藤田観光の決算を見ていたら多くの日本企業がこうなるよねって思った話

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのも藤田観光株式会社です、ワシントンホテルやグレイスリーなどのビジネスホテルの運営や、椿山莊や太閤園といったラグジュアリーホテルの運営、箱根のユネッサンなどのレジャー施設の運営なども行っている会社です。

最近では早期退職の募集をするよなんてニュースも話題となった会社です。

この会社に関しては前回こんな記事を書きました。

前回のこちらの記事では藤田観光では、なかなか業績回復の見通しが立たず債務超過の可能性が出てきており、そんな中で取れる方法といえば多額のコストカットだという話をしました。

そしてそのコストカットについて具体的な内容を見ていたところ、今後数年で多くの日本企業で同じことが起きそうだなと思いましたので今回はその話をしようと思います。

それではまずこちらの資料をご覧ください。


藤田観光コストカットの進捗を見てみると、2020年7月~12月の半年間だけで人件費では15億円、営業費用では90億円以上の削減を目指している事が分かります。

そして7月~9月の3か月間のみで人件費では13億円、営業費用では58億円の削減を行っておりかなりのハイスピードでコストカットが進んでいる事が分かります。

ここに当初に紹介した早期退職などを含めてさらなるコストカットを進めていくという事ですね。

さらに、コストカットの方法としては、賞与の不支給や最大3割となる給与や手当のカットを行い、年功序列の廃止と職務の重要度や責任に応じた制度への移行という単純に言えば成果主義へ移行していくようです。

その他にも社外出向を4社と協議中としていますので、ANAなんかの航空業界で話題となりましたが、余剰人員は別の会社へ出向してもらう事でコストカットを進めていくようです。

さらにそれと同時に清掃や警備、食器洗浄などを行う外注業務やデータ入力などを行う派遣業務の契約解除などを行い内製化を進めていくとしています。

今までは社外人材で行っていた単純作業を余剰人員で行っていくという事ですね。
成果主義の導入という事を考えれば、単純作業へ回された方の給与というのは下がるでしょうからそれによってもコストカットをはかろうという事ですね

もちろんこういった単純作業というのは給与水準が上がっていく可能性は低いですし、テクノロジーの代替によって下がっていく可能性が高いので長期的にも給与水準は下がっていきコストカットが進んでいくという事でしょう。

当たり前の話になりますが、給与水準が下がっていく理由について少し説明してみます。

まず現状のテクノロジーで既に大半の作業は自動化できます。

ではなぜ人がやっているのかというと、最大の理由は単純にその方が安いからでコストの問題である事が多いわけです。

ではどうしてテクノロジーの利用が安くならないかというと、技術力の問題もありますが、当然利用者が少ないためスケールメリットが得られないからという理由が大きいです。

今後人口減少が間違いない日本では、人手不足によるテクノロジー導入が増えるのでそうなるとコストは下がっていきます。

テクノロジーに代替できる職業についている人はどんどん下がっていくコストと争っていく事になりますので、一時的には人手不足によって賃金上昇が起きる可能性がありますが長期的にみれば賃金が下がっていく事は間違いないという事です。

そしてポイントはそういった職業においては今が自分の価値が最も高いという事です。

テクノロジーの進化や導入が日々進んでいますから、テクノロジー側のコストの低下というのは日々進んでいるという事です、代替するコストが自身の価値の最大値となりますのでそれが日々下がっていっているという事ですね。

この点は真剣に受け止めた方がいい部分だと思います。

また、藤田観光の取締役を見てみると、新卒で藤田観光へ入った生え抜き人材が多いようですから、日本企業によくある年功序列型の企業であることが考えられます。

年功序列というのは、企業の成長を前提とした給与形態です。
年功序列型の企業にいる方であれば、前年と同じ仕事をしていたとしても給与が上がっていきますよね。

どうしてそれが可能なのかといえば企業が成長するという前提に立っているからです。企業が成長して利益も増えていくので配分する額を増やしても問題ないよねって話です。

この前提が崩れてしまうと年功序列という制度は採用不可能になりますので、成果主義と年功制のどちらの制度が優れているかといった話ではなく、縮小市場で仕事をしていれば年功序列というのは制度的に持続不可能であるという事です。

自分のやっている職業が縮小市場にいて、年功序列型の企業であれば早い段階で制度が変わる事を意識しておいた方がいいでしょう。

そしてなぜこうしたコストカットがハイスピードで進むのかといえば、それはもちろん需要が減少、売上が減少したことによって余剰人員が生まれたからですよね。

今回の藤田観光のケースでは余剰人員が生まれた理由は、新型コロナによる需要減だったわけですがこれから日本企業の多くでは少子高齢化による需要減や、テクノロジーの代替による余剰人員の増加が起きてくることは間違いないでしょう。

となるとこういった藤田観光の取り組みと似たようなことが多くの、年功序列型の企業で起こってくる可能性があるわけです。

早期退職はもちろんの事、成果主義への移行によって単純作業へ回される方は給与カットが起き、それ以外でも人手不足の業界への社外出向のようなことが起きてくるのではないでしょうか。

大企業で見てみれば別かもしれませんが、中小企業を含む多くの日本企業は国内のみで事業を行っておりそれはもちろん縮小市場です。そして人事制度の多くは年功序列です。

となるこうした藤田観光の取り組みというのが、多くの日本企業の未来を表しているんじゃないかなと思った話でした。

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