複利効果のある投資で老後の資産形成 ~これからの常識
2019年に金融庁の金融審査会がまとめた報告書を発端に、老後2000万円問題が世の中を騒がせました。この頃から、iDeCoや積立NISAを利用する人が急増し、国民の投資への意識が高まりました。老後2000万円問題とは、何だったか。金融庁の報告書の内容によると、「65歳からもらえる夫婦2人の年金(想定)は月22万円であるのに対し、日常生活費としての必要額は27万円である。従って月額5万円不足する。これからの長寿化を見越して95歳まで生きたとして、30年分の不足を合計すると約2000万円となる」というものです。税制優遇を利用したiDeCoや積立NISAは、自助努力で2000万円を積み立てられるよう準備してくれたものです。まだ、利用していない人は、速やかに始めて、老後に備えておかないと、寂しい老後を迎えることになるかもしれません。老後への投資は、複利効果がありますので預貯金より有効です。その理由を記事にします。
1 多くの人が資産形成のために投資をする理由
今、多くの日本人が、資産形成のために、預貯金でなく、投資を始めています。理由は、ネットの普及により個人が手軽に始められる投資環境になったことが挙げられます。
それだけではありません。預貯金の超低金利が数十年も続いていることも、預貯金離れの一因になっています。1990年頃、郵便局の普通金利は3%を超えていました。金利3%の預金の威力はすごく、20年預金口座に預けておけば、預金が倍になります。しかし、今や郵便局の普通金利は0.001%とほぼ利息が期待できなくなり、手数料を少しでも取られると、マイナスになる状況です。
一方、1990年以降株価の伸びは著しく、世界に目を向けると、全世界の株式は5%、米国の株式で7%となっています。投資にはリスクがあります。しかし、過去数十年のデータによると、市場に連動した指数(インデックス)の投資商品(投資信託)で15年以上積み立てた場合、運用成績がほぼマイナスなっていません。将来、必ずプラスになるかどうかわかりませんが、リスクをとらないと相応のリターンを望めません。一般的には、生活防衛資金(生活費の6カ月~2年分)は預貯金として、それ以外を投資運用することがセオリーになっています。リターンが年3%とした場合、老後の資産形成がどのくらい好影響を与えるかを計算してみます。
2 20年間の積立て効果(年利3%の場合)
45歳の人が、65歳までの20年間、年36万円(月3万円想定)を積み立てた場合
約24万円の差があります。なぜこんなに差がつくかと言うと、利回りは複利で運用されているからです。36万円の積立額は、翌年には37.08万円(年利3%)となり、その翌年には38.20万円になります。翌年は元本+利息に利息が付くから、どんどん元本が増えていきます。これが、複利の力です。前の項でも書きましたように、過去数十年のデータで15年以上投資した場合は、ほぼマイナスはなしです。だからより豊かな老後を過ごすために、多くの人が投資をします。
3 積立てた資金を20年かけて取り崩す
複利の力は取り崩す時にも威力を発揮します。65歳まで積み立てた資金を85歳までの20年かけて、引き出す(取り崩す)場合
取り崩しながら、残った元本には3%が複利で運用されますので、引き出し額もさらに多くなります。
4 複利の力で老後を乗りきる
もし、運用成績の良い投資信託(年利3%以上想定)を20年間、月3万円投資できれば、老後の不足する月5万円が20年分補えます。積立NISAは年間40万円(月33,333円)が20年間非課税ですから、非課税で上記の投資が可能ということになります。これから、公的年金(国民年金、厚生年金)の財源の先細りが懸念されため、国は非課税枠を利用した資産形成が自助努力でできるよう準備をしてくれています。投資を始めていない方は、より豊かな老後のために、投資を始めましょう。
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