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Hi-Fiを語る資格などない私ですが、、、
50歳後半でにわかオーディオマニアになった、初老の耳鳴りオヤジが、Hi-Fiなど語る資格などないのだろうけれど、毎日音楽を聴いていると、頭の中で自分の中のHi-Fiとはなんぞやと問答してしまうので、つい書きたくなってしまう。
なので、この記事は勝手なオヤジの思い込みと思ってご容赦願いたい。
自宅で自前のオーディオを聴いていて、いつもとってもいい気持ちになって、レコードをかける事をやめられない。
そんな音を聴いていると、さて、私はHi-Fiという音楽を聴いているのだろうか?という疑問を持つようになった。
そもそも、Hi-Fiとはなんぞや?
直訳だと「高い-忠実性」ということになるのだが、では、何をどうすると高い忠実性のある音になるのだろう。
よくコンサート会場の臨場感を余すことなく表現できるような環境の音をHi-Fiと表現する事がある。
まるで、自宅のリスニングルームがサントリーホールのようになればいいのだろうか?S席とかA席とか、右側列だったり左だったり、ステージにかぶりつきだったり、一番後ろの方だったり、その場所ごとで音の伝わり方はだいぶ違うだろう。そして、周りの観客の咳やくしゃみ、息づかい、話し声、間の悪い拍手など色々な音が混じり合って聴き手の耳に演者からの音が耳元に伝わってくる。
そんな臨場感を自宅のリスニングルームで再現できる事が一般に言うHi-Fiというのだろうか?
そんな事を考えながら、自宅のロフトでいつものように、何気なく10円で買ってきたイツァークパールマンのLPを聴いているのだが、これがまた心に染み入るように綺麗な弦の響きを奏でてくれている。
決してコンサートホールで聴くような大きな音ではない。なので、周りの隣人にうるさいと言われる心配もない。
一人で安楽椅子に座って聴いていると、コンサートホールのように周りの観客の事を気にする必要もない。咳やくしゃみを通して耳に入ってくる音でもなく、目を瞑れば目の前にイツァークパールマンがいて、自分のためだけに弾いてくれているようにも思えてくる。
かといって、レコードのプツプツという音も全く気にならないし、スピーカーから出るサーと言う雑音も聞こえない。
全くこれ以上の何を望めばいいのだろう?
アンプのコンデンサーをオイルコンにして音色を変える必要もなければ、レコード針を何十万円もするMC針に取り替える必要もない。スピーカーをもっと口径の大きなものや、マルチウェイにすると違う音になるのだろうけど、されど、今目の前の音がそれに見劣りするようにも思えない。
え、もしかしてこれでいいんじゃない?
今の私にとって、こんなに満足して気持ちよく聴く事ができているのだから、これを、私にとってのHi-Fiと言ってもいいんじゃない!
と思うのである。
コンサート会場でのあの臨場感を否定するつもりはなく、それはそれで大好きであるし、まして、目の前で視覚的に本物が奏でてくれると言うリアルな感動がある。
でも、オーディオは所詮オーディオで、バーチャルの世界をどれだけ楽しむかと言う別物のように思うのである。
であるから、皆、それぞれが自身で作り上げたオーディオシステムで、不満なく、気持ちよく聴ければ、それがその人のHi-Fiなのではないだろうか?
そして、そのHi-Fiの音は唯一ひとつしかないのではなく、それぞれのオーディオシステムごとに、色々な特徴を持った音を気に入って聴く事ができれば、それが、その人にとってのHi-Fiでいいのではないだろうか?
なんて、考えながら今日の午後も気持ちよく過ぎてゆくのである。