カカクコムの決算から考えるGoToイートが食べログへ与える影響と今後の業績
どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
今回見ていくのは株式会社カカクコムです。
価格.comや食べログなどを中心に様々な分野でサービスを提供している企業です。
価格.comや食べログだけでなく、求人サービスや不動産情報サービスを始めかなりの数のサービスを提供している事が分かると思います。
また、GoToイートも10月から順次ポイント付与を始めるとニュースもありました。
食べログはGoToイートに採用されていますので食べログから予約をすればポイントが付与される形になっています。
GoToイートは追い風となるのか、今回はそんなカカクコムの今後について考えていきましょう。
それではまずこちらの資料をご覧ください。
売上高は33.2%減の95億円、営業利益は65.7%減の22億円、純利益は68.8%減の13.4億円となっており大幅な減収減益となっている事が分かります。
ではどうして大幅な減収減益となったのか見ていきましょう。
主力事業の1つである価格.comでは売上が6.5%増と好調だった一方で、もう1つの主力事業である食べログでは売上が72.5%減となり非常に厳しい状況にいるようです。
また多くの新規事業を含んだ、新興メディア・ソリューション/ファイナンスに関しては21.8%減となっておりこちらも不調だったことが分かります。
どうやら食べログの業績悪化が全体としての業績悪化につながっているようです。
巣ごもりでECは活況でしたから、価格.comは好調だった一方で飲食店は時短や休業が続きでかなり苦しい状況が続いていましたから、このような推移になった事は想像がつきますね。
実際にカカクコムも、価格.comのショッピング事業は巣ごもり需要によるEC利用者の増加を受けて多くのカテゴリで伸びたとしています。
具体的な伸張トレンドとしては、テレワーク化や自宅にいる時間が増加した影響でPCや、テレビなどの家電、オフィスチェア、ソファなどが大きく伸び、ジムなども休業で運動も室内でとなりましたからダンベルやバーベルも大きく伸びています。
この辺は想像通りですが、意外なものとしてはミシンが1469%増にもなっているようです、14倍以上とは驚きです。
確かによくよく考えてみると、マスク不足の中で手作りマスクを着けていた方は結構多いですよね。
また自粛で時間が増える中ではミシンでマスクを作るというのが、低コストで楽しめるエンタメとしても機能していた可能性もありそうです。
新型コロナも追い風となりEC化率は今後も増加傾向が続くでしょうから、ショッピング事業は好調が続きそうです。
また、サービス事業(通信料の比較や金融サービスの比較や見積もりを提供して、サービス提供者から手数料収入を得る事業、クリック広告的な感じ)では海外Wi-Fiの大幅な悪化によって減収となったようです。
海外旅行に日本人が持っていくのが大半と考えられますので、海外旅行の需要が完全になくなってしまいましたからしょうがないところですね。
あとは、業績に影響を与えるほど海外Wi-FIの規模が大きかった事にも驚きです。
多くの人にとって海外旅行は頻繁に行くものではありませんから比較サービスが特に重宝される分野なのだと考えられます。
世界的には新型コロナの1日当たりの感染者数が過去最大を更新していますし、海外旅行の再開はまだまだ先になりそうですからこのサービス事業はしばらく業績の悪化が続きそうです。
続いて広告事業に関しては、諸外国において主力の家電製品などの製造輸送に遅れが生じたことで広告の出稿が延期・中止されるケースが発生したようです。
しかし家電メーカーからの広告出稿は5月以降は徐々に回復傾向にあるとしています。
広告費の内訳としては、家電メーカー、自動車メーカー、パソコンメーカーの上位3つが大半を占めている事が分かります。
主力の家電メーカーやパソコンメーカーは戻ってきたとしても、自動車メーカーは新型コロナによって大きなダメージを受けた産業の1つで広告費は抑制の流れにありますので、なかなか戻らなそうですから回復には時間がかかるかもしれません。
価格.comに関してはEC化率の増加に伴いショッピングが好調を続ける一方で、サービス事業と広告事業ではしばらく業績の悪化が続きそうです。
事業内容としてショッピングの割合が多いので価格.comの業績は伸びるかもしれませんが、それほど絶好調とはならなそうですね。
続いては食べログですが、有料プランの契約件数が5万9100件→4万9900件へと大幅に減少してしまっている事が分かります。
6月からは再契約や新規の獲得に向けて活動を再開したとの事ですが、7月時点では4万9000件へともまだ減少傾向が続いているようです。
多くの飲食店が相当なダメージを受けてしまいましたから、コストカットに動くところは多いはずです。
GoToイートが始まれば、飲食業者としては少しでもそこの希望にかけたいでしょうし、周りから遅れをとる訳にはいかないというのもあるはずです。
有料プランを契約する店舗がどの程度あるかは分からないとはいえ、少なからず回復は早まりそうですね。
またネット予約数も減少ものすごい減少をしている事が分かります、ネット予約からの売上げに対して手数料を取っていますので、ここが大きく減少したのが業績悪化にかなり響いたと考えられます。
また、6月末時点ではコロナ前の48.6%までしか回復していないようですし、飲食店の業績を見ていると6、7月と多少回復傾向にあったところから8月には再び下落に転じているところが多いですから、まだまだ厳しい状況が続いているでしょう。
GoToイートが始まれば、「どうせならネット予約して恩恵受けるか」となるのは自然ですから、今までネット予約していなかった層も利用を開始するはずでここもある程度は回復していきそうです。
後は、周りの目を気にして行動しにくいという方も多いと思いますので、GoToイートやトラベルが東京でも開始するというのはそういった方に言い訳を与えられます。
なので金銭的な支援以上に精神的な支援となる可能性がありますので、そうなれば飲食店にとって追い風となるはずです。
店舗当たりの広告費が3万円→6900円まで減少している事がわかります。
これに関しては広告費の抑制に加えて4月5月はサービスの無償化、6月も一部の無償化を行った影響があるようです。
実際に6月には1万9200円まで回復していますし、7月からは従来通りの請求を開始したという事で、今後は厳しいながらもある程度は業績が回復すると見て間違いないでしょう。
という事で飲食店の完全な回復にはまだ時間がかかりそうですが、食べログの業績としては全体的にある程度は回復すると考えられます。
新興メディア・ソリューション/ファイナンスは娯楽系や旅行系のサービスの悪化を要因として業績が悪化してしまったようです。
そんな中でもペット保険や生命保険など好調は好調なようで、生命保険のオンライン契約数は126%増となっている事が分かります。
これは今後も伸びていきそうですね、保険の契約もオンラインで十分だという層は若者を中心に増えていくはずですし、そんな中で各社のサイトを比較するのは面倒だとなるでしょうから比較サイト需要は大きそうです。
とはいえまだまだ規模が小さいので、業績に与える影響は軽微でしょう。
続いてこちらの資料をご覧ください。
まず1枚目の資料から従業員数が右肩上がりで増加している事が分かります。
提供しているサービスの多さからも分かる通りで多ジャンルへ進出していますので、拡大路線のためにも人員が必要だという事でしょう。
また2枚目の資料から分かる通りで、今後はAI・機械学習を活用して情報検索性能の向上と購買行動の促進を進めコンテンツの詳細なカテゴライズなどに取り組むようです。
この辺の人材獲得競争というのは厳しくなる一方で、横並びが多い日本企業も新卒であっても優秀なAI人材には1000万円以上の年収を提示するようになっていますし、海外ではその数倍出すところもありますので獲得のための人件費がかかってきそうです。
という事で人員も増加していますし、今後はある程度人件費が高騰していくのではないかと考えられます。
という事で今後のカカクコムは、価格.comではショッピングの業績は向上しそうですが、それ以外は厳しそうなのでそこまで業績は向上しない。
食べログはGoToイート採択もありますし、底も打ったのである程度業績は回復するでしょうが完全回復はまだ遠そう。
また、人件費は増加していきそうだという事で、食べログの回復に合わせて今回の決算に比べれば業績は回復しそうなものの、飲食業界が回復するまでまだしばらくは業績の低迷が続くと予測します!!
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