−若竹色− 皆勤賞が途絶えた、18歳の誕生日
(ネガティブな内容を含みます、引きずられそうな方はご注意を)
小学校1年生から、ぼくは学校を休んだことがなかった。
幸運なことに体調を崩すこともなく、そしてとても真面目だったので、毎日学校に行っていた。
高校3年生、18歳の誕生日の前日までは。
そのとき、ぼくの中で、プツッと糸が切れた。
それまであまりに真面目に生きてきたのと、大学受験のストレスもあったのだと思う。
もう、すべてが嫌になった。
教室のザワザワが聞きたくないし、先生のことも何も信じられない。
今まで真面目に生きてきて、頑張ってきたけど、それも意味なんかなかったんだな。
誕生日の前日だった。
もう限界だった。
家に帰って、もう学校行きたくない、と泣きながら訴えた。
18歳になった。
ぼくは人生で初めて学校を休んだ。
その後、たまに休みながらもなんとか学校に通って、受験を終え、無事に卒業した。
これは恩師のおかげが大きい。この話はまた今度。
(書き添えておくが、母校のことは好きだし誇りに思っている。)
学校に行けなくなったことは、ぼくにとってもちろん大きな出来事だった。
その経験によって得たことも多少はある。苦しい人の気持ちを深く考えるようになったとか。
「あの経験が役に立ったな」と思うことも時々、本当にごく稀にあるけれど、「あの経験があってよかったな」と思ったことはない。思いたくもない。
そんなの、あれだけ苦しんだ過去のぼくに失礼だから。
ぼくには、「学校に行けなくなった」という記憶は、マイナスの感情として深く心に刻みついた。
そして毎年誕生日が来るとそれを思い出す。
だから今も、ぼくは誕生日が来るのが怖いし、「誕生日おめでとう」と言われると少し苦しくなる。
でも、17歳最後の日のぼくには、こう伝えたい。
「君の決断は正しいよ。勇気を出してくれてありがとう。」
18歳からのぼくに。
「君の過ごしている時間は決して無駄じゃない。頑張っても頑張らなくても、君は君のままでいいんだよ。」
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【若竹色】わかたけいろ
若竹の色。
18歳になったぼく。君は若竹だ。大丈夫。
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