ブルーカラーにも色々あらあな
note界で最も意識低い系だと自負している私が、ブルーカラーのお話をします。
パリっと糊の効いた白い襟のワイシャツを着て働くからホワイトカラー。昔の肉体労働者は襟も青のくたびれたデニムシャツを着ていたからブルーカラー。ホワイトカラー、ブルーカラーという言葉がどのくらいポピュラーなのかは知りませんが、横文字にするとエグさが軽減されますから便利な言い方だと思います。
私は今までにホワイトカラーの仕事に就いたことはありません。DPE店(写真現像店)の雇われ店長をやっていた時は、店の制服もあったのですがワイシャツにネクタイを締めて働いていました。これはホワイトカラーに対するコンプレックスによるものでしたねえ。
オッサンになってからは特にブルーカラーにどっぷりです。そんな中で、私にとっての「良いブルーカラー」「悪いブルーカラー」の区別が明確になってきました。
コレは私の性質にもよるところなのですが、世間一般のちゃんとした人たちがイメージする良し悪しとは真逆だったりします。ざっくり言うと、ブルーカラーのクソみたいな仕事をやる場合、ちょっとブラック気味の会社くらいが働きやすいということです。
私が経験したブルーカラーの中で最もすり減ったのが、とてもしっかりした真面目な食品製造会社での勤務でした。
社員一同生産性の向上を目指し、改善点を出し合い、会社を発展させるために必要なノウハウを構築・共有し、上司は部下を丁寧かつ厳しく指導し育てていく、そんな会社でした。
でもやってることはクソ暑い現場での肉体労働で、粉まみれになって製造、製造、また製造。出来上がった製品の重量はトン単位、それを人力でパレットに乗せていくみたいな、人間というよりゴリラがやるのに適した作業です。
いや、ゴリラ系作業は別に慣れちゃえばどうってことないんですが、いかんせん社員みんなが真面目な会社でキチンとしているんで、私ばっかりアホということでどうにも居心地が良くないんです。
やることなすこと失敗を繰り返して流れ流れてブルーカラーにたどり着いた身ですから、普通の人間よりもダラけていて隙あらばサボって楽してやろうと考えているんです。そういう人間にとって、カッチリと管理された勤務環境はかなりしんどいです。
カッチリしてますから、薄給は薄給ですが会社に理不尽なことをされることもなく、全てにおいて筋は通っているんです。真面目な人にとってはそれが大事なことなんでしょうが、私の場合は色々面倒くせえなという気持ちのマイナスの方が勝ってしまうんですよね。
本当にしっかりした会社なんです。安全対策や衛生管理はかなり厳しくて、これは働く人も製品を買う業者やエンドユーザーもこりゃ安心だと思ったものです。
たとえばフォークリフトもちゃんと免許を持ってる人しか乗りませんし、高所に上がる時は安全ベルトも厳重に装着することが義務付けられています。私が見てきた色んな会社ではこんなことはなかったです。
私だって、免許ないのにフォークリフトの操縦はお手の物ですし(笑)、高所にはそのフォークリフトの爪の上に立って上がれば手っ取り早いじゃんみたいな、現場ネコの漫画みたいなことがあったようななかったような。
一般的にはキッチリした会社で働きたいという方がマジョリティなんでしょうが、私はダメなんですよねえ、そういうの。だからどうしても職場で浮いてしまうか、そうならないためにそっちの方に神経を使って疲れるんですよ。
それに対して、今の会社の前に勤めていた町工場みたいな会社は私には良い会社でした。(コロナでアウトになってしまったんですがね。)世間一般から見ればブラック企業だったのかもしれませんが、中で働いてる者としては少々のブラック具合は気楽さで相殺できてしまうんです。
まず朝は朝礼っぽいことはやるんですが「おはようございます、何かありますか、なければ今日も一日よろしくお願いします」の30秒で終了です。
作業はおのおのが自分のペースで行い、一応終わらせなければいけない期限はあるんですが、基本的に日程にかなり余裕があるので、ものすごく忙しいということもあんまりないんです。
また、作業ノウハウの共有というものが全くと言っていいほどありませんから、自分の担当以外のことはあんまりわかんないんです。ということは他の作業員も私が何をどうやっているのかをあまりよくわかってないんです。
するとどうなるかというと、たとえば1時間で終わる作業でも2時間かかるということにしてマッタリと工程を進めるとか、気が乗らない日はパソコンで事務作業をする雰囲気を出しつつサボるとか、自由自在なわけです。
生産性?そんなもの向上させたら、毎日の仕事が大変になる以外なにもありません。百害あって一利なし!
一週間で100できるんだったら、50か60程度にとどめておいてそれが限界だということにしておかないと、マジで100を要求されてしまうので損です。そういう部分をコントロールすることが大事な仕事です。・・・というような気楽さ、素晴らしい。
その代わり、社長の私用で突然呼び出されて運転手をさせられたり、一生給料が上がらなかったり、普通の人だったら耐えられないブラックな部分も少なくないわけです。でも、気楽さとノン気に仕事をできる緩さに大きなメリットを感じて、多少のマイナスポイントは相殺してお釣りがくるわけです。
若い頃からダラダラ生きてきたので、誰でも雇われるブルーカラーにしか私が働ける会社はないんですが、もしも時間が戻って若い頃からやり直せたとして、ホワイトカラーの仕事は私にはできそうもありません。バカがバレるのを必死で隠そうとする(でも実はバレてる)という毎日で、疲れ果ててしまうでしょうから。
競争社会で生き残っていくには、私はノン気すぎるんです。そう、「良いブルーカラー」の会社に共通していることのひとつは、あまり社内での競争意識というものがないんです。これは大きいです。
実感として得た確かなことは、会社がキチンとしていると社内で競争意識が芽生えてくるということです。これはキツイと感じる人にとってはものすごくキツくて、度が過ぎると人によっては病んでしまうのではと推測します。
若い頃は、自分は何でもできると思ってしまいがちですが、私みたいに何にもできない人間は、早めに降参することがポイントだと思います。しかしこれがかなり難しい。私なんで40超えるまで何一つ成し遂げてないのに、自分は何でもできる、ただ本気出してないだけだと思っていましたよ。
話がそれかけましたが、同じブルーカラーで働くにしても、自分に合った会社を選ばないとする必要のない苦労をしますよという話です。
キッチリ系ブルーカラー会社は見つけるのは難しいですが、お気楽系を目指す人には朗報です。お気楽系ブルーカラー会社はけっこうたくさんあります。
キッチリ系よりもお気楽系の方が、仕事にやりがいは皆無なものの、働いている人の表情は生き生きしていると思いますよ。それをもってお気楽の方が良いという話じゃなくって、どっちが自分にとってストレスがないかを考えること、これが一番大事だという話でした