フランツリスト管弦楽団
最近はレコード、CDなどの媒体を使わず、ネット配信で好きなだけの音楽が聴ける時代。
でも、同年代もしくは、上の方と話す機会があると、結構な割合で家の片隅に昔聞いたレコードが沢山あるがプレーヤーを持っていないと言う。是非また、手元にある資産を活かして、若い頃の感動を取り戻してみてはどうだろうか?と思う。きっと人生を豊かにしてくれる新たな発見がそこにあるかもしれない。
ところで、私はここ数年でお茶の水に通い、クラシックやジャズを中心にレコードを買い漁って来た。私も何十年と音楽から遠ざかっていたので定年間近に目覚めたこの音楽鑑賞という趣味を、この世界の先輩方に少しでも追いつこうと、作曲家、演奏家、曲目、そして、録音が優れた盤などと言う事はお構いなしに、安く手に入る物をその日のお小遣いに合わせてできるだけ多く買ってきた。一枚50円、100円から概ね1,000円未満の物を選んだ。昔聴いた懐かしい曲が出てくると、多少値がはっても本当に欲しいか自分の中で問答して、心の許可が出ると1,000円以上でも買うこともある。そして、手当たり次第に毎日繰り返し聴きまくっている。
ところで、概ね購入したレコードの質は、思ったよりも悪くない。と言うか、安い物だからといって針が飛んだりするほどの傷物はほとんどない。店員の方の事前チェックが行き届いているのだろう。感謝である。
一度だけハズレだったのは、購入時には気がつかず、聴いてみるとレコードの一箇所だけ変形(うねりが強すぎ)していて、そこにくると針が宙を舞って着地するので飛んでしまう物があった。部分的に熱で変形したようだ。残念!
曲目は、チャイコフスキーの弦楽セレナーデで、その日、同じ曲でカラヤンの演奏とその宙を舞う盤(フランツリスト室内管弦楽団盤)と二枚購入し聴き比べてみようと思い買ってきたのだ。
冒頭針が宙を舞った後、その後数小節聴いただけで、その演奏の虜になった。私の耳にとても心地よく、そして惹きつけられるように聴こえた。どうしてこの滅多にないハズレのレコードがこんなにも気に入ってしまったのだろう。どうしても、この宙を舞う盤のまともな物が欲しくなりネットで調べた。何処を調べても国内では見つかりそうになく海外のネット販売(Discogs)で漸くハンガリーにあることがわかった。Discogsというグローバルなネット販売はPayPalで購入できるという。海外との取引に慣れていない私は、ちょっと躊躇したがどうしてもこの演奏が欲しくて仕方がない。
悩んだ挙句、チャレンジしてDiscogsに発注した所、問題なく手元に届き、針飛びもなくとても気持ちよく聴くことができたことに感謝した。ハズレで買ったLPがこんな形で、自分のお気に入りの一枚になったとは、これも縁なのだろう。
私がチャイコフスキーの弦楽セレナーデを聴く時は、他の演奏は横に置いてこのフランツリスト管弦楽団の演奏を真っ先に選んでいる。