【ニチレイ】冷凍食品だけではない大きな収益源と好調が期待できる理由
日経平均に採用されている企業を全て取り上げているこのnote、今回取り上げるのは株式会社ニチレイです。
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冷凍食品でよく知られている企業で、2022年度では国内シェアトップの企業となっています。
事業内容と業績のポイント
それではまずは事業内容から見ていきましょう。
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ニチレイの主要な事業セグメントは以下の4つです。
①加工食品事業:冷凍食品(主力は炒飯やから揚げ)
②低温物流事業:(冷蔵の物流サービス)
③水産・畜産事業:水産品や肉類の調達・加工・販売
④不動産事業
⑤その他:バイオサイエンスなど
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冷凍食品の企業としてよく知られているニチレイですが、水産、畜産などの調達部分から物流・販売まで一貫して事業を展開しており、さらに水産・畜産や冷蔵物流の機能は外部へも提供し事業化している企業です。
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2022年度時点でのそれぞれの事業の売上と(利益)構成を見ていくと以下の通りです。
①加工食品事業:40.2% (41.5%)
②低温物流事業:35.6% (45.0%)
③水産・畜産事業:22.6% (5.7%)
④不動産事業:0.7% (5.3%)
⑤その他:0.9% (2.5%)
加工食品と低温物流が主力事業となっており、水産・畜産事業も売上は規模が大きいです。
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先ほど見たように冷凍食品の売上でも2022年では国内トップの企業でしたが、それだけではなく冷蔵倉庫設備能力ランキングでも国内シェア8.9%でトップの企業で、世界でも5位の企業となっています。
さらに、輸配送面でも食品物流業界においては国内トップの企業です。
実は物流企業としての規模が大きいのがニチレイという会社なんですね。
それでは事業内容が分かったところで、続いて近年の業績の推移を見ていきましょう。
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ここ5年ほどでは、売上高は基本的には横ばい傾向が続いており2022年度は、価格改定を進めた結果、前期比で10%ほど伸びています。
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一方で利益は2020年度と2022年度は比較的良好な状況ですが、ほぼほぼ横ばい傾向で推移しています。
近年は業績は横ばい傾向で、2022年度は売上が増加したものの、利益面は大きな変化があったわけではないという事ですね。
業績は横ばい傾向が続くニチレイですが、今後はどうなるのか、主力事業についてもう少し詳しく見ていきましょう。
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加工食品事業では利益面は2021年3月期~2023年3月期まで減少が続くものの、売上は増加が続いています。
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加工食品事業の売上構成は以下の通りです。
①家庭用調理品:30%
②業務用調理品:36%
③海外:21%
④農産加工品:7%
⑤その他:5%
実は国内の家庭用の売上は30%ほどで、業務用や海外向けの規模も大きいです。
コロナ禍からの外食需要が回復していますから、大きな規模をもつ業務用は回復が進んでいます。
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さらに、国内の冷凍食品の市場規模も成長が続いています。
冷凍食品のレベル自体が近年は非常に高まり人気を高めていますし、共働きの世帯も増える中で需要も高まっています。
コロナ禍から外食需要が回復する中で業務用の売上も伸び、家庭用の冷凍食品は市場が成長し、海外展開も進んだことで売上が拡大していたという事ですね。
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また、現在の冷凍食品市場では、米飯類の需要が旺盛で成長が見込まれているという事もあり工場も新設しています。
国内では市場も良好で、生産能力も拡大し、外食需要も回復傾向と売上面では悪い環境ではなさそうです。
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とはいえ、加工食品事業の利益は減少していました。
その要因は原燃料高が進むことによるコストアップです。
売上面では悪い環境ではないものの、利益面では原燃料高が進む中でコスト増の影響は受けている状況だという事ですね。
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順次価格改定を進めていますので、その好影響が期待できる状況ではありますので、価格改定の効果で、コストアップをどれだけ打ち返せているかに注目なです。
売上面は悪い環境ではありませんし、価格改定も進めており基本的には好調が期待できる状況だと考えられます。
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ちなみに、水産・畜産事業でも2023年3月期には価格改定を行った事で増収となっているものの、調達コストの上昇や飼料価格の上昇などを受けて減益となっています。
加工食品事業、水産・畜産事業ともに価格改定効果でコスト増をどれだけ打ち返していけるかに注目です。
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続いて低温物流事業の売上構成と(営業利益額)をもう少し詳しく見ていくと以下の通りです。
国内:72.5% (135億円)
海外:26.1% (24億円)
売上・利益ともに国内事業が主力ですが、海外事業も比較的大きな規模を持っている事が分かります。
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ちなみに国内の冷蔵倉庫業界市場の2014~2021年推移を見ていくと、横ばい傾向で推移しています。
2020年以降はコロナ禍で悪化を見せていますので、その回復は見込まれますが成長市場ではありません。
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さらに、国内の物流では2024年問題が直前まで迫っており、ドライバー不足によるコスト増が進む可能性が高いです。
国内低温物流事業に関しては、コロナ禍からの一定の需要回復は期待できるものの大きな成長は難しいと考えられます。
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ですが、2021年3月期以降の低温物流事業の業績の推移を見ていくと、売上・利益ともに成長が続いています。
そしてその成長を支えているのは海外事業です。
2021年3月期と2023年3月期の低温物流事業の業績を比較してみると、売上が319億円、営業利益は20億円ほど増加していますが、その内、海外事業で売上が272億円、営業利益では10億円増加しています。
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海外事業の主力は欧州市場で、企業買収によって規模を拡大しています。
今後は日本国内で培ったノウハウを活用しASEAN市場でも拡大していこうとしているようです。
先ほど見たように、低温物流事業では国内市場の大きな拡大は難しいと考えられますので、海外展開の進捗に注目です。
という事でニチレイは冷凍食品など加工食品に強みを持つ以外にも、低温物流の企業としても国内トップのシェアを持つ企業となっています。
近年の業績は横ばい傾向ですが、低温物流事業では、海外事業の成長によって近年は売上・利益ともに成長が続いていました。
加工食品事業では国内の冷凍食品市場が成長している事に加えて、コロナ禍からの外食需要の回復による業務用の販売が回復、海外事業も成長とし売上面の環境は良好です。
原燃料高によるコスト増は進んでおり収益性は悪化していますが、価格改定を順次進めていますので好調が期待できる状況にいると考えられます。
直近の業績
それでは続いて直近の業績を見ていきましょう。
今回見ていくのは2024年3月期の2Qまでの業績です。
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売上高:3322.1億円(+3.2%)
営業利益:174.0億円(+18.3%)
経常利益:181.6億円(+21.0%)
純利益:116.9億円(+19.3%)
増収増益で好調な事が分かります。
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営業利益の変動要因を見ていくと、加工食品事業が16億円の増益、低温物流事業が14億円の増益と主力の2事業が好調だった事が分かります。
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加工食品事業の売上についてもう少し詳しく見ていくと以下の通りです。
①家庭用調理品:417億円(+6%)
②業務用調理品:501億円(▲1%)
③海外:305億円(+12%)
④農産加工品:119億円(+22%)
⑤その他:89億円(+5%)
家庭用や海外、農産加工品は増加したものの業務用は減収となっています。
ではどうして、業務用の売上が減少していたのかというと、単価上昇による好影響が+10%ありつつも数量の減少による悪影響が▲11%あった事が影響しています。
これに関してはアイテム整理も含めて収益性改善策を徹底した影響で、外食向けは好調に推移したとしています。
業務用では売上は減少していましたが、収益性を重視した展開を進めた影響だったという事です。
利益面の好調は継続が期待できるという事ですね。
また、家庭用の売上についてもう少し詳しく見ていくと、単価上昇による好影響が+9%ありつつも数量の減少が▲3%あり6%増という状況です。
卵不足の影響を受けて、炒飯などの米飯類やスナック類が悪影響を受けたとしています。特殊要因による影響を受けてしまっているんですね。
2Q以降は回復傾向にあるとしていますので、今後はさらに好影響が期待できると考えられます。
海外事業では米国の子会社を中心に価格改定の効果が寄与したとしており、売上も大きく伸びていますから好調です。
結果として事業全体では原燃料高の影響はありつつも、価格改定とコスト削減で26%の増益を達成したとしています。
業務用では販売数量は減少していますが、アイテム整理などが影響していますので利益面は改善が期待できますし、家庭用では卵不足などの特殊要因の影響減少による好影響が期待できます、海外事業も成長していますので基本的には好調が期待できそうです。
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続いて、低温物流事業の国内外の売上の前期比は以下の通りです。
国内:919億円(+3%)
海外:331億円(+15%)
営業利益の前期比は以下の通りです。
国内:78億円(+13%)
海外:15億円(+62%)
成長事業の海外事業が大きな成長を見せている事もありますが、国内事業も増収増益と国内外ともに好調です。
海外では事業の成長が続いたことに加えて、料金改定効果などによって増収増益を達成したようで、海外事業の成長が続いています。
国内では新設拠点の影響や、残暑が長かったことで増収になったとしています。低温物流ですから残暑が続くと売上は伸びやすいんですね。
利益面に関しては業務効率化や、エネルギーコストの上昇を電力燃料サーチャージによって軽減した影響で増益になったとしています。
成長事業の海外事業がしっかりと成長しており、国内も増収増益と低温物流の状況も良好です。
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とはいえ下期の低温物流は新設拠点稼働の一時費用などがあり、前期比で減益を見込んでいます。
好調が継続するわけではないという事ですね。
とはいえあくまで一時費用ですから、翌期以降も堅調な状況が続けばその反動で好業績が期待できるという事ですから、翌期以降に注目です。
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そんな中で通期予想では増収増益を見込み、上方修正も行っています。
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価格改定効果や収益性向上を進める加工食品事業と、低温物流事業の業績を押し上げる見通しです。
という事で直近では増収増益と好調になっていました、加工食品事業では卵不足など一時要因の影響はありましたが、価格改定効果やアイテム整理による収益性の改善の取り組みなどを進めており業績は好調です。
低温物流事業では、成長事業の海外事業は成長が続いていますし、国内事業でも長引く残暑による好影響などもあり好調です。
今後は低温物流事業で新設拠点の一時費用による業績の押し下げは想定されるものの、事業自体は堅調な状況です。
加工食品事業では業務用ではアイテム整理による収益性の改善や、家庭用では卵不足などの特殊要因の影響減少による好影響が期待できますし、低温物流事業では一時費用による影響はありますが、事業自体は堅調ですから好調が期待できます。