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このボランティア先は嫌だと思ったら・・・

「この人と合わない」「この場所とは合わない」と感覚的に思うことがある。

それは結構な確率で間違っていない。とはいえ、自分がどのような場所や人と合わないか言語化するのを避けていた節がある。言語化してしまうことで、特定の誰かを排除してしまうのではないかと不安があったからだ。

しかし、今回はこのネガティブとも感じられる記事を書くことにした。「一刻も早くこのボランティア先から抜け出したい」とこんなにも思うことはない稀なケースだったからだ。

念の為。この記事は愚痴ではなく、モヤモヤの分析。教育の話で記事を終えようと思うので、最後までぜひ読んでいただきたい。


世界36カ国を旅して、ボランティアをやっていると、ごく稀に「ああ、このボランティア先からは早めに抜け出したほうがいいかも」と思うことがある。

ベトナム北部で出会った口調強めの女性

ベトナム北部のボランティア先がそうだった。教育施設を運営する女性の口調が強く聞こえ、その女性が僕に話しかけるたびに、何か責められているような気がしてしまった。

相手はいつも通り話しているのに、僕自身は辛く感じる。その女性の口調を何とも思わない人もいるだろうから、僕との相性が悪かっただけだろう。

ベトナムのボランティアは3週間を予定していたが、1週間に短縮することにした。結果的に気持ちが楽になり、ベトナムの観光もできた。

生徒に暴力を振るう校長

相性ではなく、教育信念の相違で「ここから早く抜け出そう」と思うこともある。

ネパールで訪問した小学校の校長が、全校生徒の前で、ある生徒を叱り、体罰を振るうの見た時は身体が硬直してしまった。カメラを構えて、いつでも子どもたちの可愛い様子を収められるようにしていたのだが、暴力が始まったのに驚き、静かにカメラをポケットにしまった。

ネパールも学校の滞在期間を1週間短くし、ランタン山のトレッキングに充てた。結果的に絶景を見れたので、最善な選択だったと思う。

金銭のやり取りに違和感がある団体代表

今回訪問したウガンダのボランティア団体は最初から変な感じがした。

事前に知らされなかった滞在費10ドル(1日)を請求され、移動も全てバイクタクシーで料金は僕が払う。そして、なぜかいつも決まったバイクの運転手が来て、彼からかなりの額を請求される。バイクの運転手は団体の代表の友人でよく代表の家で夕食を共にする仲だというから、余計に怪しい。

本来は仕事をする代わりに宿泊場所と食事を提供されるはずなのに、1日10ドル以上を払うのも変なのだが、彼らの団体の懐事情を考えれば仕方ないのかもしれない。

ただし、僕が最もモヤモヤしたのは、お金に関してフェアではなかったことだろう。現地に到着して断れない状況で滞在費を請求する。バイクタクシーの運転手を選ぶこともできず、値段の交渉もできない。

こちらが何も選べない逃げ道のない不利な状況を作り、「どうする?」と聞いてくる。尋ねているのに、命令されている。後々文句を言っても「自分で決めただろ」と反論ができるレトリックを用いて騙してくるやり方が嫌だった。

2週間の滞在予定を8日間に変更して、今は別の学校に到着して、この記事を書いているが、いい選択だったと思う。

避けられない権力に負けそうになったら

ベトナム、ネパール、ウガンダの3つの団体から早々と抜け出した理由を並べてみると、あることが分かった。

僕自身は何か権力・暴力を使って相手を封じ込めることにすごく敏感なのかもしれないということだ。

・強い口調や暴力などの見えやすい一方的な権力
・相手が断れない状況を作った上で相手があたかも選んだような方法を取る見えにくい権力

もちろんこういう権力に触れたのは、世界一周を始めてからではない。高校時代、大学時代、教員時代、そして教員をやめてからも、こういったものに触れては拒否反応を示してきた。

僕が権力に対して取る方法は一つ。

「逃げる」「辞める」

という方法だ。

旅をしていると場所にこだわらなくなる。その土地と人と合わなければ、別の場所に移動すればいい。すごく簡単にできる。

「まだボランティア先はいくらでもあるから別のところに行こう」
「この国は合わないから、別の国に行こう」

それはネガティブな意味での「逃げ」ではなく、自分が心地よく生きるために、別の場所に移動するだけのこと。人類だって、定住型で生活する前は、その土地に食べ物がなくなったら移動してきたのだ。

ずっとその土地にいる必要なんてない。自分の心地いい場所に移動して、そこでまたしばらく暮らせばいい。そしてまた移動したくなったら移動をすればいい。

旅をして、僕にはここにだったら逃げて来れるという場所をたくさん見つけた。100万円あれば、数年暮らせるかもしれない場所も見つけることができた。

「そういう場所が、あなたにもあるよ」
「日本で苦しかったら、ここに逃げてきていいんだよ」

と伝えてあげることが、僕が行いたい教育なんだと思う。

自分が辛さを感じたときに、僕が救われたからこそ、僕が旗を振ってできることなのだと思う。

これからやろうと考えている学校に代わる居場所作り、現在行っているスタディーツアーで子どもや大人を素晴らしい場所に連れていくことは、まさにこの思いと繋がっている。


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