心の女優ライトを消したとき、真実の中年が佇む。
人間だれしも鏡を見るときにはなんらかのバイアスがかかっている。いくら「客観的に」眺めているつもりでも、自我や自意識のフィルターによってどこか「見たい自分」を鏡の向こうに投影してしまうものだ。
思い描く自己イメージと、客観的に見えている自分の様子とがなにやら大きく乖離しているということが、この年になってだんだんとわかってきた。知らない間に心の女優ライトの光量をマシマシにしていたのだろう。突然にそれが消された時、暗闇の向こうに真実のおっさんが立ち現れる。二重アゴにお下げ髪。花嫁