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「キラキラ自信満々自己肯定感高め」じゃないハンガリー
44カ国目ハンガリー。ただ「行ったことがないから」と選んだ国だったけれど、面白い国だった。東欧特有というのか、元共産主義の名残なのか、静かで穏やかな人たちが多い。一部の西欧諸国のように、自分たちの国に誇りを持ち、自信が溢れている元気な雰囲気は人々からあまり感じられない。物価が安く、西欧諸国の退職者が老後に出費を抑えて生活していく場として選ばれる国のようだ。実際、退職後にハンガリーに移住したオランダ人と食事をしたが、彼らとハンガリー人のテンションは明らかに違った。
自分の国や自分に対して自信がなさそうな気がして、ハンガリー人に「自分の国は好き?」と聞いてみたことがあったけれど、「もちろん好き」と即答された。自信が漲っていて、キラキラと輝いている人だけが自分に誇りに思っているわけではない。穏やかで、控えめで、自信がなさそうに見える人だって、自分の外には表現しないけれど、自分に誇りを持ち、自分を愛している人は多くいる。ハンガリー人はまさにそんな感じがした。
この国では、ブダペストで数日、そしてPecs(ピーチ)に移動して、10日間ほどホームステイをさせてもらった。ホストファミリーはお母さんと15歳の娘、そしてお母さんのボーイフレンドの3人家族。娘は日本文化の大ファンで、日本の漫画やアニメが大好き。お母さんも日本語が好きだったので、会話が弾んだ。
色々と楽しいことはあったけれど、やっぱり僕にとって旅の楽しみは食。ハンガリーの食事は今まで訪問した国とはひと味もふた味も違って、非常に面白かった。海に面していない東欧の人は肉を多く食べる。グヤーシュ(牛肉のスープ)、Brassói(豚肉とじゃがいもをニンニクで炒めたもの)、チキンカツレツも最高だ。揚げ物も多い。
他の国と大きく違ったのは、料理が甘いこと。彼らはジャムパスタというものを好み、スパゲッティにジャムをかけたものを好んで食べる。実際僕も食べたが、なんとも言えない不思議な不味さだった。鹿肉の煮込みを食べたがクランベリーの甘いソースがこれでもかとたっぷりとかかっていて、肉肉しいのに味はデザート。TOKAIという地方でとれたワインはシロップのように甘い。
最初、ハンガリー料理は甘いと聞いた時に、日本も味醂や砂糖を料理に使うから同じようなものかと思っていたけれど、甘さの度合いが全然違った。もちろん、しょっぱい料理や辛い料理もある。彼らは塩辛い料理と甘い料理を交互に食べることで、調和させているらしい。ちょうどいい味を求めればいいのに…。
穏やかで、物静かな国なのに、料理は脳が前後左右に揺さぶられるほど刺激的な味付けの国。不思議で理解し難い何かがある。でも、だからこそ魅力を感じてしまうのは、人と同じかもしれない。
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