ヨーロッパで『デザイン思考』を学んできた②
前回の記事では、『デザイン思考』について、また、なぜデザイナーでない私が学ぼうと思ったのかを書きました。
↓前回の記事
今回は私が参加したワークショップで具体的にどんなことをしたのか、体験した感想などについて書いていきます。
ワークショップについて
主催はデンマーク・コペンハーゲンの教育機関「CIID(Copenhagen Institute of Interaction Design)」
このワークショップの主催は、デンマーク・コペンハーゲンの教育機関「CIID(Copenhagen Institute of Interaction Design)」。
・CIIDのWebsite
過去には「Business Insider」というウェブサイトで、デザイン業界のプロフェッショナルにデザインスクールの意識調査をもとにした、「世界のデザインスクールランキング25」にランクイン。
2020年2月には電通にて、北欧型インタラクションデザインを習得する「CIID Winter School」を日本初開催しています。
コロナ禍を経て、現在はイタリアとコスタ・リカを中心に世界中で様々なコースを開催中。
開催地は避暑地として人気なイタリア・コモ
北欧が好きなので、コペンハーゲンに行きたかったのですが、、、。今回4月3日〜6日の4日間に渡って行われたワークショップの開催地は、イタリアのコモ。
Y字形をした面積146km2のコモ湖の南端にある都市で、古代ローマ時代から保養地として愛され、絹の産地としても有名。現在はヨーロッパやアメリカからの富裕層が集まるリゾート地としても、知られています。ミラノからは車で北へ1時間ほど。
(ジョージ・クルーニーさんの別荘があることでも有名。Google Mapsで「George Clooney」って検索するとコモの別荘が出てきます(笑))
ワークショップの内容について
スケジュールは以下の通り。ランチやコーヒーブレイクを挟みつつ、9時〜17時のみっちりフルタイム。
参加者は14名。ローマ、ベルギー、コペンハーゲン、ニューヨークなど、世界のあちこちから集まりました。デザイナーの人よりも、エンジニアやコンサルタントが多い印象。サステナビリティ企画の部署や人事系の人も居ました。
初日に参加者は6つのグループに分けられ、グループごとに課題に取り組みます。
今回のお題はこちら「Sustainable Travel Experiences」。
「コモでサステナブルな旅を企画しよう!」というもの。
現地の人や旅行者(今回はワークショップ参加者)へのインタビューを通して課題を定義し、ブレストやプロトタイプ作成をしながら解決策を見出します。
<<<時系列でワークショップの内容を記載します↓>>>
<DAY1>リサーチ
初日は午前中に参加者の自己紹介と『デザイン思考』についての講義。
お昼休憩したら、午後は早速インタビュー!
インタビュー対象者は、あらかじめCIIDの方で各グループに2名ずつ呼んでくれてます。インタビュー対象者の経歴が全然違うから、話してくれる内容や意見も違って面白い。
1時間ずつインタビューした後、「なにを学んだか?」などについて、シートに記入。(右のカラム埋めるの大変だった。「So What?」。学んだことを深掘りして「それはどういうことなのだろう?」を考えていく。「だからなに?」ってこっちが聞きたい、、、(泣))
<DAY2>問題の定義、解決策のブレインストーミング
2日目はブレストなどについての講義からスタート。
そして、昨日のインタビューを元に課題の定義や「How might we〜?」(「どうすれば私たちは〇〇できるか?」)のブレストテクニックを使ってアイデアを出していきます。
そのアイデアが実現できる・できないに関わらず、自由にアウトプットしていきます。お絵描きしながら楽しい時間だった!
<DAY3>解決策の選定、プロトタイプ作成
ワークショップもいよいよ後半戦。4日目はプロトタイプ(試作品)のブラッシュアップとプレゼンなので、今日中に形にしておかなきゃいけない。焦る。
昨日行った「How might we〜?」で大量のアイデアを出しました。これらをグルーピングして、どの方向性で解決策としてのサービス(今回は「Sustainable Travel Experiences」)を作っていくか決めます。
そこからさらに、ストーリーテリング(storytelling)という手法を用いて、ユーザーがどのような体験をするのか、それを元にプロトタイプを作成します。
私のグループは以下の問題点に着目し、解決策としてデータを用いることにしました。(※今回のワークショップはプロトタイプ作成までなので、あくまでもアイデアレベルで実用化までは行いません。)
====問題点====
①年々、観光客が増加し、5年後は今の500%増しと言われているが、行政がそれに対応できていない。(サービス、インフラ、交通などを整える必要がある)
②コモ湖周辺にはたくさんの観光スポットがあるが、観光客が決まった場所に集中してしまう。
③狭い道路に人が密集するので、渋滞が発生。自転車用の車道もなく、歩行者や自転車乗ってる人も危ない。ローカルの人は渋滞で仕事に遅刻することも。
====ゴール====
コモで暮らす人も旅行者も、すべての人が安全に過ごしやすくなるシステム作り。
====解決策====
リアルタイムにコモ湖周辺の情報(道や観光スポットの混み具合など)が入手できるようになり、人の分散化、車のスピード制限によって安全対策をする。
====方法====
①コモ湖周辺にスマートカメラを設置し、以下のデータを集める。
・人口密度
・道にどれくらいの車、自転車、歩行者が居るのか
・車のスピード
②アプリやホテル、道路標示などで、ローカルや旅行者がデータを入手。
(車に乗ってる人には「1km以内に〇台の自転車が居るから、スピード落としてね」の標示を見せる。)
③混み具合や安全面に気を遣うようになり、ローカルも旅行者も過ごしやすくなる!
<DAY4>最終日!ブラッシュアップとプレゼン
あっという間に最終日。昨日作成したプロトタイプをブラッシュアップして、午後はプレゼンです。
前日に宿題として「作成したプロトタイプのフィードバックをもらう」がありました。私は朝にワークショップ会場のケータリング係の人にプレゼン。フィードバックをもらい宿題ギリギリ間に合った、、、。
デザイン思考におけるプロトタイプ作成は、ユーザーからのフィードバックをもらい何度も何度も作り直すもの。初期段階でもプロトタイプを作成し、そこからアイデアを得てブラッシュアップします。
私はこのフェーズが結構楽しくて。デザイン思考の特徴である「消費者のニーズを重要視する」が正に体現されているなあと。共に創る手触り感を感じます。
お題は同じなのに、6チームそれぞれが着目した問題点・解決策が全然違ってて面白かった!そして、無事にワークショップが終わって良かった、、、!
ワークショップを通して感じたこと&学び
コロナによる延期で、ワークショップ申し込みから約3年半の月日が流れました。
「デザインやビジネスにおけるキャリアを築いてこなかった私が、参加して大丈夫だろうか?参加する意味はあるだろうか?」と自問自答しながら決めた、イタリア渡航。
でも、結果として、今のタイミングが良かったと感じています。
コロナ禍で海外に行けなくなった分、日本で自然農やパーマカルチャー、サステナビリティについて学びはじめ、環境保全プロジェクトのオーガナイズもしました。
その活動を通して、「もっと違う方法で、クリエイティビティを発揮しながらプロジェクトを作っていきたい」と思うようになったからです。
また、今回のチームメンバー2人がグローバル企業で働くエンジニアで、レベルが高く良い刺激に。アウトプットの弱さなど、自分の力不足も浮き彫りになり、課題が見えたことはとても良い体験でした。(英語力向上したい、、、)
ワークショップを受け認定書をもらいましたが、まだまだ実用レベルには程遠いです。自身の練習という意味も含めて、今後ワークショップを開催していきたいと思っています。
そして、今後はいろんな分野の人とコラボしながらワークショップをしたり、プロジェクトを立ち上げていきたいです。
ヨーロッパのサステナビリティやデザイン・クリエイティビティに対する姿勢を体感し、さらに好奇心がわいたので、それについてももっと深めていきたいです。
=======================================
余談ですが、3月にフィリピンでフリーダイビング(素潜り) のトレーニングをしていたので、フィリピンで日焼けしてそのままイタリア移動という謎のスケジュール。イタリアで誰よりも黒かった、、、。