能楽鑑賞の手引き 〜チケット購入編
まずはじめに
「能楽」って歴史で習ったけど、よく分からないし、別に今じゃなくて良い。
は間違いです。
良い役者、良い演者はどんどん少なくなっています。
新しい良い演者達は増えていますが、それでも「今」観るべき芸能です。
あなたが観てみたいと思った時に能楽自体が無くなっていてもおかしくありません。
選曲
一度能を観た事ある方が言う言葉
「眠い」「分からなかった」「つまらない」
ハッキリ言います。これは選曲ミスです。
能の名曲「井筒」「定家」「野宮」など、「これ良いから観に行こうよ」なんて誘われたことが有るかもしれません。
でもこれ、「知ってるから面白い」演目なんです。
自分もこれを初めて観たら「もう観たくないわ」ってなります。
ジャンル
じゃあどうするか。
「ジャンル」で選びましょう。
能楽には「神・男・女・狂・鬼」と五種類のジャンルがあります。
初めてで観るのにオススメは「鬼」
「土蜘蛛」「殺生石」「石橋」などは視覚的に観るだけで理解ができる、楽しめる演目です。
どの席が良いか
能楽の座席表はよく分かりにくい書き方をしています。
正面席 中正面席 脇正面席
表記を分かりやすくしようとして
SS席 S席 A席 B席
分かりにくいです。
正面席
やっぱり正面席が観やすいです。
しかし、舞台は自分の目線より高い位置にあるので、正面席でも1列目だと見上げる形になったりします。
また、舞台を正面にして右側(21番)の方は角度がついていて見えにくい場合があります。
能楽は総合芸術の舞台です。
3列目〜5列目辺りで贔屓の演者をじっくり観るのも良いですし、あえて後方席にする事で舞台全体を見渡す事もできます。
同じ演目でも見える景色、観たい景色が変わるのも楽しみ方のひとつです。
中正面
敬遠されがちな席がこの中正面席です。
理由は能舞台の作りにあります。
能舞台には柱が立っております。
その柱が目の前に来るのです。
そうです。柱により見えづらくなります。
この柱取り除くわけにはいかないの?
と良く言われます。
取り除くわけにはいかないのです。
シテ(主役)は限定された視界の中で、この柱を頼りに動くのです。
この柱が無いと舞台上の感覚が分からなくなってしまいます。
でもこの中正面席、個人的には好きな席です。
角度があるので、舞台上の能面や装束を違った角度から見ることができます。
あとは「道成寺」この演目の時、小鼓は角度をつけて演奏します。
この中正面方向に向いて演奏をしているので、緊張がビリビリと伝わってきます。
脇正面
玄人向けなのがこの脇正面席です。
何より良いのは「地謡」(コーラス隊)の謡を真正面から受けれます。
また、橋掛り(幕から伸びている橋のようなもの)を歩いて出てくる演者のハコビ(足使い)をすぐ側に感じられます。
と、席についてお話しましたが、江戸時代には座席というものは無く、身分の高い方は正面席後方(12列目より後ろ)くらいのところにある、別の建物からご覧になっていたようです。
なので、それ以外の席は「芝居」(芝の上に座る)席と言われていたそうです。
チケットの買い方
チケットの買い方は観たい舞台がありましたら、そのチラシに明記されています。
また、出演する能楽師に直接問い合わせても良いです。
もし面識が無くても、最近ではSNSを活用されている方も多いので、お気軽にお問い合わせください。
他にはカンフェティなどもあります。
また、「柳の下」というウェブサイトには日本全国の能楽公演の情報がアップされていますので、そちらもご活用ください。
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