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今時10円で買えるもの

アメブロのHiroちゃんさんのクラシック音楽のブログを見ていて、イムジチのレコードを60円で買ったという記事があったのを思い出した。
今まで、500円前後で買う事が多かったクラシックのLPを60円なんて、いいなぁと思っていた。

ところが、昨日、私は例のレコード屋さん(下の記事に書いたところ)に行ってきて、物色をしていると、値札がないものは、全て10円と書いてある。

10円であるならば、10枚でも100円!選んだうちの9枚が駄作だったとしても、一枚気に入ったものが見つかれば、もっけものではないだろうか?

そして、持ち帰ってのっけからかけた、1963年録音、バーンスタイン指揮、ベルリオーズ、幻想交響曲のLPは、私的には既に満足!

聴きごたえ十分で、休日の午後のひと時を楽しませてくれる。これが、10円だと考えるもんだから、尚更、満足感が膨らんで、一瞬億万長者になったかのような心の余裕が生まれるのは、私だけだろうか?

子供の頃、毎日、10円のお小遣いをもらって駄菓子屋に好きなものを買いに行った事を思い出す。あの頃、10円で今日は何を買おうかと、毎日ワクワクしながら駄菓子屋へ通った事を忘れることはない。紐のついた飴玉だったり、小箱が詰まった箱の一コマを開けると当たりの商品が出てきたり、景品が入ったガムを買ったり、そんな物を自分の意思で自由に買える事が楽しかった。こんなことからお金を大事に使う事を学んだのだろう。

昨日のLPレコードも、10円で、50年以上前にお小遣いで使った金額と同じある。
こんな時代に、10円で価値あるものが買えるものがあるなんて信じがたい。

もちろん、価値があるかどうかなんて、人それぞれだ。お店の人にとってみれば、売れないLP一枚の在庫を置いておくよりも、そのスペースに流行っている回転率の早い高価な品を陳列した方が儲かるわけだから、できるだけ早く誰かに持っていってほしいと思うだろう。

私にとって、聴きていて飽きないクラシックは、過ごす時間を楽しいものにしてくれる。そして、ジャケットを見返せば、その当時(1963年)の、指揮者をはじめ楽団員数十名のその頃のその場所での人生を想像する事ができる。
想像を膨らませれば、私が、まだ二歳の頃、海を渡った向こう側、アメリカ、ニューヨークでは、ベルリオーズのこの曲を弾くために、楽団員のそれぞれが、自分のパートをこなすために、バーンスタインに指示を受けながら、一生懸命に練習をしていたのだと思うだけでも、時を超えて、バーチャルな人生劇を想像する事ができる。
ある若手楽団員は、結婚したてで、子供ができたばかりで、家族を養うために必死に与えられたパートを弾いていたのかもしれない。ある楽団員は、自分の技量がギリギリの所で採用されて、後輩からパートを奪われないかなんて思いながらバーンスタインの顔色を伺っていたかもしれない。

そんな想像力を働かせながら、10円のレコードで、台風前の午後をゆっくり過ごす事ができたならば、MAXバリューな時間だと思う。

今時、気晴らしにコンビニへいって100円以下のものを探すことは至難のことである。10円でこんなに楽しい午後を過ごす事ができるなんて、引退後のジジイにはありがたい限りである。