素人でもわかる交通マナーの原理原則
通勤距離が往復で60キロ以上あるので、私は月に最低でも1200キロ以上は走ります。基本的に50CCのカブで走りますが、雨の日は普通のクルマです。別に運転に自信はありませんが、今回は二輪と四輪両方でそれなりの距離を日常的に走っている者から見てこう感じているという話です。
交通マナーが良いとか悪いとか言いますが、何をもって良し悪しを判断するのでしょうか。線引きはどこにあるんでしょうか。これって学校の先生も教えてくれませんし、自動車教習所の教官も教えてくれないんです。誰もキチンと習ったことがなくて、各自が自分の判断に基づいて身につけていくしかないんです。
ということは、車間距離にしてもウインカーのタイミングにしても車線内の位置取りにしても、人それぞれ自分がこうだと思うところでやっているだけで、目安となるものがないんです。いや、クルマや交通に詳しい人の書いたネット記事などに参考になるものはありますが、そういった目安が全運転者に共通認識として周知されることは不可能です。
しかしそれぞれの場面における適切な目安という個々の具体的な話は置いといて、基本原則、理念と言った方が良いでしょうか、それは共通意識として持っておくべきだと思います。これも「私はこう思う」という域を出ませんが、素人の私でも正しいと自信を持って言える基本原則があります。
・安全な交通は全員のチームプレー
・互いの立場になって思いやりの気持ちを持った運転
ひとつ目、全員のチームプレーというのは、よく交通マナーについての話で出てくる「流れに乗る」ということです。法定速度を守って走るとむしろ危険だというケースが多いということは全運転者が感じているところだと思います。違反推奨という話ではありませんよ。法定速度以内で走ることが危ないから無理なケースが現実としてあるという話です。ゆっくり走る=安全運転ではないことはわざわざ指摘するまでもない暗黙の常識です。
渋滞の原因になりやすい交差点というのもよくありますが、渋滞を引き起こしているのはマナーの悪い(=運転が荒いということではない)運転者であることが多いです。速やかにスムースに一回の青信号でできるだけ多くのクルマがそこを通過できるようチームプレーの精神を持つ、それができない=マナーが良くないと言えます。
ある程度幅のある車線なのに、右折・左折時にクルマを寄せずに曲がったり対向車がいなくなるのを待っているなんていうのは典型的な例です。また、左折時にトラックやダンプならともかく、普通のクルマなのにちょっと右に膨らんでから曲がるなんていうのもマナーが良くないです。それによってスムースに抜けられるはずの後続車の通過を遅れさせてしまうわけですから。
素人の私が「これはマナーが悪い」と断言してしまうのは先に書いた原則にのっとって考えれば私でもわかるくらいのことだからです。ここで出てくるのがふたつ目の互いの立場に立って思いやるということです。これにはいろいろな要素がありますが、私が公道を走っていて感じるのは、後続車に気を配ることの大切さと、それができていないクルマの多さです。
私は50CCのカブで走ることが多く、一般的なクルマに比べると非力で速度もありませんから、常に後続車を気にするクセがついているんです。遅くて邪魔になっていないかなと気にしながら走っているんです。基本的に小さい二輪は、クルマ専門の運転者にとってはウザい対象としてマークされがちですから、必要以上といっていいくらいに気を使って走っています。
基本原則としては、繰り返しになりますがチームプレーで交通の流れを作るということ、周囲のクルマにとって迷惑にならないよう配慮を思いやりを持つこと、これに尽きますしほとんどの行動はその延長線上で考えれば大きく間違えることはありません。
私がカブに乗っている場合を想定して、少し具体的な例に触れてみます。
小さい二輪車、特に原付スクーターでよく見かけるのは車線の左に寄り過ぎているバイクです。これは四輪のクルマから見ると「追い越してください」という意思表示のように見えるんです。しかしバイク側にそういう意思がないことも多く、ここで余計なストレスが発生してしまうんです。
ネット記事を漁って調べてみたら、教習所で習う「キープレフト」という言葉が独り歩きした結果という要素もあるようです。速度的に流れにちゃんと乗れている場合は左に寄るとかえって危険だし、周囲のクルマにストレスを与えてしまうと思います。
ちょっとでも左に寄っていて、バイクの前にクルマ一台分のスペースがあろうものなら必死で追い越してくるクルマもあるくらいですから、バイクにとっても危険、対向車にとっても危険です。バイクの無意味な左寄せそういう余計なリスクとストレスの原因になります。
先の原則にのっとって考えると、小さい二輪だろうと前のクルマの真後ろの位置取りがベストです。そこにいる限り、流れに乗って走ろうとしてますよという意思表示になります。
逆に、バイクの性能的に速度についていけないのに車線の真ん中を走るというのも迷惑な行為です。完全に交通の流れをせき止めていますから、イライラした後続車の無理な追い越しを誘発しかねません。自分のバイクの出力ではついていけないような道では左に寄って後続車をやりすごすことを繰り返して走るとか、そもそもそういうルートを選ばずに走る、それが周囲への気配りです。
また、カーブや交差点や坂道など減速した後の再加速もモタつくと後続車に迷惑をかけてしまいます。ですから、セミオートマながらシフトチェンジのあるカブでは、シフトダウンと再加速の練習は不可欠です。パワーが足りずトロトロ加速になってしまいそうになったら左足のカカト(シフトダウン)に意識をやります。最初はちょっと難しいですが、慣れてくればよっぽど流れの速い幹線道路は別として、大半の一般道においてはカブ50でもじゅうぶん流れに乗れます。
次に四輪に乗っている場合を想定すると、バイクより車体が大きい分後続車の進路を塞いでしまわないように注意するということが大事になってくると思います。先に書いた交差点での右左折の際の車線内の位置取りもそうですし、右折で詰まりがちなルートはなるべく選択しないということも含みます。
それから、私のクルマは古いのでそんな機能はついてませんが、自動アイドリングストップ機能つきのクルマ、信号待ちからの再発進が遅い人が多いように感じますけどどうでしょうか。あれはテクニックでカバーできないもんなんですかね。繰り返しになりますが、チームプレーでスムースに交差点通過ということを考えると、そのわずか1秒のちがいも周囲に気遣いをするならば改善したほうが良いポイントだと思います。
また、後続車という話で言うとハイエースなどの荷物を一杯積んでいる場合とか、先日私が初めて運転したトラックも同じですが、真後ろは走っている間全く見えないです。だから、後ろのクルマの反応もわからないんです。ですからそういうクルマに乗っている場合は特に、後ろに迷惑になっていないかを想定して走る必要があります。
逆にそういうクルマの後ろに付く場合は、真後ろにいる限り全く見えていないということは意識しておくべきです。ちょっとでも横にハミ出ればミラーに映って見えますが、大きめのクルマに乗っている場合ってミラーで見えている後ろの距離感って遠く感じますから、バイクにすり抜けられるといきなり出てきた感じがして超怖いです。バイクの人、トラックの横を抜けると死ぬ可能性が格段にアップしますよ。
夜間のバイビームも、最近はどうやらオートハイビーム機能つきのクルマもあるそうで、歩行者の安全に配慮されているそうですが、対向車の安全という意味では逆効果でいってこいな気がします。これも相手の立場で考えれば、対向車がいる間だけ手動でローに切り替えるだけの話です。
ただ、気づかない運転者もいるようで、四輪のクルマを運転している場合にハイビームを食らうとけっこうお手上げです。減速してなるべく左に寄ってやりすごす感じになっちゃいます。こっちがカブに乗っている時は割と簡単で、バイクは体むき出しですかか顔をそむけてまぶしい感を出すと気づいてすぐに下げてくれますね。
それからこれは私の中で答えが出ないんですが、合流時のマナーです。加速車線でしっかり加速してできるだけ加速車線の終わりに近いところで合流、本線と合流のクルマが交互になるようにするというのがスムースだというのはわかるんですが、クルマに慣れていない人だと、加速車線のできるだけ後ろでっていうのが怖いという気持ちはわかるんです。
しかもこの"正しい合流"って、本線を走っているクルマも含めてその現場にいる全てのクルマがそのマナーを周知していないと実現できないことですよね。なんとかならないんでしょうか。
個別の事例についてはキリがないんですが、チームプレーと互いの思いやり、この原則を守るというシンプルな考えで、具体的にはその延長線上で考えるということでオッケーです。素人の私でもわかります。
また、交通マナーの議論をすると「お前が悪い」「アンタが迷惑だ」みたいな気持ちになりがちですが、そうじゃなくて自分と相手の立場を入れ替えて考えてみるということが大事です。これは交通に限らず全ての対抗する議論を行う場合に必要なことだと思います。
話は逸れるようですが、たとえば憲法9条の話でも町内会のルール決めの場合でもどんな議論でも、賛成派の人は反対派の立場になって、逆に反対派の人は賛成派の立場になって、一旦逆の主張でディベートしてみたらどうだろうと思うんですよね。
それと同じで、交通マナーの正解を導き出そうとする場合でも、自分が正しい、自分にとって都合がいいという発想から離れて、相手の立場に立って考えてみればベターなやり方も見つかりやすいですし、多少こちらが不満なことになったとしても余計なイライラを抱えなくて済むものです。
もうひとつ補足として、現実の公道にはそういう原理原則とは関係ないところで生きているヤカラが存在するというのも事実で、そういうヤカラは道路に落ちているバナナの皮とかうんことか、飛び出してくる動物と同じものとして処理する以外ないです。マナーの原則からは外れた存在ですから仕方ないです。排除は警察の方に任せるか、渋滞の原因にならない場所で自爆してくれることを祈る以外ないです。
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