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最初で最後のダイエット体験記?

 私は人生に一度だけ、ダイエットしようと思ったことがある。先に結果を言ってしまうと、ダイエットは失敗に終わった。

 正直、自信があった。中高と運動部だったし、そこそこ筋肉もつけていたから、ちょっと運動すれば元に戻ると思っていた。だがそれは過去の幻想だった。ほとんど減らなかった。つまり、甘く見ていたのである。

 そして私はダイエットを諦めた。

 しかし今では8キロ太った体は元に戻っていた。

 ダイエットを諦めたはずなのに、私は痩せてしまったのだ。

 結果には理由がある。これまでやってきた私の行動履歴を辿れば、おのずと答えを導くことができる。

 私が太ったのは社会人になって数年のことだ。学生時代は運動部で汗を流していたこともあり、どれだけ食おうが太るということはなかった。

 大学生の頃は部活にもサークルにも入っていなかった。だがよく歩くことが多かったせいか、それとも運動部の頃につけた筋肉が代謝率を上げていたのか、いずれにせよ、その時はまだ兆候すらなかった。

 そして新社会人の頃、私の生活習慣は変わった。仕事を覚えることに必死で、どうにか慣れようと気負っていた。出勤退勤時間がバラバラだったこともあり、私の生活リズムは狂いに狂った。

 ストレスもあったのだろう。当時の私はよく食べた。運動部だった名残もあったのかもしれない。学生の時と社会人の時では、消費するカロリーは違ったはずだ。にもかかわらず、私は学生の頃と変わらない食事をしてしまった。結果、私は人生史上最高記録の体重を更新した。

 何気なく体重計に乗っただけだった。数字を見た時は、しばらく凝視していた。

 まさか太る時が来るとは思ってもみなかった。だが思い返してみると、心当たりはあった。学生の頃なら息も切れず上れていた長い階段。社会人になってからは億劫で、長い階段を避けていた。

 というのも、なんとなく体が重いと思っていたからだ。当時は疲れによるものだろうと思っていたし、毎日体重計に乗る習慣もなかった。だが実際溜まっていたのは、疲れではなく脂肪だった。

 この重い体のままいるとグータラな私なら肥満まっしぐらもあり得る。

 いやいや待て待て。そうは言うが、まだ2年、3年前まで高校の時と変わらぬ体重だったんだ。軽くダイエットすれば戻るはず! と高をくくっていた。自分は運動部だった自負があったのだ。だからすぐに元に戻せる。早速、私は行動に移した。

 休みに3キロくらい走ることにしたが、1ヶ月も続かなかった。体重も大して変わらなかった。当然だ。食事量は変化してなかったのだから。そこで食事量も減らしたが、結果が伴わない。

 そして私は諦めた。

 月日は流れ、私は変化していった。運動部で体をしごいてきた日々から社会人になったように、私は変化し続けていた。

 久しぶりに体重計に乗ってみると、大学生の時の体重に戻っていた。

 体重が減った理由は至って単純だ。歳を重ねた私の食欲は減退していた。更に、よく体を動かす習慣に戻っていた。これを数年続けた結果、私の体重は戻った。

 私はダイエットを諦めた。しかしダイエットをしていない時期に体重が減った。なんとも皮肉なものだ。

 ダイエットは頑張らない方がいい。そうなのかもしれない。ダイエットしているつもりはなかったが、私は知らず知らずのうちにダイエットをしていたようだ。

 私の体重が減った理由は2つ。食欲減退と運動だ。食欲減退は確かにあったが、ものすごい減退していたわけじゃない。意識もしていた。

 食事の際、以前の私は毎回満腹まで食べていた。だが満腹まで食べることでお腹が苦しくなるのが嫌になり、腹6分から8分までにするようになった。

 もし小腹がすいたら、軽く間食を取ったりもしていた。

 間食とはいえ、サンドイッチだけとかではない。夜食にラーメンなんてざらにあった。

 何か腹の足しになればそれでいいという感じだったと思う。お腹さえ減っていなければ。しかしお腹が空くたびに毎回間食をしていれば太るのは間違いなかっただろう。

 腹が減って集中力が削がれている時だけ、間食を取るようにしていた。腹が減っただけなら、飲料水でどうにかなった。私の場合、1回の食事量が少ないのも起因していると思うが。

 次に運動だ。私がしていた運動は、ウォーキングと自転車だけだ。ただし痩せるためにウォーキングと自転車をしていたわけじゃない。日々の所用に向かう足を、歩きと自転車に変えただけだ。

 これにより、私は痩せたらしい。

 まあ何はともあれ、私は痩せることに成功した。

 ダイエットをすると気負うよりも、ライフスタイルに合わせて痩せる習慣を取り入れる工夫をする方が、ダイエット成功への近道なのかもしれない。

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國灯闇一
未熟な身ではありますが、一歩ずつ前へ進んでいきたいと思います。