勝小吉の吉原記述、言文一致と遊郭関連の文献
勝海舟の父勝小吉は、自らの破天荒な人生を記した『夢酔独言』の書き手としても知られています。この自叙伝は江戸弁の文章で綴られていて、いわば「言文一致」でした。小吉は幼少時から学問を嫌って「文盲同然」だったため、後に読み書きを覚えたものの候文や漢文の文章を書けなかったのです。粗野で読みにくいものの、独特の魅力があります。
『夢酔独言』が言文一致の観点から注目されないのは、その文体が明治後期に形成される口語体に資するところがなかったからです。ところで、私がここで注目したいのは彼