苦戦したけど懐かしいAE92カローラFX1600GTVの話
モータースポーツ専門誌で働き始めた昭和の末、私はダートトライアルをしようとしてジェミニZZ/Rを買った。ただ、そのころにはハイパワー4WDの先駆けでもあったセリカGT-FOURやギャランVR-4がすでに登場していた。当時のダートトライアルのクラス分けでは、1600ccで区切られており、ジェミニはそれらと同クラス。
ドラテクを身につけると割り切って乗り続ける手もあったが、やはり若さゆえ?手っ取り早く結果を求めたい気持ちも強く、無謀にも新車でAE92カローラFXを購入したのが平成元年のことだった。もちろん初めての新車だ。
さっそく自動車雑誌編集部の特権?を使ってLSDを組み込み、ショックアブソーバーをダートトライアル用に交換して即席でダートラ仕様ができあがった。ただ、こうなると自分のクルマとは言え、それとバーターで雑誌企画で酷使されてしまうのも事実…。ドライビングテクニック企画やパーツ比較テスト企画でかなり酷使されてしまうことになる。
もちろん私も企画にからめて走る機会を得ることになるのだが、どうもあまり速くない。実は購入にあたっては、AE92の試乗会に行きそのときの加速感やコーナリング時のコントロールのしやすさに魅せられたという面があるのだが、ちょっとその時とは違う感じ。まあ、広報チューンだったあどうかは定かではないが…。
FXに搭載されたエンジンはいわゆる後期型の4A-GEU型直4DOHC16バルブで、圧縮比のアップなどにより140psを発生している。これは購入後にシャシーダイナモで計測して掛け値なしに発生していた。ただ、致命的?だったのは車重で1030kgもあったことだ。当時ライバルのEP82スターレットターボが135psで830kg程度だったと思うので200kgほども重い。
ここで私が徹底的な軽量化を行うほどの執念があれば話は別だったのだろうが、結局そこまでの根性も、金銭的な余裕もなく2年ほど乗ってボロボロにしてしまい手放すことになる。
ともあれ、私にモータースポーツの厳しさを教えてくれたクルマであることに間違いなく、いまでもときに触れ思い出す一台となっている。今欲しいと思ってもまったく市場で見なくなってしまったのは寂しい限りだ。