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 一太郎Kindle化、トラブルからの脱出

 今回は、Kindle Direct Publishing(以下、KDP)の登録手続き後、EPUB原稿ファイルをアップした際に、(恐らく)一太郎が原因で遭遇したトラブルについて記します。例外的な出来事かもしれませんが、同様の状況に陥った人の助けになればと思います。

1.トラブルの発見

 昨年12月3日、長編小説『宮殿のアルファベット』をKDPで発刊することができました。が、Amazonの「試し読み」で確認すると、前回記した一太郎が自動生成する横書き目次と苦心して作成した縦書き目次が、一冊の中で両方とも表示されていました。

 出版前にファイルを何度か修正するうち、誤って目次生成をキャンセルする手順を飛ばしてKDPにアップしてしまったようでした。これを機に全体を見直すと、他にも問題があることが判ったので、一旦販売を停止して修正することにしました。

2.勝手に改行、改ページ

 他の問題とは、改行や改ページの操作をしていない箇所で、勝手に改行や改ページが行われていたことです。この版面の乱れは数カ所だったものの、これを一太郎に戻って修正しても、EPUBファイルに保存し直すと、乱れは直っていないのです。

 改行マークや改ページマークがついていないところで、なぜ改行や改ページが実行されてしまうのか? 見当がつかず、途方に暮れました。しばらく無駄な時間を過ごした後、考えつきました――原稿中で勝手な改行や改ページが行われる行には、何か見えないコマンドが隠れているのでは、と。

「隠れコマンド」が消えることを期待して、原稿の版面が乱れた部分を選択してカットし(Ctrl+X)、コピーを「テキスト形式」で貼り付けることにしました(プルダウンメニューの編集→形式を選択して貼り付け→テキスト形式)。 

 すると、やった! これで、問題は解決したのです。安堵しました。根本の原因は分からず、上記の推理が正しかったのかは不明ですが、対症療法がうまく行った感じです。テキスト形式にしたため、ルビが変になった箇所を直すことなど、モグラ叩きのような作業を行って、さあ、再出版へ。

 KDPでは、修正したファイルで再販売することを「再出版を行う」というようです。誤解を生む分かりにくい用語だと思います。サポートに問い合わせ、「再出版」には、新しいヴァージョンで販売を再開する以上の意味はないことを確認しました。

3.EPUBがMOBIに勝手に変身

 で、「再出版」しようとしたのです。ところが、「電子書籍のコンテンツの編集」の画面で修正したファイルを投入すると、下記のメッセージが登場しました。

「リフロー可能なMOBI入力はサポートされていません。ファイルの処理中に問題が見つかりました。ファイルを確認してから、もう一度試してください」

「リフロー型電子書籍とは、表示するデバイスの画面サイズや文字サイズの変更などに合わせて、テキストやレイアウトが流動的に表示される方法で制作された電子書籍」(日本電子書籍出版協会のサイトから引用)。前回、前々回、説明を省略しました。KDPは固定レイアウトでは今もMOBI入力をサポートしているようですが、リフローはEPUBのみです(前回参照)。

 何度トライしても同じエラーメッセージが出て来て、先に進めません。再び途方に暮れ、何度目か、KDPのサポートにメールを出しました。正しくEPUBファイルをアップしていることを示すために、再投入したファイルを添付でつけて。

 サポートは丁寧だし、結構迅速に返事が来て、悪い感じはしなかったのです。が、結局返って来たのは、「アップされているのは間違いなくMOBIファイル。なぜEPUBがMOBIになるか、こちらでは不明。KDPがサポートしているのはKindle Create」という英語アプリだけ(一太郎EPUBはサポートしない)とのこと。

 が、Kindle Createは「現在、日本語ではサポートされていないため、日本語の本は作成できません」! 後はジャストシステムにきいてくれ、というわけです。ジャストシステムからは、KDPの問題だから、こちらでは分からない、と返事が来そうな気がして聞きませんでした。

 原因究明を諦めて私が行ったのは、1)それまで修正をするたび上書きをしていたEPUBファイルを破棄し、新しいまっさらなEPUBファイルを一から作る、2)うまく行くようにお祈りしながらアップする、の二つでした。

 うまく行きました。無事「再出版」できたわけです。1)と2)、どちらが効果的だったの分かりませんが、前回、「再保存の際には、新規のファイルとすることを私は勧めます。理由は省きますが、トラブル回避のおまじないと思ってください。」と書いたのは、この経験があったからです。

 なお、上記は個人的な経験に過ぎず、誰にも通用するのかは不明であることを、お断りしておきます。

 ここは日本語の国なのに、Amazonは、英語版しかサポートしないなど、肝心なところでアメリカ企業なんで、と逃げを打ちます。このトラブル以前にも、KDPへの登録手続きの途中で、いきなり全部英語のアメリカの納税手続きの書類が出て来て心臓が止まりそうになったり、訴訟はアメリカの裁判所で、といういやらしい文言を目にして気分が悪くなったり。
 これだけ日本で手広く商売をしておきながら……Amazonの傲慢さには腹が立ちます。まあ、知ってましたけど。

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