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目の中に入れても痛くない

「目の中に入れても痛くない」と言うことわざの語源には諸説あるようですが、最近、それがどういうことか、よく分かりました。

「目の中に入れても痛くないほど可愛い」

うちでは朝、私たちが起きると、オカメインコの「ぴいよ」1歳10ヶ月をカゴから放鳥します。それから基本的に、夜8時か9時頃までは起きている。それを過ぎると眠そうにパチクリし始めるのでカゴに入れるんですが、当然、カゴに入れられて喜ぶ鳥などいるはずもなく、ぴいよは飛んで、カーテンレールの上なんかに逃げます。

もともとオカメインコって飛翔能力高いです。原産地オーストラリアでは、野良オカメが群れを作って暮らしていて(基本的にビビリな性質なので群れを作らないと安心できない)、そいつらは一日20~30kmくらい飛ぶそうです。日本でも、逃げ出したオカメインコが10km先で発見された例があるという。

確かにぴいよもよく飛びますが、日中常時放鳥とはいえ狭い6畳の仕事部屋と隣接した2畳相当のキッチン、間には引き戸あり。長距離飛行区間がない。
だから最初は、ぴいよ、部屋の中を飛んでもよく壁とか窓とかぶつかって墜落していました。いつ骨折するかとヒヤヒヤもの。

インスタで海外のオカメインコの動画を見ていると、さすがに10kmはないものの、明らかにうちの数倍広い部屋を一直線に飛んだりしているオカメ多数。世界的にはそもそも、オカメインコを飼ってる人って、それなりにリッチで広い家に住んでいる人が多いのかもしれない、というより、多分そうなんでしょう。彼らに我が家の面積と年収を教えたら(教えないけど)驚いてひっくり返るかもしれない。

ただ、オカメインコって実は意外に飼育コストが安いんです。少なくとも日本では。
日本で猫飼ったら、年間費用、オカメインコの10倍以上かかります。キャットフード、猫缶、ちゅーる(おやつ)、月に数千円くらい?それと年に一度の予防接種、室内飼いでも人間由来で感染する猫の病気があるので「三種混合ワクチン」は必須。それが数千円。ノミダニ予防の皮膚に垂らす薬、1ヶ月半に一度、1200円。あと、猫は必ず猫トイレでピーチ&にょうちゃん(=いわゆる「大」、および「小」)しますんで、猫トイレ置いて、毎日掃除して、定期的に猫砂を補充しなければならない。費用は月に数百円ですが、何しろ砂だけに、ホームセンターから持って帰るの、重くて重くて。

対するにぴいよ、殻付きシード一袋1ヶ月398円、ビタミン補給のサプリメントが1700円くらい。おやつ用にヒマワリの種を買ったのですが、ハムスター兼用なんで400円でものすごい量。半年で食べきれるだろうか?ヒマワリの種、喜ぶけれどあげすぎるとヤヴァいんです。カロリー高くてメタボになっちゃう。水も飲むか、って、水道料金月12立方1200円くらい?そのうち、ぴいよが飲んでる推定数ミリリットル、一体いくらなん?あと、あえて言えば常備しているトイレットペーパーくらいかなあ。鳥類の性質上「トイレに行く」という概念がない。飛ぶために最適化・軽量化された身体構造、ピーチ&にょうちゃんの混合排泄物を随時ぷりぷりとそこらじゅうに。潔癖症の人にはオカメインコおすすめできません。
でもうちでは決めたんです。「ぴいよのピーチは汚くない」。
そりゃいくら何でも我慢の限界でしょう?と思われるかもしれませんが、実は、そうでもない。なぜか?健康なオカメインコのピーチって、本当に無臭なんです。問題は見た目でしょうか?服とか頭とかテーブルに落ちてるのはちょっとね、でもそれを見つけたら、トイレットペーパーで拭けばOK。

ところで話を、ぴいよの飛行能力に戻しますが、生物の環境適応能力というのは凄いもので、1ヶ月もすると我が家内部空間の距離感をマスターしたようで、墜落しなくなった。今では床からカーテンレールまで垂直離陸とか(君はオスプレイか?)、6畳部屋中央で直角に曲がってキッチンとの間を8の字描きながら2~3週とか、普通に出来るようになった。

何かにびっくりしているのか、それとも運動したいのか、まだ今ひとつ分かりかねる部分はありますが、一日2回くらい、二部屋2~3週します。
ぴいよ。君、原産国に帰って仲間に会っても「短距離・狭小空間飛行」能力では君にかなう奴は滅多にいないと思うよ。

で、夜。
ぴいよを捕まえてカゴにいれなければなりません。
鳥って暗くなると行動しません。でも明るくなるとすぐ行動する。朝、早いんです、彼ら。そのとき私たちまだ眠ってます。その間に家電製品のコード囓られたりしたら交流100V30Aショートで大惨事になってしまう。他にも食べたらヤバイものとか囓られたら困る書類とか色々。そんな空間で放鳥すること自体が間違っているんですけど本来。それでも、ぴいよが狙いそうな場所はだいたい決まっていることが分かったので、その全てを(段ボールやウッドブロックで)ガードしたんです、が、若くて頭が柔軟ということなのか、つぎつぎにいたずら場所を見つけては、ハミハミ、ハミハミ、してしまう。スマホのケーブル、ハミっちゃダメ!他にも、うっかり出しっぱなしにしていたプラスチック類とか、飲み込んだら大変。だから、とりあえず人の目の届かない時(就寝時だけでなくお留守番の時とかも)には、ぴいよをカゴに入れる、というルールを決めました。

ですが、鍛え抜かれた短距離狭小空間飛行能力。しかも若い。捕まえるの大変、私たちも最初は苦労しました。でも私たちもそれなりに大分鍛錬されまして、今では小さめのタオルハンカチで、ふわっと捕まえられるようになりました。ぴいよも「これは仕方ないこと」と理解したのか、無駄に抵抗するということを諦め始めている感じもしますが、ともあれタオルハンカチで、ふわっと捕まえて顔だけ出してあげると、可愛いんだな、これがまた。

そのタオルハンカチ、実は、ぴいよ用じゃないんです。私、職業上の事情で目を使うので疲れ目が酷くて、よく目薬をさすのですが、流れ出した目薬や目元を拭くためにタオルハンカチを手元においているんです。ぴいよ、若いので新陳代謝盛んで脂粉出まくり羽毛ぷわぷわ飛ばしまくり。そんなぴいよを捕まえた後、タオルハンカチを洗わないまま、再び目薬刺して目玉拭いたりしている訳ですが、脂粉とか羽毛とか……

それで理解できました。

「これが『目の中に入れても痛くないほど可愛い』ということである」。

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飯島 正樹
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