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「分散」とは、有機的な「集合」のことである

自律分散型組織という言葉は最近よく聞くようになってきましたが、何が「分散」しているのか、説明できる人は少ないようです。リモートワーク等で、空間的に「分散」していても仕事ができる、チームを組むことができるという、これも一種の自律分散になるとは思います。ただ、本来の意味では組織におけるPower、日本語では「権力」以外に適当な言葉が見つかりませんが、そのPowerの所在を意味します。
 
NVCの言葉を借りて、Power overと言いますが、これが旧来のヒエラルキー構造を持った組織のあり方です。権力は一部の上層部によって固定的に保持され、それがまさに「over」、「命令」に姿を変え、圧倒される形で下に降りてきます。上の言うことは絶対という世界観です。「権力」は、経営者や管理職といった役割に紐付き」、「個」が保有します。
 
それに対し、ティールの世界観では、「権力」、この場合、そのままPowerといった方がよさそうですが、それはPower withといって、メンバーすべてに行き渡ります。Powerを全員が「分散」的に保有する形になります。誰でも発言することができる。そして、アドバイスプロセスなどを使れば、誰でも決定権を行使することが可能になります。
 
テンセグリティ(多型構造体)というセマンティックな集合体をイメージしていただければと思います。Powerを持ったすべての「個」が意味のある、もしくは有機的なネットワークによって結ばれ、集合体を成しているイメージです。組織の片隅の偏ったところから、全体に分散することによって、偏在化し、しかも、てんでバラバラではなく、意味上に結ばれることで組織は機能を始めます。華厳や西田幾多郎のいう、「一即多、多即一」の世界、つまり、個は全体であり、全体は個である世界が実現します。
 
自律分散の「分散」とは、有機的な「集合」を意味します。

私は、ティール組織をこのような概念で捉えています。


※本文中の「テンセグリティ~」以降は、『ティール組織』の著者、フレデリック・ラルー氏の見解ではありません。私、個人の再解釈になります。


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小林範之
最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。