだした。
「西洋系の人たちは自己主張が強いから」と、あまり気には留めないようにはしていたが・・・
「私の国では戦争は必要なことと教えている。日本は平和ボケをしている」
「私の国では発明家が世界で一番多い。日本人は私たちの国の発明品を利用している」
「私の国はバカが会社員をしている。日本人は会社員ばかりだ」
さすがに私は、狭い車の中で彼の話を聞いていることにウンザリしてきていた。
世界にはいろいろな人種がいて、様々な考え方があることは理解できる。
お国自慢でとどめていただければ良いのだが、日本人の批判を付け加えるところに腹立たしさも起きてしまう。
私たちは昼食にラーメン店に入った。
すると会話をせずにラーメンを食べる私に対し、彼は大きな声で批判を始めた。
「私の国では食事を楽しむ。ラーメンも1時間をかけて食べるべきだ。日本人はバカだ!」
明らかに周囲のお客にも聞こえる音量だった。
私にとっては馴染みの店であるからこそ、肩身が狭くなる。
結局、1時間をかけてラーメンを食べた彼を連れて、私は空き家の案内に移動した。
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やがて、案内をした空き家を気に入った彼は、「今すぐお金を振り込むので、オーナーに話して欲しい」と私に告げた。
そこで、私はできるだけ解りやすく、日本のルールを説明した。
家の売買手続きは、簡単なものではない。
これは自治体が運営する「空き家バンク」の物件である。
まず、オーナーの了解が必要である。
そのあと、不動産業者を通して売買の手続きが進むことになる。
しかし、このことに理解をできない彼は激怒した。
私は家を買うために、わざわざこの町まで来た。
今日手続きが出来ないのならば、来た意味がない。
だから日本はダメなのだ。
帰ります。
結局、彼は憤慨をしたまま、長い道のりを帰っていった。
文化の違いなのかもしれない。
しかし、日本では「郷に入っては郷に従え」という教えもある。
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移住サポートの仕事をする上で大切なこと。
それは、地域に上手く溶け込める人を、受け入れなければならないこと。
これは自治体や地域の人の願いでもある。
恐らく、日本を批判をする人は、地域を批判することになるだろう。
最後まで、今回の相談者が「なぜ、日本に住んでいるのか」、その理由が解らなかった。
一期一会
彼がどこかで幸せに暮らしていることを祈って・・・
(終わり)
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