TKPの決算に見る買収の成否の考え方
どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
今日見ていくのは株式会社ティーケーピーです。
貸し会議室やレンタルスペースを提供するサービスで有名で、TKPという看板を見たことある方は多いはずです。
こんなニュースがありました。
TKP、一転減益に 新型コロナ響き 20年2月期
貸会議室大手のティーケーピーは6日、2020年2月期の連結純利益が前の期比57%減の8億2000万円になったと発表した。従来予想は51%増の28億円だったが、一転して減益になった。新型コロナウイルスの感染拡大で、企業イベントの中止が相次ぎ貸会議室の利用が減った。
売上高は53%増の542億円、営業利益は35%増の57億円と従来予想から19億円、18億円それぞれ引き下げた。
貸会議室の2月の売上高は前年同月に比べて約15%減。企業イベント向けの高単価の会議室「TKPガーデンシティプレミアム」が不振だった。
昨年8月に中期経営計画で示した21年2月期通期の業績計画も引き下げた。連結純利益は35億円下方修正し、8億9000万円とした。新型コロナの影響が8月まで続くと仮定して保守的に見積もったという。
どうやら新型コロナの影響で貸し会議室のイベントなどが中止になり減益となってしまったようです。
さらに中期計画も今期の業績予測も引き下げたようですね。
今回はどうやら厳しい状況になりつつあるTKPの決算を見ていきましょう。
こちらの資料をご覧ください。(現在発表されているのは11月期までの決算になりますので、その資料となっています。)
新型コロナの影響が出る、11月の段階では売り上げが130億円も増加していて利益は4億円増加していることが分かります。
大幅増収で利益は微増といった感じですね。
どうしてこれだけ大幅な増収となっているのでしょうか?
続いてこちらの資料をご覧ください。
のれんが450億円も増加していることが分かりますね。
これは同じく貸し会議室や、コワーキングスペースなどをグローバルで展開しているリージャスという会社の日本法人と、品川配ぜん人材紹介という人材派遣会社を買収したことによるものです。
つまり、増収の要因は買収ということですね。
ちなみにのれんとは企業買収した時などに出てくる項目です、基本的に企業を買収するときには会計上の企業価値以上の値段となる事が大半です。
例えば会計上には、人材やブランドなどが表示されませんし、今の価値が100億円の会社が今後5年間で毎年10億円稼げるとしたら100億円では売りたくないですよね、もっと高く売りたくなるはずです。
なので、基本的には会計上の価値より高く買う事になります、その時に会計上の価値より多く支払った額をのれんとして表示するわけです。
つまり企業買収の成否を見るには、買収によってのれん分以上にお金を稼ぐことが出来たかが大切だという事ですね。
第3四半期を過ぎた段階での増益額は4億円ですから、年間で5~6億となりますね、という事は回収にかかるのは450億円÷6億円=75年ペースという大失敗になるのでしょうか?
こちらの資料をご覧ください。
続いてこちらの資料をご覧ください。
EBITDAという項目がありこれが30億円増加していることが分かります。
このEBITDAというのは赤下線部にもあるように営業利益+減価償却費+のれんの償却費である事が分かります。
EBITAというのが何を意味しているかというと、減価償却とのれんの償却は営業利益を押し下げるけれどもキャッシュアウトは過去に行われたものになるので、キャッシュベースで考えるとこのぐらい儲かったよねという数字になります。(減価償却は税金も減るのでその金額がそのまま手元に残ります)
つまり買収の成否を見るにはEBITDAのほうが適切だという事です。
第3四半期で30億円という事は、単純計算で年間40億円になりますね、もちろん既存の事業部分の業績の変動もあるのでこれも単純計算できませんが、回収ペースは450億円÷40億円=11年となりそうです。
また、今回買収したのは同業で大手のリージャスという事で過度な値下げ競争を避けることが出来るようになるので、今回の買収の狙いは人口減少による需要低下で値下げ競争による収益性の低下を防ぐ効果がある事も単純計算では考えられない部分です。
それも考慮すれば11年で回収ペースというのは悪くはなさそうです。
TKPの未来!!
買収自体は現状そこまで悪くないのではないかと思いますが、今回の新型コロナの影響でもろに収益性が悪化していますから、のれんの減損リスクがありますので大赤字となる事に要注意です。
しかし長期的に見れば、新型コロナの影響でテレワークなどが進むスピードが上がるでしょうから、コワーキングスペースなどの業績が伸びる可能性がありますので、コワーキングスペースを運営するリージャスの買収はプラスとなる可能性も高そうです。
という事で、新型コロナの影響が無くなれば業績は回復するのではないかと予測します!!(短期的には減損には要注意です!!)
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