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【飯田線各駅訪問】53 時又駅

飯田市竜丘地区・時又駅。近年、居心地の良い駅舎に建て替わった。
駅の川路駅側には、かつての貨物専用ホームと側線が残る。
夜の構内。沈んだ陽の明かりがまだ微かに残っている。

綺麗なプライベートルーム

 「千代から時又までです。」「はい、2人で380円ですね。2人まとめて支払いますか?」一人当たり190円と小銭枚数が多くなってしまうため、車掌氏が気を配ってくださった。小銭と乗車券を交換しているうちに列車は川路駅を出発し、久米川橋梁をガタンゴトンと音を立てて通過する。程なくして列車が止まった。列車のドアが開き、薄暗いホームへと足を下ろす。久々の再訪だ。
 列車が発車し、私は車掌氏に一礼しながらも列車にシャッターを向けた。列車が去ると、この竜丘地区の中心駅も静寂が漂った。日も暮れて辺りは暗く、駅舎のシルエットがぼんやりと浮かび上がる。
 ここが時又駅だ。当の駅舎は近年建て替えられたばかりのもので、新しい。その上駅舎待合部のドアは上吊りレール式(?)で、開け閉めがスムーズだ。鉄道ファンとあらば歴史のある木造駅舎に好意を抱くというのは私にも当てはまることだが、このような真新しい駅も、佇む上では最高級だ。時間の関係ですぐに出発しなければならず、今度こそはこの駅舎でゆっくり過ごそうと考えながら徒歩でこの駅を後にした。
 翌年の正月の早朝、宣言通りこの駅にやってきた。自宅から遥々歩いてきた甲斐があって、この駅の素晴らしさをより感じることができた。駅の樋には門松が飾られており、この駅がいかに人々に愛されているのかを知ることができた。駅舎内に入り、持ってきたパンの袋を開ける。今年最初の食事はこの場所で行うという夢を果たした。来年はどこで食べようか。それともまたここへ来てみようか。そんなことを考えているうちに滞在予定時間の30分はあっさりと過ぎてしまい、隣の川路駅へ向けて再び歩き始めるのであった。

2024.02

正月の朝。駅舎には「おやす」が飾られていた。
休日の昼間、列車がのんびりとホームにやってきた。
側線とホーム跡は、かつて貨物取扱をされていた名残だ。

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