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クリエイターを諦め切れなかった私がデザイン留学するまで①

こんにちは。イリノイ工科大デザインスクール(Institute of Design, 通称ID)に留学中のShinです。今はまさに留学の出願時期ですので、参考になるかわかりませんが、私の出願経緯について数回に渡り綴っていきたいと思います。

まず、私は子供の頃からクリエイティビティという言葉からは程遠い人間でした。コンテンツを創り出す側ではなく、常に消費する側でした。

音楽・映画・ゲームが好きでも、作曲をすることも、自主制作映画を撮ることも、プログラミングでゲームを作ることもありませんでした。

高校は2年まで理系でしたが、自分は研究者・エンジニアに向いていないと思い文転、大学は法学部に進学することになります。大学卒業後は海外で働くチャンスを求めて、グローバルに事業展開する自動車メーカーに就職しました。この頃から海外への漠然とした憧れはありました。

配属先は需要予測とユーザー調査を行う部署。希望先の一つとしてメーカーの花形である商品企画も提出しますが、車がもともと大好きだったわけではない私の浅はかさは人事にはっきりと見破られていたと思います。

簡単にバックグラウンドを説明しましたが、ここまで見事なまでに創造性ゼロです(笑)

当時の私を知る人が今デザイン留学している事実を聞くと、「どうしてそうなった!?」と思うことでしょう。今のところその道筋が全く見えませんが、そんな人間も現在、デザイナーの端くれとしてデザイン畑出身の学生と遜色なくコンテンツを制作しています。

何かを作ることに興味があるけど全くそんな経験がない。。。と不安に思う方は日本のビジネスパーソンに結構いらっしゃるのではないかと思いますが、大丈夫です、全く問題ありません。

私がデザイン留学を決意するまでにいくつか転機が存在しますが、一つ目は配属から数年後に訪れます。

見える世界が広がったシンガポール赴任

入社5年目、幸運にも若手の研修制度を使い海外赴任するチャンスをもらいました。赴任先は東南アジアから多様な人材が集うシンガポール。ここで私は2つの大きな異文化体験をすることになります。

一つはシンプルかつ明確なビジネスコミュニケーション。様々な価値観、背景を持つ人材が集まるオフィスで、使えるのは第2言語である英語のみ。ネイティブではない我々が業務を回していくには、わかりやすいロジックで簡潔に自分の意図を伝える必要がありました。

赴任前の私は調べたことやったことを全て説明してしまい、「結局何が言いたいの?」と周りに尋ねられる日々でした。しかし、シンガポールで上司や同僚が他部署とどうコミュニケーションを取っているのか、役員にどのようにプレゼンしているのか日々観察しながら学び、実践していくことで、ある日突然頭の中の霧が晴れた瞬間が訪れます。

自分の意見のポイントは何か、どう組み立てたら相手にわかりやすくなるか勘所が掴めるようになり、さらに、相手の話の核となっている部分を理解し翻訳して伝えるということも出来るようになります。それまでには考えられなかった状況です。それもこれも、母語ではない英語を使わざるを得ないことが起こしたものです。

デザインの世界では「制約」が良い商品やサービスを生むと言われますが、私のコミュニケーション力の進化もまさに制約がもたらしたと感じています。

加えて、多様性がもたらす「いい加減さ」に心を救われました。日本にいたときの私は、型やお作法にどうしても囚われてしまい、窮屈な形で仕事をしていました。正しいプロセスを踏まなきゃいけない、全部完璧にこなさなきゃいけない、そうやって自分で自分を縛っていました。

それが、シンガポールに来ると何と周りの適当なことか!?結果さえしっかり出せばアプローチは問わない姿勢、最低限のビジネスマナーさえ守ればある程度カジュアルなコミュニケーションでも許される文化。日本人的な正しさなんてどこへやら。肩の力が一気に抜け、自分のペースで仕事をすることが出来るようになりました。

結果、スキルアップだけでなく、杓子定規な性格が良い意味で丸くなったと言われるようになり、人間的な成長を遂げることが出来たシンガポール生活は私にとって成功体験となります。そして、留学や再赴任でもう一度成長機会を得たいと思うようになります。ただし、留学といっても当時は漠然とMBAとしか考えていませんでしたが。

その後、充実した海外生活もあっという間に終わって再び自動車の需要予測の仕事に戻り、クリエイターとは程遠いキャリアを引き続き歩み続けることになります。しかし、その翌年の異動がもう一つの転機をもたらし、クリエイターというものを意識するようになるのです。というところで今回はここまで。

軽めの読み物としての連載を考えていますので、続きは次回に譲ります。しばしお付き合いいただけますと幸いです。

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