アパレル業界編総まとめ(ZOZO・ユニクロ・ワールド・TOKYO BASEを比較)

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今週はアパレル業界について取り上げています。
具体的には①ZOZO②ファーストリテイリング③ワールド④TOKYO BASE⑤Inditexを取り上げていこうと思います。
ECのZOZO、全世代向けのユニクロをやっているファーストリテイリング、高年齢層向けのワールド、若者向けのTOKYO BASE、世界全体で展開するZARAを運営しているInditexとみていこうと思います。

そんな中で今回は日本企業4社について比較して見ていこうと思います。
(ファーストリテイリングは見やすくユニクロと表記しています)

各社の事業内容の違いから軽く見ていきましょう。(個別企業について詳しく興味のある方はリンクの記事からご覧ください。)

まずはZOZOは説明不要かと思いますがファッションECサイトの運営をメインとした企業です、自社の洋服を売るのではなくプラットフォーマーとして取引手数料を得るモデルとなっています。
利用者層としては10代~30代当たりの若い層が多くなっています。

続いてファーストリテイリングも説明不要かと思いますが、ユニクロやGUをメインとして全世代向けに商品を展開している企業です。

TOKYO BASEはセレクトショップのSTUDIOUSや自社商品のUNITED TOKYO、PUBLIC TOKYOなどのブランドを比較的若い層(20-40代)向けに展開している企業です。

ワールドはタケオキクチなどのブランドを展開している企業で、ターゲットはミドル層(40-60代)となっています。

ZOZOだけは手数料ビジネスで、それ以外は対象とする世代などは違えど小売りとなっているという事ですね。
ちなみにこの、手数料ビジネスと小売りの違いは粗利率の違いを見ると顕著です。

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ZOZOの粗利率が突出していて95%となっている事が分かります、プラットフォームとしての事業が大半なので自社の洋服を売るわけではないため事業の原価はほとんどかからないんですね。

そして小売り3社は50%前後となっています。

ワールドはアパレル以外の事業も行っているというのも要因ですが、基本的にこの3社はアパレル業界内では粗利率が低い方です、アパレルの原価率平均が2割から3割程度と言われていますから5割というのはかなり原価をかけています。

もう少し各社の違いについて詳しく見ていきましょう。
ちなみに書き忘れていましたが、これから出てくる数字の単位は全て百万円です。

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1年間の売上からEC売上を除いたものを期末店舗数で割った簡易的なものですが、店舗当たりの売上高を見てみるとユニクロが4.7億円、TOKYO BASEが1.4億円、ワールドが6500万円となっています。

イメージしてみると分かりやすいですが、ユニクロは大型店がおおいので売上規模は大きく、商業施設内への出店で小型店が多いTOKYO BASEやワールドは売上が小さくなっていてその出店戦略にも大きな差がある事が分かりますね。

続いて在庫回転率という、抱えている在庫が1年間で何周するのかという数字を見てみましょう。

1億円の在庫を抱えていて、年間で5億円分売れるなら大体在庫は5周しているよね的な数字で効率的に在庫が売れているかを見る指標です。
企業には資金の限りがありますので、早く売って資金化してまた作って売って、とした方が当然売上も利益も大きくなりますので、これが大きいほうがいいよね的な見方をします。

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ユニクロが2.83、TOKYOBASEが4.66、ワールドが3.82となっている事が分かります。
在庫の効率性でいうとユニクロは比較的悪く、TOKYO BASEが効率的でワールドは中間ぐらいだという事です。

ですが必ずしもユニクロよりもTOKYO BASEの方が効率的と言えるかというとそうとも言い切れません、というのも売っている商品特性に大きな違いがあるからです。

若者向けに流行サイクルの早い商品を売っているTOKYO BASEからすると、基本的にそのシーズンでしか売れないので過剰在庫となってしまうと、セールや値引き販売による大幅な利益率の悪化につながります。

一方でユニクロではライフウェアというコンセプトを掲げている事からも分かる通りで、流行りすたりのある商品ではないものをメインとして売っていますので、在庫を抱えていてもそれが大幅な値引き販売に直結するわけではないです。

つまりユニクロは在庫を抱えておけるけど、TIKYO BASEでは在庫を抱えておけないという事もあるわけです。

となると逆にチャンスロス(欲しいけど在庫がないから買えない)が生まれにくいのはユニクロという事になります。
資金的にも余力のある企業であるユニクロにとっては、チャンスロスを起こさないためにも在庫を抱えておくことには一定の価値がありますので、在庫回転率の差が大きな問題になるかというとそうとも言い切れないという事です。

続いてコロナ前までの成長性を見ていきましょう。

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コロナ前の直近4年間の売上高の平均成長率を見てみると1、大きな成長が続いているのがZOZOの18%、TOKYO BASEの17.7%となっていて、それにユニクロの8.6%が続く形になっています。
一方でワールドは1.9%減となって規模の縮小を進めていた事が分かります。

百貨店ブランドなどはコロナ以前から不振でしたから、そんな中でこのワールドも不調気味で店舗の削減など、不採算店舗から撤退し収益性の向上に動いていたという事ですね。

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続いて売上規模を見てみると
ユニクロが2兆円で圧倒的で、それにワールドが1803億円、ZOZOが1474億円で続き、TOKYO BASEが少し離れて146億円となっています。

ZOZOが意外と小さいですよね。
これもやはり手数料ビジネスだからです、例えば1万円の洋服が売れた時には小売りであれば売上はもちろん1万円ですが、その売上から10%の手数料を取るというモデルであれば売上は1000円になるので実際の取引規模と比べると売上では小さくなってしまうんですね。

なのでZOZOの取扱高としては4194億円で、取引規模としてはワールドより大きくなっています。

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また事業の収益性としてコロナ前の営業利益を見てみると
上から順に
①ZOZO:22.2%
②ユニクロ:9.9%
③TOKYO BASE:8.5%
④ワールド:5.2%
となっています、手数料ビジネスのZOZOが圧倒的で小売りのユニクロ、TOKYOBASEが高め、ワールドはこの4社の中では低めとなっています。

やはり規模の縮小をして収益性の向上を進めていたワールドが最も利益率は低水準だったようです。
そして在庫回転率で見ると劣っていたユニクロがTOKYO  BASEより高い利益率となっている事が分かります。
となるとやはり必ずしもユニクロの在庫回転率の悪さは問題とはなっていない事が考えられますね。

それでは各企業についてコロナの影響も見ていってみましょう。

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売上高のコロナ前比を見ていくと
上から順に
①ZOZO:117.4%
②TOKYO BASE:96.2%
③ユニクロ:89.8%
④ワールド:76.3%
となっています。

ECのZOZOは巣ごもりで好調で、そこから若者向けのTOKYO BASE、全世代向けのユニクロ、ミドル向けのワールドと続ています。

しかしこれには店舗数の推移も関係しています。

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ユニクロは店舗数が0.58%減ですし、ワールドに至っては大規模閉店を決めており12.5%減です、一方でTYOKYO BASEでは24%増と大きく店舗を増やしています。
コロナ禍での出店戦略に大きな違いが出ていますね。

なので店舗数の推移から考えるとユニクロは比較的好調だったと考えられそうです。
やはりユニクロの商品自体は在宅需要をとらえたものが多いですし、郊外に大型店などもあったりしますから比較的コロナの影響は受けにくかったのでしょう。

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また、TOKYO BASEとワールドで出店数に差が大きかった要因は利益の水準を見てみると分かります、TOKYO BASEではコロナがありつつも営業黒字を保てていますが、ワールドでは216億円の赤字転落と苦しい状況です。
業績的にも出店が出来る状況ではないという事です。

営業利益率を前期と比べてみると、ZOZOは利益率も22.2%→29.9%と好調で、ユニクロは9.9%→9.0%と下落幅は小さいです。
一方でTOKYO  BASEは8.5%→1.4%と利益率は大きく悪化しています。
増店で売上面ではユニクロより影響が小さかったですが、コロナの影響としては強く受けてしまっていたようです。
そしてワールドに関しては大きな赤字転落となっています。

やはり外出用のお洒落着のようなものの方が、ユニクロなどの在宅需要にも対応した商品の方が業績の悪化が大きいという事ですね。

また、ユニクロに関しては利益面は十分に出ているものの店舗数を減らしていますから、コロナ禍での出店に関しては消極的だったことが分かります。
この違いが今後どういった結果になるのかは注目ですね。

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また、EC化率を見てみると若者向けのTOKYO BASEはワールドの倍近くEC化が進んでいる事が分かります。

これもまたワールドが大きく業績を落としてしまった要因だと考えられます。やはり若者向けのアパレルの方がECとは親和性が高いですよね。

またEC化率はユニクロが圧倒的に低く15%ほどです、やはり店舗が全国各地にありますので、あえてECで買う必要もないという事も大きいでしょう。

ユニクロでは店舗受け取り型のオンライン販売なども出来ますから、オンライン化という意味では進んでいく可能性もありますのでそういった形態が伸びていくかは注目ですね。

という事で好調なのはECのZOZOで、業績の悪化が小さかったのは全世代向けに商品を展開し、在宅需要なども取り込んだユニクロとなっています。
黒字を保てていたのは若者向けで、ECなどとも親和性の高かったTOKYO BASEで、大きな赤字転落と苦しい状況にいるのがワールドとなっていました。

小売りの3社に関してはコロナ対応の出店戦略に大きな差が出ていましたから、今後その影響がどうなっていくのかに注目です!!

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