就業不能保障保険・所得補償保険は必要か?~健康保険制度を踏まえて検討
「もし、自分が働けなくなって、収入が減った時のために、就業不能保障保険や所得補償保険があるけど、入った方がよいのか。生命保険や医療保険で保険料がかさんでいるいるから、これ以上保険に入るのはちょっとね。」
結論がでないまま、入っていないという方は多いと思います。又は、そんな保険があることすら知らないという方も多いのだろう思います。
日本の公的な社会保険制度で賄うことができるなら、加入はしなくてもよいと私は考えます。
今回は、就業不能保障保険と所得補償保険について記事にします。
1 就業不能保障保険とは
仕事への復帰が困難な場合(就業不能状態の場合)に支給される保険で、生命保険会社で取り扱っています。毎月定額を長期間にわたり支給されます。
免責期間(支給されない期間)があって、医師に就業不能と診断されて、60日間等(免責期間)経過後から支給開始となります。
2 所得補償保険とは
医師のドクターストップがかかった場合に支給される保険で、損害保険会社から支給されます。毎月定額(日割り計算あり)を短期間支給されます。
免責期間は、4~7日程度の短いものになっています。
3 健康保険制度
健康保険制度を知らないと、就業不能保障保険や所得補償保険の加入の検討は出来ません。日本の公的保険制度(健康保険制度や労働保険制度)はとても充実しています。保険会社の保険は公的保険の不足分を補うものと位置付けて、加入の有無を検討します。勧められて、不安に思うから保険会社の保険に加入することはせず、まずは検討です。
健康保険制度は、①会社員や公務員の健康保険(健保組合、協会けんぽ、共済組合)と②自営業などその他の健康保険(国民健康保険)の扱いに若干違いがあります。
①には、傷病手当金と出産手当金がありますが、②にはありません。大した違いはないように思えますが、大きな違いであると私は考えます。
特に傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなり、収入が少なくなった場合に、収入の約2/3が1年6か月間支給される手当金です。
傷病手当金がない自営業などの国民年金加入者は所得補償保険の検討も必要です。
3 健康保険制度や個々状況を踏まえて、就業不能保障保険や所得補償保険を加入するか検討する
① 自分に必要な保障額を把握して、不足分を算出します。そのためには、健康保険制度や労働保険制度からどうような手当金が支給されるかを把握することが望ましいです。
② 保険料が多額となり、月々の生活を圧迫するようなら、保険の優先順位を決めて、何かの保険を諦めることも必要です。保険は、発生するかどうかわからないリスクに対して保険料を支払います。従って、あらゆるリスクを保険でカバーしようと思えば、保険料が多額になり、月々の生活を圧迫します。結局何もリスクが発生しなかったとなれば、かけ損です。支出のバランスを考慮する必要があります。
③ 金融商品や保険商品には必ずメリットとデメリットがります。万能な商品はないと思います。メリットデメリットを理解して、自分で決断しすることが大切です。
4 まとめ
今回のケースでは、会社員や公務員は傷病手当金が支給されることや、労災適用なら、休業補償や傷病補償もありますので、加入しなくてもリスクは少ないとは思いますが、万が一長期に働けなくなることもあります。所得補償保険は傷病手当金などで賄えるので必要ないと思いますが、万が一、長期に働けなくなったことを考えて所得不能保障保険の検討は必要になると思います。
ただし、他の保険とトータルで考えると月々の保険料が上がり、生活費を圧迫するおそれもありますので、バランスを勘案して決断する必要があります。
自営業の方などは傷病手当金が支給されない上に、収入も不安定なので、就業不能補償保険に加えて所得補償保険の検討も必要になると思います。
しかし、会社員以上に保険料が月々の生活費を圧迫する恐れもあるので、熟慮の上決断する必要があると思います。
大切なのは自分で考えて決断することです。
ちなみに私は、加入しません。公務員ですからリスクも少なめ。しかしリスクフリーではありません。リスクがあってを、私は老後の積み立てを優先しています。