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【実録】いちごタルトを作ったせいで地獄になった話【世にも奇妙な家庭】

これは小学5年生のとき。私がいちごタルトを作ったせいで家庭が地獄になった話である。

家庭崩壊に至った経緯

いきなりだが、私の家は家庭崩壊している。
家庭崩壊に至った簡単な経緯を説明すると
①両親、結婚を機に神戸に転勤する
②私誕生(0歳)
③父「親孝行がしたい」という希望で神奈川県の実家で両親との同居がスタート(3歳)
④嫁姑バトルスタート
⑤父、逃げるように母に無断で単身赴任をスタート
⑥母、子ども2人の子育て+と祖父母の介護に追われる
⑦母、ストレスから子どもたちに暴言+暴力を振るうようになる(4歳)
⑧同居開始から4年後、一番の問題だった祖母が死去(7歳)
⑨父、母に無断で勝手に会社を辞め神奈川の実家に帰ってくる(8歳)
⑩単身赴任中の諸々と仕事を辞めたことを巡り両親が毎日喧嘩。結果、「両親が仲がいいのが一番」ということで子どもを無視し毎晩性行為に励むようになる
⑪もともと危うかった姉の精神が壊れ、妹(私)に暴言+暴力を振るうようになる
⑫両親、姉にも妹にも何も対処せずスルー
⑬完璧に家庭が崩壊する(9歳)
・・・という流れがあるのだが、とりあえず理解していただきたいのは
我が家にはすでに対処しきれないほどの負債があり、また、家族のうち誰一人として問題を解決しようとする人間がいないということだ。

という前提を踏まえたうえで。

ケーキを作る以外自由のない小学生時代

まあ小5(11歳)の時点で、回復の見込みがないほど家庭が崩壊しきっており、その当時私は姉のストレスのサンドバッグになっていた。
姉の怒りは当初両親と祖母に向いていたはずだが、両親の協力プレイによりすべての怒りが私に向いていた。
(協力プレイというのは、姉が両親に怒りを向けたら、わざとらしく私を褒めたり贔屓することで怒りの矛先を私に向けるのだ。なおそれまでの私は、いわゆる「搾取子」的ポジションだった。)

そんなことで姉は私の一挙手一投足に激高し、すべての行動を制限していた。その様相も常軌を逸していて、朝トイレに行くだけで激高し、それが嫌なので、姉を避けるため早起きするようにしたら、姉は6時から自室でスタンバイするようになり、私が部屋を出るタイミングとあえて鉢合わせて激高するほどだった。(自分でも書いていて意味が不明)

とにかく異常で、瞬きすら激高される日常で、趣味的な時間など何一つ無かった。

そんな中で、唯一自由になれる時間を見つけたのだ。

それはケーキを作ることだった。

元々は、私の誕生日に誕生日ケーキを買うと姉が激高するので自分で作ったのが始まりだが、姉は食に執着があったためこの間だけは私に怒鳴らなかったのだ。(私に怒鳴ることで、万が一自分がケーキを食べれなくなるのが嫌だったのだろう)
私が生命活動以外に行動してて、姉がキレないのは、本当に数年ぶりだった。
なのでこのことに気付いた時は、牢屋で抜け道を発見したかのような喜びが全身を走った。
それから私は、今まで触ってこなかった本棚からケーキのレシピ本を発掘し、毎週のようにケーキを作るようになった。

その時だけ、生きていることを許されるような気がした。
また、事実、許されていた。

怒号がない。それだけで幸せ。

母は素で子どもは自分を喜ばすことが使命だと思っているので、母が好きなケーキ作りに私がハマっていることに大いに喜んだ。(逆に母が気に食わないことをするとすぐキレる)

姉は(あんな暴力ママなのになぜか)母親大好きなのと、自分もケーキが食べたいので、ケーキを作り出して食べ終わるまではほとんど怒鳴らなかった。

父は日ごろから嫌味しか言わないので、制作中も食べてるときもずっと「この程度なら200円だな」的なことしか言わないが、逆に褒められたほうが姉が不機嫌になって怒鳴りだすので、嫌味を言ってもらって大変ありがたかった。(むしろ私が貶されるほど姉は上機嫌になるので助かってるまである笑)

私は数ヶ月ほど、毎週のようにケーキを作った。
とにかく、怒号が聞こえない時間がほしかった。
一時的でもいいから、団欒がほしかった。

・・・まあ展開的にこの後崩壊するんですけどねー!!!

いちごタルトへの憧れ

ちなみに、その当時私が参考にしていたレシピ本は
表紙がちょうどこの画像のようないちごタルトなのだが

こんな感じの中にカスタードがあるやつ

私はこれを作ることに強い憧れがあった。
小学生当時のイメージで、他のスポンジケーキとは違い、タルト生地を作ることは難易度が高いと思っており(実際のところどうなの?)
ほかのケーキでレベルを上げてから、このタルトに挑戦しようと思っていた。

そしてついに自分の中で満を持していちごタルトを作るタイミングが来たと思った。
私は母に「ついに表紙のタルト作るわ」と言い
母は「あんた、ずっとそれ作りたいって言ってたもんね、お母さんも楽しみー」と返し、まるで普通の親子みたいな会話をして嬉しかったことを覚えている。

まさか、この母がこの後の戦犯になるとも知らず・・・

カスタードクリームが難しい!

私はタルトで難関になるのは、生地だと思っていたのだが(冷蔵庫で寝かせたり、発酵?みたいなこともした気がする・・・してないかも)
意外にも時間が掛かったのはカスタードクリームだった。
今までクリームと言えば生クリームばかり泡立てていたので、クリームを作るにあたって、火を使ったり、固まらないように混ぜたり、色んな材料入れてなんちゃら・・・というのは小学生には大変だった。

なんやかんやで、数時間かけてカスタードクリームが完成した。

軽く味見したところ、自分でいうのもなんだがかなりおいしかった。
なおカスタードクリームは冷蔵庫に冷やす必要があるので、ボールに移したて何気なく母親にこう言った。

「お母さん、カスタードクリームおいしいからちょっと味見していいよ。」

そして事件は起きる・・・

母は「うん!たしかにめっちゃおいしいね!」と喜んでくれた。
私「ありがと!生地焼いてる間に冷やさないといけないから味見したら冷蔵庫に入れといて~。」
母「わかった!」

そして数十分後、生地が焼き上がり、いちごを洗いヘタを取り、最後の盛り付けに入ろうとして、冷蔵庫からカスタードクリームを取り出して驚愕した。

私「え?!!」

ボールの中にカスタードクリームがほとんどなかったのだ。

舐めつくされている・・・まではいかないが、タルトの中身を充填するには到底足りないほど食べられてしまっていたのだ。

私は驚愕して母に問いただした。

私「お母さん!なんでこんなに味見しちゃったの?」
母「えー?お母さんが味見しようとしたときにはそのくらいだったよ?」
私「ありえないでしょ!最初から少ないって言いたいの?私が食べたって言いたいの?少なくともこのライン(ボールの内側のクリームの付いた部分)まではあったってことだよ!」
母「うーん、でもわざとじゃないしそれぐらいおいしかったってことだからいいでしょ?」
私「よくないよ!これ(雑誌の表紙)みたいなのが作りたかったのに・・・」
母「生クリームじゃダメなの?お母さんカスタードクリームより生クリームのほうが好きだし、お母さんが買ってきてあげてもいいよ」
私「生クリームとカスタードクリームは別物じゃん!しかも買ってきて”あげる”って、当たり前でしょ・・・」
母「何その言い方!謝っているのに!大体そんな食べてほしくないなら初めから”味見していいよ”なんて言わなきゃよかったじゃない!」
私「そういう問題?普通食べるにしても3口程度ぐらいで加減するでしょ!何作るか知ってるんだから・・・」
母「言ってくれなきゃわからないよ!3口なら3口って初めから指定しなさいよ!」
私(・・・何言っても無駄だ)

結局、ボールのそこにかろうじてあるものと、内側にこびりついたクリームをかき集めなんとか焼きあがったタルトに流すも、想定していた量には到底足りず、半端な量のクリームにいちごが置かれただけの不思議なタルトが出来上がった。

ちなみに、母は完成した不格好なタルトを見て、思わず吹き出した。
(悪意とかではないんだよ、思わず出ちゃった感じ。検査はしてないが母親はASDなのだと思う。)

私がいけなかった?

そして非常に不本意のまま父と姉を呼び、その不格好なタルトを見せた。

タルトを見た瞬間、姉が叫んだ。

姉「なんだよこのタルトはよぉ!なんでこんなにクリーム少ないの?!」

父は水を得た魚のようにニヤニヤ顔で
父「なぁにあんたこのタルト、これは失敗だな!こんなのケーキ屋に出したら怒られるよ?」

姉「なんでもっと作らねーんだよ!計算しろよ!馬鹿じゃねーの?!」

私は母を見た。父姉から総攻撃を食らっている私を見て、自分の口で白状することを期待したのだ。

しかし母は気まずそうに下を向くだけで何も言わない。

姉「お母さんも怒ってよ!こいつキッチン占領して馬鹿高い材料費をかけてこんなゴミみたいなもの作ってなんで何も言わないの?!」
母「・・・・・・。」

その様子にさすがに頭にきて、私は言った。

私「お母さんがクリーム味見していっぱい舐めちゃって無くなったんだよね。」

その瞬間の母の顔は忘れられない。
反射的に顔をしかめたその顔は「なんで言っちゃうの?」とでも言いたげだった。そりゃお前のせいだからな。

一瞬の静寂。
母は相変わらず無言だ。

沈黙を破ったのはやはり姉だった。

姉「・・・人のせいにしてんじゃねーよ!そもそもお前がこんなの作るのがいけねーんだろーがよぉ!」
私「え!?私!?」
姉「お前に決まってんだろが!なに人のせいにしてんだよ!誰がお前にケーキ作れなんて頼んだんだよ!そもそも太るからあたしはずっと嫌だったのに!」
母「ちょっと○○(姉の名前)、そんなこと言ったらもうケーキ作ってくれなくなっちゃう・・・」
姉「別にいいじゃん、コイツのクソまずいケーキなんてどこにも需要ないんだから!」
私「・・・」
父「それにしてもあんた(母)も食い意地張ってるね、子どもの作ったクリームをそんなに食べるなんて。だから太るんだよ。」
母「!! どうしてそんなひどいこと言うの?!(号泣)」
姉「ちょっとお父さん!なんてひどいこと言うの?!最低!」
私「・・・」
姉「お前も黙ってんじゃねーよ!誰のせいでお母さん泣いてると思ってんだよ!」
私「いや自分が悪いんでしょ、クリームいっぱい舐めちゃったから。」
母「でもわざとじゃないし、普通は3口までとか言うのにあんたが言わないから全部食べていいと思ったの!(号泣)」
姉「!? ・・・お前普通言うだろうが、なんで言わねーんだよ!!」
私「(一瞬動揺してたじゃん笑)普通言わないし、普通全部食べないよね?」
父「あんたたち(母姉)そんな常識聞いたことないよ笑」
姉「なんでお父さんは妹の味方するの?!」
父「別に誰の味方もしてないよ。まあ、もうあんた(私)はケーキ作り向いてないからやめることだな。はっはっは!(退散)」
姉「もーどうしてうちっていつもこうなるの?!いっつもお前のせい!お前のせいで家族全員不幸になってる!」
私「・・・(いやそんなことは無いだろ。)」

なお、その後片付け中も耳元で「水代!」だの「洗剤代!」だの「洗い方の効率が悪い」だの「洗剤を浄水するのにどれだけ税金かかってるのと思ってるの?!」だと絶叫されながら、なんとか洗い終えたのであった。

ちなみに残ったタルトは結局母が全部食べた。

洗い物中も怒鳴られ続けHPが1状態の私に、母は特に謝罪するわけでもなく
「タルト美味しかったわよ。お母さんは失敗だと思わないわ。」と
あくまで子どもの失敗をフォローする母みたいな素振りで言ってきたので
「いや失敗だよ。理由はクリームが足りてないから。」と嫌味を言い、自室に戻った。

キッチンからは私の嫌味に気分を害した母親がキレて物に当たる音が聞こえてきた。
そして姉と2人で2階の私に聞こえるほどの声量で私の悪口を言い、盛り上がり、しばらくして機嫌を取り戻していた。

後日談

もちろんだが、私はこの日以降少なくとも家族のためにケーキを作ることは無くなった。
私の唯一暴言から解放される時間は、また無くなってしまった。
姉は(まず前提として、寝ているとき以外ずっと怒鳴っているのだが)あの日のことをなじられ続け、私ももう気力を失っていた。
元々母が姉の暴言を諫めることは全くないが、さすがに今回は母が発端なので「お母さんのせいで怒鳴られてるのにスルー出来る精神がすごいね」と私が嫌味を言うと
「え?あの日のこと話してたの?お母さん気付かなかった。」とすっ呆ける始末だった。

そうして何週間か過ぎたある日、母親に話しかけられた。

母「あんた、もうケーキ作ってくれないの?」
私「もう二度と作らないね。」
母「お母さん反省してるから、今度から気を付けるからまた作ってほしい。」
私「あのさ、私があれから毎日あのタルトのことで怒鳴られてるのわかってる?この前なんて冷蔵庫に生クリームあっただけで、全然関係ないあたしがまたケーキ作るのかって怒鳴られてたの、見たでしょ?あれ以来普通の皿洗い中も怒鳴られて最悪だよ!もう二度と作りたくない!」
母「あの生クリームは実はお母さんがまた○○(私)にケーキ作りに目覚めてほしくてあえて買っておいたの。なのに●●(姉)が怒鳴るから・・・」
私「え、そういう魂胆で買っておいたの?それであたし怒鳴られててそれもスルーで今こうしてお願いするってどういう神経?」
母「それはまさかあのことで怒られてるって思わなくて・・・」
私「(そんな訳ねーだろ)とにかくあんな怒られてまでもう作りたいと思えないから。そんなにケーキが食べけりゃどうぞご自身で作ってください。」

ここまで読んで伝わっているかわからないが、母はもうとにかく自分のことしか考えられないのだ。(というかうちの家族全員ね。笑)
父も母も、私が怒鳴られていることや姉が怒鳴っていることなんてどうでもよくて、今自分が快適になることしか考えない。
夫婦の関係においてもそうだ。相手には自分の要求を叶えるよう求めるが、自分は当たり前の配慮すらできない。だからうまくいかない。
そうして夫婦関係は破綻した結果、子どもたちは苦しんでいる。
(姉の異常なまでの怒りの発露と私への執着は、やはり姉にもASDの気質があることと、両親の虐待で精神が壊れた結果なのだ。)

そうして私の言葉を聞き、母が返した言葉がこのエピソードのオチだ。

「あんたが怒鳴られてるのはお母さんには関係ないけど、お母さんはケーキが好きだから、お母さんのためにケーキを作ってほしい。」

誰が作るか!!!!

以上!

デストロイ拷堕

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