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二輪のすり抜けの話

昨日は朝の出勤時と夜の帰宅時の両方で、せっかく楽しくスーパーカブにまたがっていたのに、バイクのひどい運転をする輩を目撃してうんざりしました。

まずは朝。片側3車線で、そこそこ車は多いものの40キロ以上で流れていて、200メートル先に分岐があるので車線変更する車がちらほらいるという状況の中、車線から車線を渡り歩き、八艘飛びよろしくすり抜けをかます中型バイク。

40キロ以上で走行中の車をすり抜ける時点で非常に危ないわけで、やべーヤツがいるなと見ていたら、最後は車と車の間、左右がギリギリのところをすり抜けて視界から消えていきました。

通過の瞬間に、どちらかの車が少しでもハンドルを切ったら彼は死んでいたと思います。しかもそんな状況でのすり抜けですから、車の運転者は一瞬のことで気づいていなかった可能性も高く、死ななかったことはたまたまの偶然にすぎません。

そして夜。これはありがちで珍しくもないパターンなんですが、交通量の多い国道をまたぐちょっと大きめの交差点、私は前から4番めくらいのところで信号待ちをしていました。

するとお約束の、原チャリスクーターが左側をすいすいとすり抜けて先頭に。ここまではよくある話なんですが、停止線の超え方エグすぎ、前の国道の車の通るルートの直前まで出ています。

今日見かけたようなひどい二輪の運転をするヤツは実際たまに見かけますし、二輪車は全車両の中でも割合が少ないのでよく目立ちその結果、二輪イコール迷惑というイメージが出来上がってしまいがち。公道において、原付にしても小型にしても中型以上にしても、二輪車を良く思わない四輪ドライバーは多いわけです。

ひどい運転をする者の割合は、確かに四輪より二輪の方が高いと感じます。それにしたって、一部のひどいヤツのおかげで二輪がじゅっぱひとからげにされて迫害(?)を受けるのは残念でなりません。

サッカーファンが全員フーリガン扱いされるとか、鉄道マニアが全員マナー無用の一部の撮り鉄と同一視されるとか、そんなことがあったらとんでもない話なんですが、公道における二輪の扱いはそれに近いものがあるんです。

この状況のひとつの原因になっていると思われるのが、最初にあげた2つの例にも共通していることですが、すり抜けです。

他の車が動いている状態でのすり抜けは私の感覚では言語道断で、やってるヤツはヤクザにキレられろとしか思いませんが、信号待ち中など流れが一旦止まっている状態でのすり抜けについては、やっている人はかなり多いと思います。すり抜けは二輪の特権だとか、二輪は渋滞関係ないとか、そういう感覚を持っている人も多いみたい。

それにしたって、すり抜けないと禁断症状が出るのかと思えるくらい、隙あらばすり抜け、隙なくても半ば強引にすり抜けというヤツもよく見かけます。原チャリスクーターに多いかな。

何キロも先まで完全に交通マヒ状態の渋滞だというのならまだしも、普通の信号待ちの列をすり抜けたところで、ほとんど時間の短縮にはならないのに。それよりも、ミラーをこすってしまったりといったトラブルや、公道で周囲から反感を買うというリスクを考えたら割に合わないと思うんですが。

というわけで、二輪レーンがあってじゅうぶんな広さがあるという特殊で限定された状況以外では私はすり抜けはしません。信号待ちは、前の車の真後ろで待ちます。

自分が先頭の時は、二輪より前へ出ないと死ぬ病気の四輪運転者がすぐ後ろにいる可能性を考えて、念のため左に寄って待つこともあるかな。そういう病を患っている人には、先に行ってもらったほうが良いですから。

というのが私のすり抜けに対するスタンスなんですが、この投稿を書くにあたって少しネットで検索して調べてみたら、すり抜けに対して反感を持つ人が多い反面、二輪車は邪魔だからサッサとすり抜けていなくなってほしいという意見も見かけて驚きました。何ですり抜けないで車の真後ろを走ってるの?と思うんだそうです。どうしろと(笑)。

こういう問題の解決には世の中全員のチームプレーが必要ですが、それは事実上不可能です。どんな集団にも必ず一定割合でヤカラが存在しますから。なので、解決というより問題の軽減や、自身が無駄なトラブルに巻き込まれるのを避ける努力をするしかありません。

しかしまあ、こういう軋轢を生む原因は全て、相手の立場になって考えないことだと思っていますよ。

つまり、四輪 vs. 二輪みたいな形で議論をするからおかしくなるんです。この場合はむしろ四輪運転者は二輪運転者の立場で、二輪運転者は四輪運転者の立場で考えないといけないのに。

実際に経験していない立場のことは、考えるだけではなかなかわからないものです。しかし全く考えないのと立場に立って考えるという努力を少しでもすることとの間にはものすごい差が生まれます。

ちょっと話が公道でのことから逸れるようですが、世の中全てのトラブルの大きなところは「相手の立場で考えること不足」これだと思いますよ。

誰だって、仕事でもプライベートでも、相手と意見が食い違って揉めたときに「絶対オレの方が正しいのに、なんでコイツはそんなアホな意見を執拗に押し付けでくるんだろう」みたいな気持ちになることもあると思います。

しかしその時アツくなってわからなくても、後でよく考えたり、あるいは他の人から事情を聞かされたりして、あいつにはあいつの立場があってのことなのかな・・・と少し考えが軟化することもあるわけで。

とっさの場面ではなかなか相手の立場にとは言っても難しいです。でも、それをする努力をしない人間はナリは大人でも幼児と同じ、いやそれでは幼児に失礼、獣と同じだと思います。

ここで公道での話に戻すならば、免許が取れるくらいの年齢になってそれができない人は、走っちゃダメです。そういうヤツが交通トラブルの元凶です。

話は二輪のすり抜けから、思いのほか大きなテーマに展開しちゃいましたが、互いを思いやる気持ちが足りないから余計なストレスを感じてしまうわけで、それってたぶん大昔から言われていることだと思うんです。

しかし、どうせ思いやったところで相手側にその気持ちがないのであれば「思いやり損」だ、というふうに諦めてしまうことも良くないです。思いやりは思いやりっぱなしで当然だと皆が思えれば最高、そうはならなくてもせめて自分だけでもと思えればベターです。

それは公道を安全で快適に通行するためにも不可欠なことですが、一部の悪質運転者のおかげでその意欲を削いでしまっている現状が残念です。それでもせめて自分だけでもと思いたいものです。(キラーン)

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