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タリバン=アフガンと主張する高橋博史・元アフガン大使
朝日新聞の編集委員だという峯村健司氏が次のようなツイートをしていました。
【謹告】緊迫するアフガニスタン情勢。なぜ今の情勢が起きたのか。タリバーン政権はどう動くのか。中国、ロシアの対応は。先日まで駐アフガニスタン特命全権大使を務めておられた高橋博史・拓殖大学客員教授に解説していただきました。#CIGS外交・安全保障TVhttps://t.co/UrImXGdzU3
— 峯村 健司 / Kenji Minemura『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』重版御礼 (@kenji_minemura) August 24, 2021
この高橋博史氏がアフガンの大使を務めていたのは2012年から2016年までなので、「先日まで駐アフガニスタン特命全権大使を務めておられた」というのはウソですね。全然「先日」ではない。
それはさておき、この動画を見たのですが、実にひどい。本当にひどい。
何がどうひどいかというと、大きくポイントは二つあります。
ひとつ目は、この高橋という元アフガン大使が、「タリバン=アフガニスタン」だと主張している点です。
進行役をつとめている峯村氏も、合間に登場する宮家邦彦氏もこの主張に対し「なるほど〜」とかいって納得し、宮家氏に至っては、
「これを言っちゃ終わり」かもしれないが、高橋大使の話は、日本語は勿論のこと、英語も含め、内外のアフガニスタン関連報道が如何に陳腐かつ浅薄であるかを示している。お時間のある向きは、どうか短時間でもご視聴頂きたい。「ターリバーンはアフガニスタンそのもの」という同大使の結論は、文字通り、「目から鱗」である。
と大絶賛しているわけですが、私から言わせれば「は?」です。
それでは肝心の、高橋元大使の「お言葉」をご覧いただきましょう。
次のようなものです。
高橋「あのーまずですね、タリバンとアフガンっていうのは一緒なんですよね。まず。タリバンという特別な考え方を持ってる人たちがいるわけじゃなく、アフガン人自身がああいうような考えを持っているわけです。」
峯村「なるほど」
高橋「要するに、女性の権利は認めない、だからアフガン人っていうのはタリバンそのものなんです。そこはみなさん、大きな誤解をしているところがあるんですね。」
峯村「確かにそうですね」
この高橋という人は、タリバンとタリバンの思想とイスラム教とアフガニスタンとアフガニスタン人というものを全て混同しています。それでわかったようなことを言っていますが、これは誤謬です。
何が誤謬か、ご説明しましょう。
タリバンにはタリバンの思想があります。彼らはイスラム法に基づく統治を主張しています。しかしイスラム法に基づく統治というのは
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