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【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第3話

こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
気に入った方は、フォローをしていただけると嬉しいです。

第3話 地方就職!面接で落ちた理由に唖然


私の朝の日課。

5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。

まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。

相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。

本日の相談。

はじめまして。
梅野と言います。
そちらの町の「地域おこし協力隊」に応募したいのですが、
仕事内容を詳しく教えていただけますか。
年齢は34歳です。

「地域おこし協力隊」への応募であった。
全国自治体で「地域おこし協力隊」の募集は急増をしているが、「地域おこし協力隊」が集まる自治体は限られている。
募集をしても中々応募のない自治体も多い。

ちなみに、「地域おこし協力隊」も移住者のため、私は自治体から初期面談の委託を受けている。
とにかく、この時点では違和感を持つこともなく、久しぶりの応募に「どのような人物か?」ワクワクした気分になっていた。

梅野さん
応募ありがとうございます。
それでは、一度オンラインで顔合わせをしましょう。
これは面接ではありませんので、気軽にご対応ください。

オンライン当日を迎えた。

ざっくばらんに話が進む。
感想としては、少し横柄な態度が気になった。
コミュニケーションが若干、苦手なのかとも思った。

梅野さん。
今日の仕事内容を聞いて、応募をしたいのならば、所定のフォーマットで履歴書と作文を提出してください。
書面をもって一次審査を実施します。
その後、最終面接は、当町の市役所で実施されます。
遠方になりますが、足を運んでいただくことになります。
どうぞご検討を宜しくお願いします。

私は顔合わせを締めくくった。

後日、申し込みの書類一式が送付されてきた。
書類による1次審査は通過し、最終面接の運びになった。

最終面接の日時は教えていただいていたが、面接自体は私の管轄外である。
ただし、「地域おこし協力隊」採用後は、種々のサポートを求められている。

最終面接日の翌日、市の担当者から連絡が入った。
残念ながら不合格とのことであった。

「地域おこし協力隊」は応募が少ないことから、合格のハードルは低いはずである。
私は不思議に思い、担当者に不合格の理由を聞いた。

仲西さんはご存じでしたか?
梅野さん結婚していたこと。

私は思わぬ話に言葉が詰まった。

いえ、知りませんでした。
履歴書にも書かれていませんでしたよね。

最初、オンラインで顔合わせの時の会話を、私は思い出してみた。
結婚の話があれば、報告書に明記するはずである。
何よりも、履歴書にも書かれていなかった。

履歴書にも書かれていません。
書かなかった理由を聞いてみたら、「面接に関係ない」と思ったからだそうです。
ちなみに、奥さんは中国人でお子さんも二人いるそうです。

「面接に関係ない」と判断する理由が分からない。
確かに、これでは常識を疑われてしまうだろう。

当然、結婚しているからダメということではないですよ。
ですがね。履歴書に自分のことだけを記入すれば良いと判断するのは、不味いですよね。



電話は切れた。

数日後、梅野さんの手元には、担当者から不合格通知が届いたことだろう。

田舎ではコミュニケーションがとても大切となる。
特に、「地域おこし協力隊」は、地域の人たちと上手くコミュニケーションを取りながら、地域に溶け込んでいくことが求められる。

「地域おこし協力隊」は、いくら優秀な人であっても、自己主張の強い人は、難しい仕事ともいえる。

一期一会

梅野さんからは、あれから一度も連絡はないが、どこかの町で活躍してることを祈ります。


(終わり)



#創作大賞2024 #お仕事小説部門


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移住プランナー| 田舎暮らし|プロ|
移住専門FP「移住プランナー」として活動をしています。これまで18年間2500組以上の移住相談に対応をしてきました。ここでは、私の経験からお役に立てる情報を日常的に綴っていきます。「移住」という夢の実現にお役に立てればうれしいです。大阪出身、北海道と鹿児島の3拠点生活中。