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上京10年の振り返り。現時点では「まあいい感じ」

気づけば上京して10年が経った。そして同じ家にずっと住んでいる。

私のような遠方からの上京者が聞かれることNo.1
「なんで上京したの?」

とにかく理由を聞かれる。その度に私は「なんとなく」と答える。
仕事関係とかきちんと答えたほうがよさそうな場面では「仕事の都合で」と言ったりもする。

夢を追いかけてきたわけでもなければ、東京に憧れがあるわけでもない。
本当の理由は別にあるけど、誰かに言ったことはない。

私は昔から、家族と離れたい願望が強かった。
仲が悪いというよりも、私にとってはずっと、なんとなく居心地が悪い家だった。

その理由は大人になって理解した。
とにかく「考え方が合わない」のだ。

当たり前だと思っていること、言葉選び、対人関係の距離感、人生で大切にしていること……などなど。

性格も全く違う。

興味があることに飛びついてしまう私
省エネで最大の利益が大好きな兄
とにかく堅実な父親
自分が正義で譲らない母親

うん、合わなそう。笑

母親はしつけが厳しく、友だち付き合いにも口を出し(あの子と遊ぶのはやめなさいとか)、褒められた記憶はほとんどない。
私のことを「ひとりの個人」としてではなく、「母親が指導すべき者」として、いつまで経っても批判的に見ているように感じる。

ちなみに兄に対しては甘々。フリーダム。
そして、父親は子どもとあまり関わりをもたない人だった。

中学・高校のころはとにかく
「家から出なければ。この人たちの目の届かないところに行かなければ。」
と強い思いがあった。

進路を決める時、県外の大学に行くと勝手に決めていた。
もちろん反対されたけど、受験勉強に打ち込んで「なにがなんでも行きますので!!!」という意思を背中で見せつけていた(つもり)。

そんな私の思いが通じ……たわけではなく、ちょうど両親の離婚時期と重なり、交換条件のように私の大学進学が許されていた。

大学卒業後も地元には帰らず、他県で働いていた。

そうこうして20代なかば、東京に住む子と仲良くなった。
数ヶ月ごとに行き来するようになり、「もう住んじゃおっかな~」なんて思い始めた。

ちょうどその頃、仕事先で出会った人に「東京で仕事しない?」と誘われ、このタイミングに飛びつくしかない!と、勢いで即決。
数か月後には東京にいた。
具体的な仕事の内容も聞かず、家も決めず、数十万のお金と少しの洋服を抱えて。

上京後は3週間くらい、きっかけとなった友だちの家に居候させてもらっていた。

なにもかもが目新しく、新鮮で刺激的で、毎日どこかに出かけた。とにかく人に会い、色んなお店に行った。
ふらふら過ごしていると、握りしめてきた微々たるお金があっというまになくなっていく。

一部の人は「あれ?仕事紹介してもらったんじゃなかった?」と、お気づきかもしれない。
実は蓋を開けてみると、なぜかすぐに業務が始まらないという、ブラック臭プンプンな会社だった。
引っ越して1ヶ月半後くらいには勤務開始したけど、数年後に会社は潰れた。

いつまでも居候するわけにはいかず、バタバタと家を決めた。

田舎から引っ越してきたので、
家賃相場がわからない!
土地勘もない!
周りの人におすすめ聞いてもみんな違う場所を言ってくる!!

困り果て、とりあえず会社の人に不動産屋だけ紹介してもらった。

私の条件は「できるだけ電車に乗りたくない」「バス・トイレ別」が絶対だった。あと「いますぐ住めるとこ」。

勤務地との距離、家賃、家の周りの環境、近隣スーパーの有無など条件を挙げつつ、妥協できることを探りつつ。
家を探している時期が2月末だったこともあり、数日探しても選択肢が3軒しか出てこない始末。

1日で3軒を内見。
1軒目、窓を開けたら電車のホームがお隣さんだったので却下。
2軒目、まず物件までの道が細くて暗くて怖い。2階なのに暗い。却下。
3軒目、大きい通りが近くにあってうるさい。でも他の2軒より住めそう。「ここにします」

納得感も選んだ感もない。消去法。でも結局10年ここに住んでいる。
全然、気に入ってるわけではない。でも「利便性がいい」。その一点でここまで来た。

まず、電車が2路線使える。距離的にも、東京・埼玉方面(上り)、神奈川方面(下り)両方に出やすい。

私はエンタメが好きなので、週末は都内の色んな場所に出かける。
あと大学時代の友だちに会いに、たまに飛行機や新幹線を使って会いに行く。それぞれのターミナル駅までのアクセスがいい。

電車が嫌いな私は、乗り換えもめちゃくちゃ嫌い。
むずいし、乗り換えでめちゃ歩かされる時あるし。
(東京で電車移動の生活してると、1日1万歩くらい普通に歩くよね)

今の家は、私がよく行く場所への乗り換えがない or 乗り換え1回なので、楽で助かっている。

そして、徒歩10分圏内にスーパー2軒とコンビニ3軒。気分に合わせて選べる。夜遅くなってスーパーに間に合わなくてもコンビニがあればなんとかなる。最高。

あとは、最寄り駅に小さめのイオン的なショッピングセンターがあるので、日常生活品の買い物は生活圏内で済ませられる。
ネットで見て実物触って買う、ができる。

かかりつけの病院、お気に入りの飲食店、顔見知りが増えた行きつけの居酒屋さん、ドラマのロケ地になりやすい場所だからというミーハー心。

日常は最寄り駅で解決でき、遊びに出かけるのも楽。
わりといい場所である。

でも、気に入ってるわけじゃない(2回目)。
なんなら物件自体には嫌気がさしている。

築年数も古くなってきて設備にガタがきはじめている。
隣人に学生が入ることが多く、生活時間が合わず時間バラバラで騒々しい。
壁が薄すぎて、隣人が電話したり誰かを招いたりすると、ぼそぼそと声が聞こえる。

そして一番盲点だったのは、ベランダ側の細い道路。
交差点への進入のためにさまざまな車がウィンカーを出して停止するんだけど、大型車の「ピピーピピー、右へ曲がります、ピピーピピー、……」の音で早朝に起こされること。

信号のすぐ近くなので、すぐには交差点へ入れない車たち。長めの停止なのがきつい。体感1分以上。

だから定期的に物件サイトを見てる。「もういい加減、この家飽きたわー!!」と常々思っている。
契約更新の時期が近づくと、不動産関係の友だちに話を聞いたり、荷物を少し処分したりする。

でも、現状の利便性を保ちつつ不満を解消するためには、家賃を1万円以上上げないといけない。
引っ越しの面倒さも頭をよぎる。
退去の手続きと契約の初期費用と、うーん。
いま必要か……?と思いとどまる。
それを繰り返して、現在に至る。

住みたい街もない。
いま在宅ワークで出社は月1程度なので、「どこに住んでもいい」というのがさらに場所選びを難しくさせているかもしれない。

とにかく日々の便利さと遊びに出かける苦労が少なければいいのだ。


この家で過ごした10年。いいことも悪いことも染み付いている場所。
最寄り駅の改札、家までの道のり、かつての恋人と通ったお店、友だちが泊まりに来てくれたり別れ話をしたりしたこの家、10年分の思い出が詰まりすぎていて、たまにしんどい。

いろいろあったし、これから自分がどう動くのかわからないけど、「上京しなきゃよかった」と思うことは、ない。

同じ地方出身で、東京に住んでいる or 住んでた人と話してる時、共通して出てくる東京のよさは
「誰も私のことなんて見てないんだ」
と体感できるところ。

私は田舎の息苦しさから逃れたい一心だったので、とても快適である。

東京は、大好きな音楽のライブやお笑いライブが開催される回数が圧倒的に多い。
思い立った時に観に行けるのは私の人生を豊かにしてくれている。
ポップアップやワークショップなどイベントの多さも、私の好奇心を満たしてくれる。

総じて、いまのところは、いい感じ。
引き続き、未来の私の衝動に託す。


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