元気寿司の決算に見る、店舗から人がいなくなっていく可能性
どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
今回見ていくのは、元気寿司株式会社です、もちろん回転寿司チェーンの元気寿司を運営している会社です。
こんなニュースがありました。
元気寿司、期末配当ゼロへ 役員報酬を減額
元気寿司は1日、新型コロナウイルス感染拡大による休業や時短営業で客数が減っていることを受け、2020年3月期の期末配当を無配にすると発表した。従来の期末配当予想は15円だった。年間配当は15円(前の期は30円)。役員報酬を1年間10~25%減額することも決めた。20日に20年3月期決算を発表する予定で21年3月期の業績と配当予想は未定とする方針。
同社は新型コロナの感染拡大や緊急事態宣言に伴って休業店舗を除く全店で午後8時までの時短営業をしている。4月の既存店の客数は前年同月比58%減まで落ち込んだ。このような状況を受け、手元資金をできるだけ確保したい考えだ。
元気寿司は、新型コロナの影響によって2020年4月の売上が58%減まで落ち込んでおり、手元資金を確保するために期末配当は無配にし役員報酬も減額する事を決めたようです。
今回はそんな元気寿司の今後について考えていきましょう。
それではまずこちらの資料をご覧ください
これは2019年4月~2020年12月期の新型コロナの影響が出始める前の決算です。
この時点で売上高は4.8%増の330億円となりながらも、営業利益は15.6%減の16.9億円、純利益は25.8%減の11.1億円となっており、新型コロナの影響が出る以前から減益となっていたことが分かります。
ではどうして増収減益となったのでしょうか?
その理由としては、原材料費の高騰と人件費の上昇が挙げられています。
2019年からは他の飲食チェーンも同様の理由で増収減益となっているところが多いですね。
インフレや賃上げが進んできたという事ですが、新型コロナの影響でその流れが止まってしまう可能性は高そうです。
ちょうど今日発表された民間予測では、日本国内で失業者数が77万人になりそうだと発表されました。
人手不足による賃上げが進んでいたわけですから、失業者が増えていけば比較的代替可能な業種の賃金は上がらなくなるでしょう。
失業者も増え低賃金の方が増えるとなると、スペインのようにベーシックインカムの議論が活発化していくかもしれませんね。
また、元気寿司は増収減益となった事への対策としてこのような施策を取ると発表しています。
その施策とは、回転しない寿司屋の増加です。
最近は回転ずしに行くと、もはや回ってないじゃんという店舗が増えましたよね、タブレットで注文して、注文した商品がレーンから流れてくるシステムのお寿司屋さんです。
回しているお寿司の多くは最終的に廃棄につながる事が多いですからそれを無くして、廃棄ロスを減らそうという事ですね。
さらに廃棄ロスを減らす事だけではなく注文もタブレットのみになりますので、お客さんへの対応時間や会計など店員さんのオペレーションの効率化が行われます。
これによって、人員の削減、人件費の抑制も可能になるという事です。
つまり、すでに元気寿司では人件費の削減に向けて動いていたという事です。
そしてこの流れは新型コロナでさらに進むことになるでしょう。
失業者の増加とともに人件費が下がったとしても、感染症対策や従業員から感染者が出た際には店舗の一時閉鎖リスクなどと向き合う事になるので人を雇うコストが増加していくからです。
さらにSDGs的な流れでいっても、特に上場企業の食料廃棄には厳しい目が向けられますから、回転寿司は回らない式がよりスタンダードになっていくでしょう。
元気寿司の未来!!
元気寿司は、現預金と売掛金の合計で48億円ほど持っており、流動負債は70億円ほどあることが分かります。
資金的には余裕があると言える状況じゃありませんね。
ニュースにもある通り4月の売上は前年同月比58%減ですから、無配にした理由もわかります。
資金が潤沢でないのであれば、人を減らすようなオペレーション改善が難しいのではと思うかもしれません。
ですが、タブレットを1席1台入れるだけで済んでしまうので、人件費を減らせばすぐ回収出来るということです。
今後は、人件費の削減で収益性の向上を目指していくでしょう、また、土地の額が少ないにも関わらず、不動産の額も大きく他の飲食と同じように賃貸の店舗が多い事が分かります。
なので賃料の交渉などがまとまるか、また、国でも様々な議論がなされていますので、そこに動きがあるのかにも注目です!!
今後の業績はあまりにも不確実性が高く、正直なんとも言えません涙