大衆に万能感を与え思考を奪う陰謀論の仕組み

世界で何か大きなことが発生すると、陰謀論によってそれを説明する人が現れ、それを支持する人がぱーっと広まるのが世の常です。

今、世の中はSNSの時代になった。かつては本や雑誌、テレビなどでまことしやかに述べられ、一般に広まった陰謀論はもっぱら、SNSやYouTubeで広まっているようです。

私はアラブの研究を長くしており、アラブ人の中に長く暮らしていたので、陰謀論には昔から親しみがあります。アラブ人の中でダントツの人気はユダヤ陰謀論で、ユダヤ人が世界を支配しているので、自分達アラブ人が虐げられているというのが基本路線であり、それにいろんなバリエーションがあります。

私は別に陰謀論について研究したわけではありませんが、アラブ人が語ったり論じたりする陰謀論に長く親しんできた、陰謀論についてはいくつかの考えを持っています。

ひとつには、陰謀論には社会的役割がある、ということです。役割があるからこそ広まり、人気を保っている。

それはひとつは、自己正当化です。自分自身や自国がイマイチである現状を、