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わかい女がめんどくさい。

いつの日だったか、私は10年来になる女友達と久しぶりの再会を果たした日があった。
ただこの日は予定が詰まっていたこと、先方の誘いだったのにも関わらず私が都合のいい場所まで赴かなければならないこともあって、全く乗り気ではなかった。はじめは「再会は時間のできる今度にしよう」と提案していたのだが「できるなら会いたい」という申し出を無下には出来なかった。

友達は悪い人ではないが頑固だ。
女性特有の頑固さ、といったらいいのだろうか。

この頑固は私の助言や意見を悉く否定する。怒るまではいかないが、私自身に体力がないとこういった類の友人と時間を過ごすことは容易いことではない。最近は彼女の頑固に立ち向かっていないが、受け流すことすら労力を要する。まだまだ私も大人の女性にはなれないようだ。

この日の約束の時間の前に、私は折角遠くまで来ているのだから用事を済ませてしまおうと早めに街に着いていた。
遅刻しがちで少しルーズな彼女はその日も案の定遅刻だった。事前に切符を取っていなかったようで予定の新幹線を乗り逃し、時間をかけて自由席の列に並んだようだった。私はその連絡を受け、なんとも言えず口をへの字に結んだ。こちらに到着してからも運が悪い。在来線の電車が、この夏の異常なまでの気温上昇に耐えきれずレールの点検を行っていたため電車が中々来ない。さらに遅刻という訳である。

さすがに私も大人だ。怒ってはいなかった。
けれど、なんとも言えない気持ちが私を覆った。私は暑さのあまり先に店を決めて席についていたのだが、事前に場所も連絡していたのに地図が読めないときた。なんだかますます気まずくなった。相手が目の前にいないのに気まずいとは奇妙かもしれないが、それでも気まずかったのだ。

待ち合わせの時刻から40分ほど遅れてきた彼女の謝罪は受け取る側からしたら軽いもので、その次に出てきた言葉は「お腹がぺこぺこ」だった。沢山謝罪をして欲しかった訳ではない。けれど街の若い女性はこんなものなのだろうか、と同じ年齢であるにも関わらず彼女に対して私は姑になっていた。これだから私は嫁の貰い手が無いのかもしれない。

彼女は開口一番、最近の仕事のことや私生活のこと、付き合っている人のことについてぺらぺらと話しだした。私が何も投げかけていないのに話してくれるのだけれど、別段そんなことを聞きたいとも思っていなかったので勝手なことを話されている印象しか受けなかった。

まあ、ぺらぺらと話す、流れるように自分のことを話す。

私も会いたい人の前で、こんなにも勝手にぺらぺらと話すのだろうかと思うと多くの友人たちに対して大変申し訳なく思った。聞きたくもないことを話せれているのは非常に苦痛だった。

聞きたくもない話題に対する私の感情や意見はほとんど疑問的なものだった。勿論彼女の頑固と戦う気力は全くない。微妙に視線をそらして黙っていた私の水は空になった。

ここまできたら大体想像はついていたが敢えて聞いた。

どうして私に会いたかったのと尋ねると彼女は、帰省したししばらく会ってなかったからとだけ答えた。寂しがりやの彼女の休みの予定を確認し、私は彼女の寂しさの埋め合わせに付き合わされたと確信した。その時、彼女は大切な友人ではあるがしばらく付き合いを遠慮したいと、はっきりきっぱり誓ったのである。
大切な時間をその人だけに使われるのはまっぴら御免だ。

私は時間を互いに共有できる人と楽しい時間を過ごしていたい。

一方的な感情を流したり、誰かと共有したいと思うことも、
結局未熟な女っぽいなと思うと、私は大変残念な気持ちになった。

おんなって面倒だ。

サポートされるってどんな感じですか? でもマイペースに進んでいきたいと思います