セラピスト・トレーナーが覚えておくべきマインド#1「手段」と「目的」
〜「手段」と「目的」を明らかにしてあなたの臨床力は変わる〜
最初から質問でいきますが、
・エコーってそんなにいいんですか?
・ピラティスっていいんですか?
・立甲って意味なくないですか?
という質問に皆さんはどう答えますか?
一回でもそう思ったことのある人、またこの類のツイートをみたことあって、明確な答えがでてこない人がこのNoteの対象です。
これらの質問は「手段」と「目的」を明らかにできてないことによって生じます。
セラピスト・トレーナーに限らずですが、医療人、非医療人がそれぞれ自身の専門について、SNSの普及により情報発信のハードルはかなり下がったことは皆さんお気づきの通りです。
YouTuberという存在が当たり前になってきて、情報発信に価値があること、そこにお金(大金)が発生することも有名になりつつあり、気になっている人も増えているのではないでしょうか。
コロナの影響で在宅勤務、オフラインセミナー事業が完全に止まってしまい、オンラインに流れてきたことも後押ししましたね。
この現象はひと昔前に一番最初にインターネットが普及し始めた時、一般に対する医療系の情報が増えてきて、混乱を招いたのと状況が似ているように感じています。
つまり、
患者側から考えて情報を得られるメリットとしては
「様々な情報に触れることができる」
「自分に適した(と思う)情報に触れることができる」
反面、デメリットとして
「それらを全て自分の適応と勘違いする」
「迷う」
「いざ医療機関にかかるときに
プロフェッショナルたちの仕事の邪魔をする」
ことが挙げられます。
いち理学療法士として臨床に当たっていて、現在はデメリットの方が大きいことを感じているのは私だけではないのでしょうか。
一見そういったリテラシーがありそうな医療者ですが、
現在のセラピスト・トレーナー界隈におけるSNSの状況にも全く同じことが言える状況です。
・ヨガ
・インソール
・ピラティス
・運動器エコー
・筋膜リリース
・(どこかの国の名前)〇〇療法
・いろいろなトレーナー関連の資格
etc
様々な手技、資格が一見華々しくSNS上で輝いて見える人がたくさんいます。
しかし実はこれらは手段でしかなく、また各論でしかありません。
手段のほうががありふれてしまっていて、
常に隣の芝生は青く見える状態
です。
いきなり乱暴な言い方になりますが、
実は患者・クライアントからすると、はっきり言ってしまうとあなたが何者かは
どうでもいい
のです。
実は。
残念ながら。
あなたがどんな資格、
国家資格であろうが、
どれだけお金をかけた民間資格であろうが
これは覚えておいたほうがいいことです。
Twitterで
○○の資格を持っている!
という話を聞いてると、
すごそうな、何か良さそうな感じがしていませんか?
AT、PES、CSCS、CPT、、、、
カタカナや英語で表記されると余計に
何か特別な「必殺技を持っている」と思ってしまいがちで、
「あれもよさそう!」「これも凄そう!」となってしまっています。
SNSでは本当に様々な情報が溢れています。
情報収集する前に一度、
あなたにとって、
それは「手段」か「目的」か?
それは「総論」か「各論」か?
それは「原因」か「結果」か?
ということについて詳しく整理しておく必要があります。
断言できるのは、
ここを間違えると一生迷う。
そして、
新しい話題が出てきたたびに振り回される。
私は理学療法士なので、理学療法士の立場から書いていきますが、それ以外の療法士、ナース、柔道整復師、鍼灸師、各々コメディカルの方は自分の職に置き換えてみてください。
こういうあなたに。
・若手のトレーナー・療法士やその学生。
・最近Twitterを始めてみた。
・SNSにいろんなことをやってる人、様々な資格の人がありふれていて不安になった。
という人には一度読んでみてほしい。
無料でもよかったんですが、それだと脳みそが「読もう」とするモードに切り替わらないと思ったので、有料にします。
4割程度は無料にしますので、「そんなのわかってるよ」という人には当たり前すぎることなのでスルーで良いと思いますが、結構そこが抜けてる、って人、多いんですよね。
さて、今回は
「手段」か「目的」か
ということについて書いていきます。
様々なケースで考えていきます。
それではいきましょう。
症例を交えながら深めていきましょう。
「50肩」、「肩関節周囲炎」の診断名としましょう。
「肩が痛い」
「この肩の痛みをとってくれ!」
と患者さんが目の前にきました。
あえてここではこれだけの情報だけとさせてください。
この患者さんの訴えに対してあなたは何をするでしょうか。
「自分ならこれをするかな?」と考えてみてください。
・画像とってあるの??
・まずここを評価しないと。
・肩ならまずここが硬いんじゃないか?
・夜間時痛は?
など、皆さんさまざまな入り方があると思います。
さて、肩が痛い。
など、様々な治療方法が考えられますね。
では「可動域の改善」ではどうでしょうか。
同じようにいろいろな方法が考えられます。
さて、皆さんの臨床ではやるべきことは整理されていますか?
あえて治療手技にしぼって言及し、すこし回りくどい言い方になりましたがここには「ゴール」つまり「目的」がないことに気づいたと思います。
最初に治療手技のことが頭に来た人は要注意です。
本当に求めていることが、「疼痛消失」「可動域改善」
「自宅の洗濯物が干せること」
「通勤中につりかわに掴まれること」
「タックルができること」
かもしれません。
クライアントが何をしたいのか?何を求めているのか?
「本当」に患者、クライアントが必要としていること、
つまり「本当の目的」を達成されていることが必要です。
当たり前に聞こえますが、実はかなり見落とされている部分です。
このあと整理していきます。
先ほどの例をベースに考えてみると「痛みがなくなる」「可動域が改善される」というのは先ほどの何かしら言ってみればADL上の「目的」が達成されるための「手段」でしかありません。
もちろんですが、
可動域制限が解消されなくて良い
痛みが取れなくて良い
と言ってるわけではもちろんありません。
いつしか「ADLを通常におくれること(目的)」が例えば「可動域が左右同じになること」、「痛みが全くなくなること(手段)」と入れ替わってしまっていることに気づいていないことがあります。
これを私は
「『手段』を『目的化』(してしまっている)」
と、呼んでいます。
これはつまりセラピストの目標設定の仕方、誘導の仕方が重要ということになります。
前置きが長くなりましたが、
今回このNoteでは「手段」か「目的」かというのをいくつかの例を用いる事によって多角的に深堀りにしていき、主に新人臨床家・新人セラピストがよく曖昧に陥ってることを明らかにしていきます。
患者・クライアントを見るときに忘れてはいけない「手段」、「目的」とは。
理学療法業務における巷にある様々な手技、手法というのを以下のように整理します。保存療法、術後療法で分けています。本質は同じと考えてますが、プロトコルの話をする関係で、便宜上わけて説明します。
まず保存療法(外来理学療法)です。
先程例をあげた症例に対する「徒手療法」「運動療法」というのは「治療を行う」ということの「手段」だったはずです。では、治療は何のために行うのでしょうか?
痛みをとるため
可動域制限を解消するため
それ自体は間違いないですが
表現の仕方はいろいろあると思いますが、根底にある「治療」の目的は「通常ADLへの復帰」です。
評価、問診とは何を「目的」としたものか?
評価にもいろいろあります。
整形外科的テスト
ROM
MMT
姿勢
MRI、Xp、エコーなどの画像評価
があるわけですが、これらの目的は一体なんだったでしょうか。
学生の間ときはスクリーニング的にすべての可動域、MMTをとり、レジュメに記載していました。
ですが、これはどんな「目的」をもってやっていたでしょうか?
(もちろん実習において様々な理由で必要ですので、すべて評価をすることは必要です。否定するものではありません。)
・学生を一歩抜け出す!
・限られた時間で対応するにはどうすればいいか
という視点を持ってみましょう。
話を戻すと、「ROM」「MMT」「Xp,MRI」、、、は何のために行っていましたか?
画像評価におけるMRI、Xpは特定できる組織は違います。
各々の整形外科的テスト、ROM、MMTも何を評価していますか?
MRIから何がわかるのか?
レントゲンから何がわかるのか?
エコーから何がわかるのか?
全て違ったはずです。
テスト一つにとってもその「角度」から、「筋力」から、「整形外科的テスト」として
何が言えるのか?
何を「目的」としているのか?
すべては「病態(状態)の理解」でした。
まとめると以下の図になります。
ここでも「自分の行っていた手段は何を目的としたのか?」というのは突き詰めなければいけないところです。
少しプラスアルファします。
整形外科的テストは何のため?
「整形外科的テスト」の「目的」に対して「どういう特徴を持った手段だったか」を確認してみましょう。
整形外科的テストはDrも用いるため、というより、Drと共通言語を持つため、といったほうが正確かもしれませんが、
改めてセラピスト・トレーナーとして整形外科的テストをやる「目的」はなんでしたか?
「〜〜テストが陽性」なので「〜〜が示唆される。」
というのが一般的ですが、
そこから何がわかるのか?という話です。
「本当にそれだけでいいのか」と考えたほうがわかりやすいかもしれません。
Drは主に診断を目的に用います。
いわゆる「前方引き出しテスト」、「ラックマンテスト」が前十字靭帯損傷を示唆されることは良いかと思います。
トレーナーが現場レベルで使う分にはDrと同じ目的ですね。
ですが、同じ整形外科的テストと呼ばれるものでも例えば「full can test」「empty can test」という肩のテストがありますが、それでわかることは何でしょうか。
先程のように
「full can test」・・・棘上筋の筋力低下が
「empty can test」・・・棘下筋の筋力低下が
それぞれ示唆される。
だけの回答では不十分である。と私は考えています。
皆さんはどのような回答をされますか?
良ければTwitterで教えていただけませんか。
キーワードは「機能面」ということになりますが、やはりここでも「病態」を自分の中で整理できているか、ということになります。
問診で「ストーリー」が描けているか。
「病態(状態)把握」でもうひとつ重要になるのが「問診」です。
目の前で取られた理学所見は「その時」の情報でしかありません。
ですが、それではどういう経緯で今回の事態に至ったのかがわかりません。
・時系列を整理する
・ADLの状況
・仕事、運動の負荷はどこで、どれだけかかっているか
などを確認します。(図の一番左の列)
得られた理学所見と時系列を整理し、
その病態が作られた時系列はどうであったか。
また理学療法士であれば診断名がわかっている、という特徴があります。
写真上一番はじめ(左)に持ってきましたが、前提条件として理学療法士は臨床的には医師からの処方箋(+レントゲンなどの画像)があります。
「ある程度の病態」はわかっているわけです。
つまりそこから「問診」で「評価項目をしぼる」という目的としても用います。
私がもっとも重要と考えるのは、
詳しくは別のNoteで記述予定の「原因」と「結果」に書く予定ですが、なぜそうなったか、つまり、
「ストーリー」を描けているか?という点です。
「なぜ肩が痛くなったのか?」
「なぜ腰が痛くなったのか?」
その理由が(例えばですが)
「ADL・仕事における姿勢」かもしれないし
「ボールの投げすぎ」かもしれないし
また「その両方」
というパターンも考えられます。
どれだけ生活や、そのスタイルが患部に問題を起こしているか、想像ができているでしょうか?
このストーリーを把握することは「再発予防」を「目的」とします。
再発予防のための「手段」、というわけですね。
いくら「機能面」が評価できても炎症が起きているのに「その原因」たとえば「ピッチングをずっと行っていた」「デスクワークで姿勢が悪かった」という部分が取り除かれないと解決はされないですよね。
これらすべてが成立して初めて「リハビリテーションが達成される」と、考えて業務を行っています。
説明の順番を逆にしましたが、まとめると以上のような流れで外来理学療法にあたっています。
プロトコルは「手段」か「目的」か。
次に術後理学療法です。術後療法には主に「プロトコル」に則ってすすめます。
さてこの「プロトコル」は何を目的としていますか?
臨床をしているとたまにびっくりするような症例に出会うことがあります。
ACLR後、3ヶ月たったからJog、ランニングを開始した。
という症例です。
一見、「普通じゃないか」という症例ですね。
前十字靭帯損傷オペ後でJogを3ヶ月程度から始めるというのは、プロトコルとしては一般的かと思います。
ですが、その症例は、
「膝の伸展制限もあり」
「筋力は内側広筋もまったく入らず」
「膝前面に違和感がある」
症例でした。
経験のあるPTさんには
「ああ、、そういうパターンね、、、」
と言われてしまいそうです。
たまにこういう症例に出会うことがあります。
ここでは、
「プロトコルはなぜあるのか?」
「プロトコルの目的とは?」
ということにフォーカスしていきたいと思います。
さて、改めてプロトコルとはなんでしょうか。
プロトコルとは簡単に言うならば、
「決まった時期に」、「決まった、可動域や荷重、エクササイズが許可されている」
ものが
「ADL(競技)復帰まで決まっているロードマップ」とでもいいましょうか。
それでは
なぜ「その時期に」「その運動療法」なのでしょうか。
結論から言うとこれも外来理学療法と同じく「病態を理解しているか」という話になります。
例えばACL損傷後のプロトコルは一般的に競技復帰まで10ヶ月から1年ほどかかると言われていますね。
(時期は良いとして)できるだけ早く膝の曲げ伸ばしができるようになって走れるようになって、競技のプレーができそうだったらプレーしていいよ!とはならないですよね。
ここまでは当然だと思います。
プロトコルでは術後早期に
・関節可動域を意図的に屈曲、伸展ともに制限。
・膝伸展筋力トレーニングの際には前方引き出しが行われないように、Wチューブなどの配慮を行う。・装具を術後3ヶ月程度まで。
(上記をやる施設とやらない施設があることに関しては今回は言及しない)
を行います。
この理由は
「靭帯の修復、生着過程、レングスパターンに起因する」
という明確な理由がありました。
(知らなかった!という人はよく調べてみましょう)
また復帰直前には「ファンクショナルテスト」や「筋力測定(特にACL損傷においてはBiodex測定)」が行われます。
これらの測定やテストというのは「何を目的とした」のでしょうか?
なぜたくさんの基準などが存在しているのでしょうか?
一律に「このテストができたから復帰をしてよい」と言及していたりする記事がありますが、果たしてそれはすべての競技について言えることなのでしょうか。
その競技によって特性が違います。そこの幅の部分がいわゆるエビデンスでは語りきれない、アートの部分であり、セラピストやトレーナーによって、意見が創意工夫がなされてるところと言えます。
「プロトコル」の本質とは。
これまで説明した通り、保存療法と変わらずに術後プロトコルというのも同じく最終的な目標が、「患者・選手が可能な限り早く通常ADL、競技に復帰するため」にあります。
「その時期がきたから、そのエクササイズをするために決まっているもの」ではありません。この回答はこの章における「手段の目的化」といえます。
本当にそのプロトコルを自分が理解できているか?
と、いうのは言い換えると
なぜその運動をしているの?という問いに「プロトコルの全体を見通したときに、自分の答え(通念上言われている答え)があるか」と言い換えられます。
「プロトコルにこう書いてあったのでやってます〜」というのは、やってはいけない回答です。
「立甲」、エクササイズ動画にみる「手段」、「目的」の錯誤。
動画発信にみる「目的の見失い」「手段の目的化」
立甲ってみなさんご存知ですか?結構特徴的な運動なのでご存知の方も多いと思います。
肩甲骨を翼状肩甲みたくして肩甲骨の内側を浮き上がらせるあれです。
「立甲」に限らず、今SNSで動画媒体が増えてきたもあり、物珍しいそうなエクササイズが巷では溢れています。
私の理解の中で、となりますが、
「立甲」は
もともと高岡氏が発案され、トレーナーセミナー団体JARTA(代表中野氏)の中で採用、そのもの珍しさからインスタグラムなどの媒体を通じて拡散していったものと理解しています。
JARTAさんは一見奇抜なトレーニングを採用していることで有名ですね。
そこは「これ、何をやってるんだろう?すごそう!」というビジネス的な点もあると思いますが、
そもそもこの「立甲」というエクササイズは何を狙ったものでしょうか?
たぶん色々な人に聞くと色々な答えが返ってくると思います。
少なくともセラピスト、トレーナーとして一番やってはいけない、言ってはいけない回答は
「立甲が上手にできるようになること」という回答です。先程までのプロトコルの話と少し似ていますね。
さてこのNoteのテーマ「目的」と「手段」です。
今回例に出した「立甲」で言えばその目的は(私なら)
・肩甲骨の柔軟性が確認、獲得できること
・前鋸筋に収縮を入れる感覚が獲得できること
・ゼロポジションの感覚の獲得ができること
・その上で上腕、前腕の荷重感覚、Push動作に繋げられること
などでしょうか。
(またここで「前鋸筋に入れる理由」などは何の目的か、という議論もありますが)
これらの「目的を達成させる手段」として、処方されているかもしれません。
決して「立甲」をする、事自体が目的とはならないはずです。
「立甲」の世界大会でもあるなら話は別ですが!!
そして更に言うと先程の
・肩甲骨周囲筋の柔軟性
・ゼロポジション
・Push動作
の感覚の獲得は
例えば
・投球における障害予防
・コンタクトスポーツにおける、上肢の使い方
の指導を目的をするかもしれません。
さて改めてお断りしておきますが、
私は直接JARTAさんのセミナーにでたことないので、どのような説明をされているか存じ上げません。
立甲を今回は例としましたが、他のエクササイズ動画も同じです。
セラピスト・トレーナーとして、
そのエクササイズは何を目的としたものか?という問いに常に答えられる必要があると、私は考えます。
そのエクササイズ自体が目的となっていないか?
(言うならばエクササイズという手段自体が目的化されていないか?)
もう一度確認する必要がありますね。
もうひとつわかりやすいところでいうと、いわゆる「タイカン」を鍛える目的として「プランク」というエクササイズがありますが、
あれにはどういう目的があるのでしょうか。
「タイカン」を鍛えるためですか?
「タイカン」ってなんですか?
一見同じように見えるプランクも股関節の肢位や、前腕の位置がバラバラだったりして、チームで同じようなことをやってるようにみえて、実は全員違うことをやっていたりもします。
私は「体幹」自体を狙ったエクササイズとしてプランクをひたすらやり続けるということはしません。
「ADL向上」「競技力向上」という「目的」に沿わないからです。
ですが実はプランク自体には世界大会があるんです!
だからその大会に優勝したかったら、プランクをひたすらやり続けるのも正解といえます!
「リハビリテーション」
理学療法は「手段」か「目的」か。
さてここまでお読みいただいたらリハビリテーションが目的が手段かと言うのはもういいんじゃないかと思います。
常に我々療法士が関わる最終目標は「リハビリテーションが達成されること」です。
「リハビリテーション」とはなんでしょうか?
「本人の望む生活がおくれること」と言い換えても良いかもしれません。
(WHOの定義があるので正しくはそちらを参照してください。)
決して「理学療法が完遂されること」ではありません。
「リハビリテーション科の理学療法士の仕事は理学療法をすること」ではありません。
リハビリテーションという「目的」を達成する過程の中であなたが理学療法という「手段」を用いる理学療法士であったというだけです。
例えば移動手段を考えるときに理学療法士だったらまず歩行という手段を考えるのが一般的かと思いますですが他にも手段としては車椅子も選択肢として存在するわけです。
パーキンソン病の方なら運動療法という理学療法という手段もありますが、薬物療法で症状がコントロールできるのなら「薬物療法」はリハビリテーションの手段ということになる。
高齢者の方が「食事さえ作れれば」というのは「自分で作るように作業療法的介入を行う」のもリハビリテーションですが、「作ったものを持ってきてもらう(介護サービスなどを入れる)」、これもリハビリテーションといえます。
この「リハビリテーション」という言葉、
時としてカタカナという表現方法は幅をもたせやすく、この「リハビリ」も例外ではありません。
「リハビリ」ときくといろんなイメージを持つと思います。
それもそのはずです。
これら無数にある手段のイメージのことを示していたのですから。
ですが、自分の持っている手段を当てはめることがリハビリテーションではないと私は考えています。
「その職業」は手段か目的か。
さてここまでで手段か目的か、というのを深めていくのは非常に重要なことだというのはご理解いただけたと思います。
最後に「あなたにとって『理学療法士』は手段ですか?目的ですか?」
という質問をして終わりたいと思います。
あなたにとって、です。
今までの「リハビリテーション」や、そういう定義の話をしているわけではありません。あなたにとって。
鍼灸師さんなら「鍼灸師であることは目的か手段なのか」
看護師さんなら「看護師であることは目的か手段なのか」
皆さんご自身の職業に置き換えてください。
ちょっと考えてみてください。それから私の考えを読んでみてください。
私が理学療法士になった理由は「高校生のときにラグビーで怪我しているときに理学療法士にお世話になった」というありきたりのパターンです。
ラグビーが本当に好きだったので、将来はどんな形でもいいからラグビーに関われれば嬉しいと思って進路を選択することにしました。
つまり私にとって理学療法士は手段です。
「ラグビーに関われるスタッフとしての手段のひとつ」であったわけです。
もちろん、「手に職をつけておく」であるとか「医療職である」などの現実的な問題も考えていることは否定するところではありません。
さらに国体や大学対抗戦というカテゴリーで選手や他のスタッフと関われているので、私としてはこの上ない幸せです。
もちろん今の職についた理由が「手に職がある。」「医療職で収入が安定していそうだったから」という人がいるのも現実的な話だと思います。
目的が「収入を安定して得ること」なわけですね。
もちろんこれはめちゃくちゃ大事なことです。収入がないと生きていけませんから。
ただ、いつの間にか自分の奥底にあった「目的」が薄れてしまっているなぁ。と思うことはありませんか?
いかがだったでしょうか?
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
SNSには様々な情報が溢れています。
その情報はあなたにとって「目的」になるものでしょうか?「手段」を増やしてくれるものだったでしょうか?
はじめに書いた文章を繰り返します。
『唐突な言い方になりますが、実は患者・クライアントからすると、はっきり言ってしまうとあなたが何者かは
どうでもいい
のです。』
そしてこう続きます。
「患者・クライアントの「目的」を達成さえしてくれれば。」
ということになります。
ま、もちろんそれが難しいんですが。
自問自答を繰り替えすことになります。
今後のNoteで私が様々なセミナーを受けてきたレビューを発信していきますが、
どうか、
「本当の目的はなんだったか」「手段を目的化していないか?」
というのを忘れないでいただきたいです。
患者さん・クライアントはあなたの「もっている手段」を当てはめるものではありません。
まとめます。
「目的」を見失って「手段」ばかりにこだわると本質を見失います。
どうかあなたの「目的」にとって、
また患者さん・クライアントの「目的」にとって、
本当にベストな「手段」をあなたは選択できているか、
これは私自身が自戒をこめてもですが、今一度、検討してみてください。