2022.5.23 モディリアーニはもう怖くない!
大阪に新しく開館した、大阪中之島美術館。
そこで開催中のモディリアーニの展覧会に行ってきました。
設計は遠藤克彦氏。
私は建築はまったく分からないのですが、テーマは「パッサージュ」だそうです。「アーケード」みたいなことなんでしょうか。確かにいろんなところから行き来できる、外も中も開放的~な空間でした。美術館の隣には芝生があってテントカフェがあって、外国の公園みたい(語彙力)ですー。
▼モディいい奴(たぶん)
私は、美術館の音声ガイドはあんまり聞かないのですが、ガイドがなくても気合の入った解説板がそこここにあって、それで十分。大変良かったです。
モディ(アメデオ・モディリアーニ、パリの友人たちからはモディと呼ばれていた)は、イタリア生まれのユダヤ人。
エコール・ド・パリ(時代としては「印象派」の後)に分類される画家です。
生きているうちに有名になって絵も売れてパトロンもついてたそうなので、客観的には「成功した人」だったんだと思います。
売れるまでは極貧、その後も私生活が大変だったみたいで(女性関係とか、あと酒飲みだったぽい)、若くして(今の私より若い)病気で亡くなってしまいます。
亡くなった時、彼の恋人は身重だったのですが、彼の死に絶望して後追いしてしまったそうです。ドラマチックな人生を生きた人でした。
とにかく、この時代(1900年代初頭)は、パリで芸術が花開きまくった時代で、いろんな画家がわんさかパリに集結してたそうです。
モディにはたくさん友達がいたそうで、キスリング、ピカソ、レオナール・フジタ(藤田嗣治)らとも親交があったそうです(他にも友達とか先輩とか師匠がいっぱいいた)。
ユトリロのお母さんには「体大丈夫?」と心配されてたそうです(笑) ユトリロのお母さん…(ちなみにお母さんも画家)。
友達がいっぱいいたってことは、きっといい奴・一緒にいると楽しい奴だったんだろうなあ。モディもさびしがり、というか、普通に人付き合いが好きな人だったのかもしれません。
(絵からはあんまりそう思ったことなかったけど。絵からはいつもちょっと寂しい印象を受けます)
というわけで、展覧会には、モディの作品だけでなく、同時代の画家の作品もたくさん来てました!!!!
知ってるだけでも、ピカソ、キスリング、マリー・ローランサン、フジタ、シャガール、あといろいろ!
モディは、印象派の巨匠ルノワールとはセンスが合わなくてケンカしたそうです。(※ルノワールは反ユダヤ主義の思想を持っていたようなので、そのこともあったのかも)。まあ、それがなくても、絵の雰囲気が全然違うもんなあ・・・。
モディはちょっと太宰治みたいな人だったのかも。
また、この時代、ヨーロッパの画家はみんな「東洋、アフリカ」に惹かれていたそうで、モディのカリアティード(柱が女性の体になっている)もその影響なんだそうです。ちょっと東南アジアぽいの、そういうことだったのか!
モディは風景画とか静物画ではなく、徹底して「人間」を描いた人だったようで、肖像画家としても人気があったそうです(パトロンやお金持ちの肖像画を描くことで生活の足しにもしていたのでしょう)。
でも自画像はあまり描かなかったそうで、ていうか苦手だったみたいです。似てなかったし・・・。(※注:肖像画は似ていることが大事、というわけでもないです)
例の「目が塗りつぶされてて、どこ見てるかわからなくて怖い(瞳がない)」のも、考えた上でそうしていたとのこと。
瞳がないことで、見る人は描かれている対象のことをいろいろ想像できる。想像させられる。吸い込まれるように見てしまう。
そっかー、それがわかったら、怖くないぞ(笑)
意外と瞳が描いてある絵もたくさんあった。
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▼久しぶり~
実はこの展覧会には、モディの絵もそれ以外も、たくさん見たことのある絵が来ていたのだった。
愛知県美術館
名古屋市美術館
から来ていた絵たちです。
特に名古屋市美術館は、エコール・ド・パリ作品の収集に力を入れている! 常設展でいつも見てた絵たちだったので、「あー、あなたも来てたのー」と思って懐かしかった~。
▼1つだけ「うーん」
この美術館について気になったことが。
この章は、読みたい方だけで。。。
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私が行った時、たまたまそうだっただけかもしれませんが、、、
美術館の超カッコいい外見(中もなかなかカッコイイ空間設計)とは裏腹に、内部の動線が微妙。
「どこでチケット買う?」「機械で買う?」「買った後どこに行けば展覧会をやってるんだ?」「エスカレーターで上に上がる???」
美術館も効率化のために(シネコンみたいな)券売機で買うようになったのか。。。
その券売機の前には列を整理するためのベルトパーテーション(仕切り)。いや、今日そんな混んでないですよね? 要る? なんかごちゃっとしてて、美しくない。
さらに、普段、美術館で買うチケットといえば、展覧会の絵が描いてあって、記念にもなるようなシッカリしたものなのに、券売機で買ったら(これもシネコンのチケットみたいな)味気ない「QRコード」のものに…。えええ…。
ようやく、エスカレーターで展覧会場に上がったと思ったら、1台の「改札機」みたいなものがぽつんとあって、そこにQRコードをかざして、通る。そして、これは1台しかないんかい。ゆっくり杖をつきながら通るおばあちゃん。その改札機には係員がいるけど、チケットの「もぎり」は置かない?
平日の日中に来るのはシニアです。当然ながらシニアたちは迷っており、それを案内するために(たぶん大学生くらいの)若いバイトが多数。えー???!!? そのためにバイト雇うなら、普通にチケットカウンター設置して、もぎりもすればいいじゃん。そしたらシニアも私も迷わない。
展覧会に来た時は「美しいものを見て、ゆったりした体験をしたい」からなのに、見る前から結構「え? え?」というツマヅキが・・・。
展覧会場がチケットを購入したのと違う場所にあるのは、ままあることなので、それはいいけど、そもそも1階に展示スペースないのかな…。作品点数(スペース)の関係で上の階になってしまったのかもしれないけど。
美術館に来る人が何を求めているか考えたことあるのかな、と思った。
上野の東京都美術館なんて、ものすごくたくさんの人が来る展覧会もやるし、中もちょっと複雑だけど、いい動線してる。イラッとしたことも迷ったこともない。
まだ開館したばかりなので試行錯誤中なのかもしれませんが、パーテーションをごちゃごちゃ置いて遠い券売機に誘導した上で、工事の誘導係みたいな人を多数配置するくらいなら、普通にアナログオペレーションでいいんじゃないの? と思いました。。。
展覧会も展示スペースも良かっただけに、ちょっと残念でありました…。
▼とにかく良い展覧会です!
「券売機でチケットを買って、エスカレーターで上がり、QRコードをピッとする」と覚えて行っていただければ、大変楽しい体験ができると思います!
撮影OKの絵もあるので、携帯を音が鳴らないようにして(←大事)持ちこむことをおススメします♪